薬をうまく取り出せない妻 それを見た夫が? 「すごい発想」「とっても素敵」
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筆者の母親は薬を毎日飲んでいるのですが、錠剤がシートから取り出しにくいのか、よく床に落としてしまいます。
「75歳の母親でも簡単に錠剤を取り出す方法はないかな」と思っていた時に見つけたのが『錠剤出取(じょうざいだっしゅ)』。これがあれば、簡単に錠剤をスムースに取り出すことができるそうです。
実際に購入してみたので、使用感をレポートしてみます。
『錠剤出取』の使い心地は?
商品はピンクとグリーンの2種類が入っており、錠剤のサイズによって使い分けることができるようです。
見た目はホチキスのような形をしていて、錠剤のシートをセットする部分の下に穴が開いていますね。ガチャンと押したら、コロリと錠剤が下に落ちる仕組みです。
それでは早速、母親に挑戦してもらいましょう。
まずは、写真のように取り出したい錠剤をシートごと差し込んでセットします。
あとは親指でガチャンとレバーを押すだけ。カチッとした手ごたえのあと、下にコロンと落ちた音がします。
医者から複数の薬を処方されている場合は、同様の方法で薬のシートを差し込んで、コロンコロンと押し出していけばOKです!
75歳でも無理なくできるようで「なんだか楽しいわね」と母親も大喜び。
薬を取り出す時は、『錠剤出取』の本体を傾けて、開口部を下に向けるだけで今まで押し出した錠剤がコロコロと落ちて来ますよ。
このユニークな商品を発明したのは、なんと発明家歴45年の吉村善四郎さん。御年78歳!
『錠剤出取』の開発秘話をうかがってみましょう。
(本人提供)発明コンクール会場で『錠剤出取』の試作品を持つ吉村さん
『錠剤出取』は薬を服用する妻を見て…
―『錠剤出取』を作ろうと思ったきっかけは?
73歳の妻が取り出した錠剤を落として、困っていたのを見て「得意の発明で便利な道具を作ってみよう!」と、開発に取りかかったのがきっかけです。
―開発にあたって意識したポイントは?
押し出した錠剤をためておくことができる構造にしたことです。
これにより、圧倒的に錠剤を落とすことがなくなりました。私は木工細工の仕事を27年、金属設備設計の仕事を20年やってきたので、試作は得意で、もう何種類も作って実験しました。
―商品を開発してよかったことは?
販売してみたら、年配の人だけでなく、なぜか女性、特に若い人がよく買ってくださるのです。
年配の妻のために作った商品なのに、なんとネイルをしている若い女性にも需要があるそうです。指先に力を入れにくいため「錠剤をうまく取り出せない」と悩んでいることが分かりました。
老若男女問わず、自分が発明した商品を使っていただいていることが分かった時は、本当に嬉しかったです。
この発明品は、一般社団法人発明学会が2016年に主催した発明コンクール『身近なヒント発明展』で、発明学会大賞を受賞した作品でした。
この大会で賞状と奨励金10万円を獲得。その後2年の時を経て、企業に採用され、商品化されたそうです。
(本人提供)今までに作った試作品
錠剤を落として困っていた妻への愛から生まれたアイディアは、お年寄りだけではなく、若い女性にも喜ばれる発明品になったようですね。
[文/キジカク・構成/grape編集部]