あなたのもとにも来るかも… 巧妙すぎる『ニセ警察官』の見分け方【完全ガイド】
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最近、全国で相次いでいる『警察官を名乗るニセモノ』による詐欺被害。
電話番号を偽装して本物の警察署からの着信に見せかけたり、ビデオ通話で警察手帳や逮捕状を映して信用させたり…手口はますます巧妙化しています。
さらに今は、警察の制服や装備品の精巧なレプリカがネットで容易に手に入る時代です。
一見しただけでは本物と区別がつかないケースもあり、「警察官だから安心」と思い込むことが大きなリスクになることも…。
そこで本記事では、元警察官である筆者の視点から、ニセ警察官を見分けるための具体的なポイントを紹介します。
1.警察署へ在籍を確認する
本物の警察官は、必ず『どこの警察署』『どの部署』『階級』『氏名』を名乗ります。
そして、肌身離さず警察手帳を所持しているので、警察手帳の提示を求めると提示してくれます。
一方、ニセ警察官は「警察です」「刑事の△△です」など、所属や階級をはっきりいわないことが多いです。
ただし、最近は実在する警察署や部署名を名乗るケースも増えています。そのため、『名乗った=本物』とは限りません。
重要なのは、名乗りを聞き取った後、自分で調べて在籍確認をすることです。
相手から提示された電話番号に連絡するのは危険で、その番号自体がニセの可能性があります。
必ず、警察署の代表番号を自分で調べて電話し、『その警察官が本当に在籍しているか』を確認しましょう。
実際に、以下のような詐欺電話の被害事例もありました。
被害者が官職・氏名を確認しようとしたものの、『相手から伝えられた警察署の直通番号』に連絡してしまいました。
その結果、電話口には共犯のニセ警察官が出て、本物だと信じ込まされ、現金をだまし取られてしまったのです。
『名乗りを聞くだけ』では不十分。必ず自分で調べた連絡先に確認するというのが、重要なポイントです。
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2.警察手帳をうのみにしない!オンライン通話に要注意
最近特に増えているのが、オンライン通話を利用したニセ警察官です。
「あなたに逮捕状が出ている」などと不安をあおり、画面上に逮捕状の画像を提示。さらに本物か尋ねられると、警察手帳の映像まで見せて信用させようとします。
しかし、これには以下のような大きな違和感があります。
・警察官がオンライン通話で事情を聴取することはありません。
・逮捕状は裁判所が発行する文書であり、警察官が事前に「あなたに逮捕状が出ている」と本人へ告げることは基本的にありません。
・警察手帳は現場で本人確認のために提示するもので、映像越しに提示することは想定されていません。
つまり、画面越しに逮捕状や警察手帳を見せてくるという時点で、それはニセ警察官である可能性が極めて高いのです。
どれだけ精巧な映像を見せられても、オンライン通話での手帳提示は絶対に信用してはいけません。
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3.警察が『絶対にやらない行為』を覚えておく
ニセ警察官の詐欺を見抜く上で一番分かりやすいのは、以下のような『警察が絶対にやらない行為』を知っておくことです。
【警察が絶対にやらない行為】
・オンライン通話で事情を聴取したり、逮捕状や手帳を提示したりすることはない。
・キャッシュカードや通帳を預かることはない。
・暗証番号を聞くことはない。
・現金を確認したり、持参を求めたりすることはない。
上記に加え、特に注意したいことは時間的な制約を設けて脅すことです。
具体的には「この電話を切ると逮捕される」「〇時間以内に口座情報を伝えないと犯人として扱われる」など被害者が焦る状況へと追い込み、正常な判断ができないように仕向けます。
過去の事件では、警察官を名乗る人物が「口座が悪用されている」といってカードを受け取りに来たり、金融機関職員役と連携してカードをすり替えたりするなどの手口が確認されています。
最近は前述の通り、ビデオ通話で逮捕状や警察手帳を映す演出をするケースも…。いずれも、犯人は必ず時間的制約をかけ、精神的な圧力をかけてきます。
しかし、これらはすべてニセモノ。電話を切ったからといって逮捕されることはありませんし、逮捕されない条件を伝えることもありません。
警察は絶対にやらない行為を頭に入れておくことが、ニセ警察官を見抜く最短の方法になります。
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ニセ警察官の手口は年々巧妙になり、制服や手帳まで本物そっくりに再現される時代になっています。
しかし、冷静に『官職・氏名を確認して在籍を調べる』『オンライン通話は信用しない』『警察がやらない行為を覚えておく』という3つを押さえておけば、見抜くことが可能です。
大切なのは、相手の迫力や演出に惑わされず、警察の常識を知っておくこと。
焦らず確認して、自分や家族を詐欺から守りましょう。
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[文・構成/りょうせい]
記事執筆 りょうせい
元警察官。警察歴10年。
交番勤務を経て、生活安全課の捜査員として勤務。
行方不明やDVなどの「人身関連事案」を対応しつつ、防犯の広報・企画業務を兼務。
現在は警察の経験を生かし、Xや音声配信(StandFM)にて、防犯情報を発信中。
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