【社労士監修】 デスクで「おにぎりモグモグ」は原則NG! 勤務時間中の食事の境界線
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毎朝、ギリギリに家を出て、なんとか始業時間には間に合ったものの、朝ご飯を食べる時間がなかったという人もいるのではないでしょうか。
なかには、デスクでおにぎりやサンドイッチを頬張りながら、仕事を始める人もいるでしょう。
この勤務開始後の朝ご飯をめぐっては、「始業後すぐに、おにぎりをモグモグってアリですか?」「においのきつい食べ物は食べないでほしい」といったように、SNSなどでたびたび議論が巻き起こります。
お互いに気持ちよく仕事をするために、私たちはこの問題とどう向き合えばいいのでしょうか。
社労士「勤務開始後の食事は、原則NGです」
そもそも、勤務が始まってから朝ご飯を食べることに、問題はないのでしょうか。
大阪府茨木市で社会保険労務士法人こころ社労士事務所を運営する香川昌彦さんに、話を聞いてみました。
――勤務時間中に、デスクで朝ご飯を食べるのは問題ないのでしょうか?
大前提として、労働契約を結んでいる以上、従業員には『職務専念義務』があります。これは『勤務時間中は、仕事に集中しなければならない』というルールのことです。
そのため、会社の許可なく勤務時間中に食事をとることは、この義務に違反する行為とみなされます。たとえ、パソコン作業をしながらの『ながら食べ』であっても、食事は私的な行為ですので、本来は許されません。
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――なぜ多くの職場で、朝ご飯が黙認されているのでしょうか?
ランチミーティングのように、会社が業務の一環として食事を認めている場合は別ですが、多くの場合は、厳密なルールを適用すると職場の空気がギスギスしてしまうため、会社側が黙認しているのが実情でしょう。
コミュニケーションの一環として、ある程度は許容しようという、いわば『暗黙の了解』の上に成り立っているケースが多いのです。
――においや音の問題については、どう考えればいいですか?
ここが一番、難しい問題です。おにぎりやパンは許せても、カレーや納豆ご飯となると「においが気になって仕事に集中できない」という人もいるでしょう。
しかし、においの感じ方は人それぞれ主観が大きく、会社として『〇〇は禁止』といった画一的なルールを作るのは困難です。
特定の食べ物や、それを食べる人を『悪者』にしてしまうことにもなりかねません。
気持ちよく働くための、思いやりの境界線
法律やルールで白黒つけられないからこそ、この問題は、私たち一人ひとりの『思いやり』が試されているのかもしれません。
もし、職場で朝ご飯を食べるのであれば、『においの強くないものを選ぶ』『なるべく音を立てずに食べる』といった、周りへの小さな配慮を忘れないようにしたいものです。
できれば、始業前に食べ終えるように、少しだけ早く出社する努力も大切ですね。
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周りの人も、誰かの食事に少し寛容な気持ちを持てば、ギスギスしない、気持ちのいい職場環境を作っていくのではないでしょうか。
『法律で決められているからダメ』なのではなく、『みんなが集中して仕事をするためにどうすればいいか』を考える。その優しい視点が、一番の解決策なのかもしれませんね。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]
監修・取材協力 香川昌彦
社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表社会保険労務士
大阪府茨木市を拠点に、就業規則の整備や評価制度の構築、障害者雇用や同一労働同一賃金への対応などを通じて、労使がともに豊かになる職場づくりを力強くサポート。
ネットニュース監修や講演実績も豊富でありながら、SNSでは「#ラーメン社労士」として情報発信を行い、親しみやすさも兼ね備えた専門家として信頼を得ている。
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