「あったらいいな」をカタチに! 身近なアイディアから人気商品を生んだ『発明家』たち
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料理やDIY、ハンドメイドをはじめ、趣味を通じてさまざまな創作活動をしている人は多いですよね。
昨今では、発明を趣味にしている人が増えているのだそう。
「発明」と聞くと、有名な発明家のトーマス・エジソンなどを思い浮かべてしまいますが、もっと身近なアイディアをカタチにしている人たちがいます。
「どんな人でも発明はできます」と断言する、一般社団法人 発明学会(以下、発明学会)事務局長の松野泰明さんに、発明家になるコツを詳しくうかがってみました。
大ヒット商品『初恋ダイエットスリッパ』を考えたのは?
突然ですが、みなさんは『初恋ダイエットスリッパ』という商品をご存知でしょうか。
かかとが短いスリッパで、履くとかかとが浮くため『つま先立ち運動が楽になる』というアイディア商品。
同商品を考えたのは、主婦の中沢信子さん。これまでの売上は、なんと70億円にも及ぶのだそうです。
驚いた筆者は、早速松野さんにインタビューを敢行しました。
―主婦が考えたアイディア商品が、売上70億円とは…!
発明には、老若男女、学歴や職位も問わず平等にチャンスがあります。
身近なヒントからひらめいた、ちょっとしたアイディアでも、中沢さんのように70億円ぐらい叩き出せる可能性を秘めています。
なにより、立派な商品として社会の発展に役立てることができ、夢とロマンがある点も大衆発明の魅力ですね。
―すべては発想次第のようだが、どうしたらいいアイディアが出てくる?
いいアイディアを出すには、2つの発想方法があります。
『自分の体験をベースにした発想法』と『既存の理論を活用する発想法』です。
『推し活』を楽しくするアイディア商品『カラホ』
ここからは松野さんからうかがった2つの発想方法に焦点を当てて、具体的な発明エピソードと一緒に商品を紹介します。
まず、『自分の体験をベースにした発想法』です。これは、自分の生活や趣味の中で気が付いた『不満』の解決方法を探すという考え方です。
先程紹介した『初恋ダイエットスリッパ』もそうですが、「もっとこうしたら楽になるのに」といった実体験から発想を得るということですね。
ちなみに、スティックライトを保持するためのカラーホルダー『カラホ』という商品も人気グッズの1つ。
アイドルを応援している佐藤さんは、複数のスティックライトを指と指の間に挟んで応援する際、痛くならず簡単に固定できる方法を考えたそうです。
自分で使っていて最高に便利だったこともあり、「ひょっとしたら売れるのでは?」と思いついたという佐藤さん。
商品化する中で素材選び、製造方法など改良を重ね、今ではネットショップでも販売開始30分で毎回売り切れてしまうほどの人気ぶりなのだとか。
洗濯時の困りごとを解決する『クリーン除菌ボール』
次に、『既存の理論を活用する発想法』について紹介します。これは自分の知らなかった知識を活用し、問題解決に生かすという発想方法のこと。
もちろん科学的な根拠や効果、安全性については、知識、設備ともに専門家でないと難しいものです。
ただ、すでに専門家によって効果が実証されているジャンルであれば、自分でその効果を実証する必要はなく、新商品の開発ができるのです。
例えば、洗濯物の生乾きのニオイを防ぐ『クリーン除菌ボール』という商品を発明した発明学会の会員である守屋伯一さんは、同学会が開催しているイベントの企業講演で『銅には抗菌・殺菌効果がある』ということを知ったのだそう。
「じゃあ、銅を洗濯機に入れて、一緒に洗ったら洗濯水の除菌ができて臭わなくなるのでは?」と思いついた守屋さんは、早速自宅にあったゴムボールを切り開き、純銅製の銅タワシを押し込んで再び接着しました。
それを洗濯の際に入れてみたところ、結果は大成功!
洗濯の際に残った水の雑菌数を調べる試験にも出したところ、雑菌数が激減していることも分かりました。
こうして『クリーン除菌ボール』は誕生し、商品化されたのです。
もちろん、いいアイディアを商品化するにはいくつかのポイントがあります。
1つは試行錯誤して、自分で実現できそうなアイディアに挑戦すること、そしてなにより、自分のアイディアで、ほかの人が喜んでくれることが重要。
つまり、ニーズがあれば商品化までのハードルはぐっと下がるといえるのです。
アイディアを売り込む行動力も大事!
アイディア商品の契約をしたい企業が、実際に審査してくれる場に行くことも大切です。
発明学会では、定期的に『身近なヒント発明展』という、アイディアを求める企業だけが審査に参加する発表コンクールのようなイベントを開催しています。
2022年度には、61社のアイディアを求める企業が審査に参加し、10件ものアイディアに対して商品化のオファーがきているのだそうです。
詳細は発明学会のウェブサイトにも紹介されているので、「実は自分の中で眠っているアイディアがある!」という人は、この機会に『発明家への道』に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
一般社団法人 発明学会
[文/キジカク・構成/grape編集部]