【オールドルーキー 第9話感想】ついにクビ!?新町の行動は正しかったのか?綾野剛の熱い演技にも注目
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ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。
2022年6月スタートのテレビドラマ『オールドルーキー』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
諦めずにひたむきに努力することは大切なことだ。しかし、ある組織の中でそれを行うには時に弊害も出る。
『オールドルーキー』第9話では、会社に属するということを改めて考えさせられる回となった。
今回は新町(綾野剛)が担当する水泳選手・麻生健次郎(渡辺翔太)が、ドーピング違反で4年間の資格停止を言い渡される。
本人は潔白を主張しているが、処分を覆すのが現実的に難しいことは明らかだった。
しかし、麻生の年齢を考えると4年間の資格停止は引退を意味するもので、到底受け入れがたい。
麻生は、水泳のメダリストだった父親との約束もあり、オリンピックに命をかけていた。そんな彼が絶対にドーピングに手を染めるわけがない。
高柳(反町隆史)は、早々に麻生の契約解除を決断するが、新町はそれに反発し、高柳に内緒で、麻生を助けるためにドーピングの潔白を証明することを決意。
高柳はそんな新町の身勝手な行動に憤りを感じていた。
高柳の考えは、アスリートと自分だけならまだしも、ビクトリーには大勢の社員と所属するアスリートがいる。
一人が身勝手な行動をすることで、会社に損失を出し、他のアスリートにも不安と緊張を仰ぐような事態にはしたくないのだろう。
会社を守らなければならない経営者として当然の判断であった。
震えるほどの綾野剛の熱演!
綾野剛と反町隆史の熱い演技が見られた社内での言い合いシーンも、今回ならではの見どころ。
熱い想いがぶつかり合う、二人は体も震え、目が血走っていた。
さすが大物俳優同士の共演。こちらも二人の緊張が伝わってきて息をすることを忘れてしまう。周りで驚きつつも気配を消していたビクトリー社員の気持ちがよくわかる。
「たった一人のために他のアスリートを潰すつもりか?」と問う高柳社長に、新町が放った一言。
「たった一人のアスリートを守れないでどうするんですか!!!」
これを聞いてハッとさせられた。
会社を守りたい社長と今目の前にいるアスリートを守りたい新町の考えは全く異なる様で実は近いのかもしない。二人とも何かを守りたいという気持ちは同じだから。
「木を見て森を見ず」という言葉があるが、高柳の言う会社とは森のことで、新町の言うアスリートは木に近い。木だけを見ていては森のことは把握できないだろう。
しかし、森を守るためには一本一本の木を大切にしなければならないのも確かである。
経営者と社員の立場の違いにより、見えている景色が異なることも面白い。
新町の行動は身勝手な部分もあるが、会社のため、利益のためにと本来の企業理念が薄れていってしまっている高柳に喝を入れたようだった。
ビクトリーの初期メンバーである葛飾(高橋克己)が、「20年前の社長は新町君と同じこと、言ってましたよ」と言っていたこともあり、新町の言動は忘れかけていた高柳の当時の想いを再確認するきっかけになったに違いない。
ついにクビ!?会社に属するということ
ドーピングの潔白を証明するため、可能性がありそうなものをしらみ潰しに探した新町。
ビクトリーの仲間たちの協力もありながらも、なかなか上手くいかず、塔子が見つけてきてくれたドーピング違反について詳しい弁護士の先生を頼ることに。
そしてこれまで飲んでいたサプリメントを調査機関で検査し、潔白であることが証明された。
その結果、4年の資格停止が4か月に軽減。ドーピングの処罰が軽減されることは極めて稀な例である。
ハッピーエンドかと思いきや、今回、サプリメントを検査機関に出した費用、世界スポーツ仲裁裁判所への申し立て金、弁護士費用、通訳費用など…ざっと合わせただけでも500万円を超える損失を出した。
果たして新町の行動は正しかったのか。一会社員として考えさせられる。会社に属すると言うことは会社に利益を出さないといけないのだから。
オリンピックを目指していた麻生が受けるダメージが軽減されたとしても、ビクトリーが受けたダメージとは釣り合わない。
「君はクビだ。ビクトリーを解雇する」
社長命令を無視したあげくに、これだけの損失…ここまで来ると、さすがに庇えないだろう。視聴者も皆そう思った。
次回はついに最終回。新町も心配だが、むず痒い梅屋敷(増田貴久)と塔子(芳根京子)の関係も気になるところ。
約3か月間、見守ってきた新町とビクトリーの仲間たちの物語が、いよいよ終わりを迎える。
[文・構成/grape編集部]