冬に起きる『不眠』の正体 医師の解説に「だからか」「初めて知った」
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冬が近づくと、「なんだか寝つきが悪い」「朝どうしても布団から出られない」という人が増えます。
実はこの時、身体の内部でさまざまな変化が起きているのだそうです。
不眠症などの治療を行う、神谷町カリスメンタルクリニックの院長、松澤美愛医師に、冬に起こる睡眠トラブルの理由と、今日からできる改善策を教えていただきました。
冬になると寝つきが悪くなる理由
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暑かった夏が終わると、短い秋から一気に寒くなり、冬が到来。急激な温度変化は、身体に影響を与えるのだそうです。
急な気温差で自律神経が乱れる
急激な温度変化が起きると、体温調整が追いつかず自律神経が乱れやすくなります。
自律神経が調整できる1日の気温差は約7℃まで。冬場は、朝晩の寒暖差や屋内外の温度差が大きく、自律神経の対応範囲を超えてしまい、身体がついていかないのです。
自律神経の役割は、活動モード(交感神経)とリラックスモード(副交感神経)を切り替えること。このバランスの崩れが、寝つきの悪さにつながります。
日照時間が減って『幸せホルモン』が減少
冬は日照時間が短くなり、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンが減少します。
セロトニンが減ると、気分が落ち込みやすくなるほか、不眠や過眠につながるのだそう。
夜が長くなりメラトニンが増えすぎる
冬場は夜が長くなるため、睡眠ホルモンといわれるメラトニンが増加傾向にあります。
メラトニンは本来、良質な睡眠を助けるホルモンですが、増加して分泌バランスが崩れると、逆に体内時計のリズムが乱れ、睡眠の質を悪化させてしまうのです。
冬に寝起きが悪くなる理由
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寒さや日照時間の短さは、寝起きの悪さにも影響しているようです。
『副交感→交感神経』の切り替えがうまくいかない
夜間睡眠中の身体はリラックスモードの副交感神経が優位の状態。起床時には、活動モードの交感神経を優位に切り替えなければなりません。
寒い冬場はこの機能が乱れがち。そのため、なかなか活動モードになれず、身体が覚醒するのに時間がかかってしまいます。
朝日を浴びないことで眠気のスイッチが切れない
朝の光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されます。
しかし、冬は日が昇るのが遅いため、メラトニンの分泌がなかなか抑制されず、身体は「まだ夜」と認識してしまい、覚醒できないのです。
体温が低く、布団から出たくない『防衛反応』も
寒い朝、「温かい布団から出たくない」と誰しも思ったことがあるでしょう。これにも理由があるようです。
人間の体温は、体内時計によって夜間から早朝にかけて低下。睡眠中は代謝活動を抑えて、エネルギーを節約する仕組みになっています。
起きる前には体温が低い状態となってしまっているため、寒い布団の外へ出ていくことへの防衛反応ともいうべき拒否感が生まれてしまいます。
温かい布団は安心できる場所でもあり、心理的にも離れにくく感じてしまうため、結果的に寝起きが悪くなります。
スムーズに寝て気持ちよく起きるためのコツ
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では、質のいい睡眠、起床のためにはどういったことに気をつければいいのでしょうか。
こちらも、松澤美愛医師にお聞きしました。
規則正しい生活リズムを作る
就寝時間と起床時間を一定にするだけで、自律神経の負担がグッと軽くなります。
規則正しい生活を心掛け、毎日なるべく同じ時間に寝られるよう、食事や入浴時間にも気を配りましょう。
また、入浴はシャワーで済ませず、ぬるめのお風呂にゆったり浸かることで副交感神経が優位に。よい睡眠に向けて身体を整えてくれます。
朝と日中にしっかり日光を浴びる
日々の生活の中で、なるべく日光を浴びるようにしましょう。
起きたらまず朝日を浴び、散歩やちょっとした買い物など、外に出る理由を作って日光浴を行います。外出が難しい場合は窓辺で過ごすことでも効果が期待できるそうです。
日光を浴びることで、セロトニンの分泌を促し、体内時計を正しい形にセットできます。
適度に体を動かす
冬は身体が冷え、血流が悪くなりがち。軽い運動やストレッチで血流を改善すると、自律神経が整いやすくなるでしょう。
気分転換やストレス解消になりますし、セロトニンの分泌を増やすこともできます。よい睡眠が得られやすくなるでしょう。
快適な睡眠環境を整える
スムーズな入眠のためには、快適な睡眠環境を整えることも大切です。
寝る時は部屋を暗くするのはもちろんのこと、スマホの光も避けましょう。
落ち着いた空間にするため、寝つくまでの時間でタイマーをセットし、リラックスできる音楽を聴いたり、好きな香りのアロマを取り入れたりするのもおすすめです。
スムーズな起床のためには、起床時間に合わせて自然に太陽光を取り入れられるよう、タイマー式カーテンや暖房のタイマーを利用するなど、快適な環境作りを意識するといいそうです。
起きる楽しみを用意する
どうしても布団から出られない時は、ちょっとした楽しみを用意しておくのも効果的です。
「朝ごはんには好きなパンやスイーツを食べよう」「起きたら好きなアーティストの動画を見よう」
こんな風に、朝起きた時の小さなご褒美が、起きるモチベーションになります。
冬は日照時間や気温の変化で、身体に変化が現れるもの。「なかなか寝られない」「スッと起きられない」というのは、自然なことなのかもしれません。
身体の仕組みを理解すれば、自分に合った対策も立てられます。寒い冬も良質な睡眠で、元気な毎日を過ごしてくださいね。
監修・取材協力 松澤美愛医師
神谷町カリスメンタルクリニックの院長。
精神科医として、不眠や不安といったさまざまな状態に悩む患者さんへの診療を行う。
→クリニックのウェブサイト
[文・構成/grape編集部]