心を鷲掴みにされた藤井風のライブのMC 心にすっと溶け込み、馴染んでいくシンプルな言葉
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
「なんとかなる」の底力
8月24日に日産スタジアムで行われた藤井風のライブが、Youtubeで同時配信されました。歌もチャーミングな演出もわくわくしたのですが、ほんの短いMCに心を鷲掴みにされてしまいました。
「まぁどうせ何とかなります。何があっても。
どうせ上手く行くんで、最後には。
皆がそのポジティブなパワーを持ち続けて
それをこの世の中に一緒にシェアして行くことが
いちばん大事なんでマジでうちら仲間として
そこんとこよろしくお願いします」
「どうせ何とかなります、何があっても」
ちょっと聞くと投げやりな、他力本願的な言葉に聞こえるかもしれません。
「どうせうまく行くんで、最後には」
大人は、「何を呑気なこと言ってるんだ!」と思うかもしれません。考えてみると、自分に対する信頼がなければ、この言葉は出てこないでしょう。
その信頼というのは、自分を超えたところにある何ものかへの信頼でもあるのです。自分に自信がないのに、信頼なんてできるわけがないと思う人もいるでしょう。
でも風くんは「何とかなります」と飄々と言うのです。
このライブ配信を観た頃、父が緊急入院をしました。93歳なので、何があっても不思議ではありません。
医師は「覚悟して」という言葉は使わなかったものの、あと退院時にはこれまで以上の見守りと介護必要になります。ところが、受け入れてくれるリハビリ病院などがなかなか見つからない。
断られることが続くと、八方塞がり的な気持ちになるのです。そのときに、風くんのこの言葉を思い出したのです。
「何とかなる。最後にはうまくいく」
人事を尽くす。すると結果、いいことしか起こらない。そう思ったらストンと肩から力が抜けました。
それからすぐに受け入れてくれる病院が見つかったのです。偶然なのかもしれませんが、プレッシャーを解放することで物事の流れがスムーズになることは確かです。
プレッシャーや不安や疑心暗鬼は、川の流れを乱す岩のようなものなのです。
「何とかなる。最後にはうまくいく」
思考は習慣によって作られます。そして思考は現実化する。その循環のエネルギーとなるのが、ポジティブであることなのでしょう。
人の心にすっと溶け込み、馴染んでいくシンプルな言葉。真理は、そこに宿っているのかもしれません。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」