新人研修で「トイレはダメです」 生理中の女性社員に悲劇が
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とある企業に入社した、女性社員のエピソードです。
新入社員研修で、役員が講師を務める座学を受けるカリキュラムがありました。
「これから約2時間、トイレなど途中で部屋から出ることはできません。講師を務めてくださる役員へ、失礼にあたります。いまのうちにすませておいてください」
進行を担当する人事部社員のアナウンスに従い、女性社員はトイレに向かいます。
その日、女性社員は生理の2日目。出血の量が多いことが気がかりでした。
2時間もトイレに行けないことに不安を覚えていた彼女は、長時間用のタンポンと夜用の厚めのナプキンを合わせて使うことにします。
「さすがに、これだけしておけば大丈夫だろう…」
そう思い、研修に臨んだのですが…。
長引く講義、でも「トイレはダメです」
役員の講義は長く、予定の2時間をオーバーしていました。
女性社員の不安は的中してしまいます。出血量が多く、入念な準備をしたにもかかわらず、これ以上もちそうにない状況でした。
女性社員は、近くにいた人事部の社員にそっと声をかけます。
「すみません、トイレに行かせてください」
しかし、人事部の社員は困ったように「行けないといいましたよね」と許してくれません。「もう少しなので、ガマンしてください」。
生理は我慢してどうにかなるものではありません。
女性社員は泣き出したいのをぐっとこらえ、思い切って申し出ます。
「実は生理で、このままだと血が…」
人事部の社員は男性でした。「えっ」という表情になりましたが、結局「もう少しなので」と繰り返すだけだったのです。
女性社員は、役員の講義など上の空で「早く終わって…」と念じながら、体を固くすることしかできませんでした。
最悪な結果に、女性社員は…
長引いた講義はようやく終了。役員が退出し、新入社員たちは「疲れた…」とぐったりした様子です。
しかし、生理中の女性社員の周りがざわつき始めます。
会社の制服を血で汚してしまった女性社員は「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きじゃくり、同期の女性たちが彼女を取り囲むようにしていました。
さらに、女性社員が座っていた椅子には、大きな血の跡があったのです…。
新入社員の異変と上司の機嫌、どちらが大事?
女性社員は「ショックだし、恥ずかしかった」と振り返ります。
「ガマンして」とトイレに行くことを制止した人事部の社員に、悪意はなかったはずです。生理とは、尿意をガマンするのと同じような感覚だと考えたのかもしれません。
もし深刻な体調不良だったら、そのまま講義を受けさせる選択をしたでしょうか。
女性社員の申し出が「生理だから、トイレに行きたい」であったために起こった出来事でした。
例えば、女性社員がこう伝えていたら人事部の社員の対応も、違ったかもしれません。
「生理はガマンできるものではないんです。このままだと制服や椅子を汚して大変な迷惑をかけてしまうと思います。皆さんに気分が悪い思いをさせてしまいます」
ですが、社会人になりたての彼女にそれを求めるのは酷です。「入社したばかりで、生意気をいってはいけない。ガマンすることを選ぼう」と思うでしょう。
男性に、生理について深く知って「察してもらう」のは難しいことです。
今回の例では、退出したい旨を申し出た女性社員が深刻な状況なのか、そうでないのかを人事部の社員が判断し、柔軟に対応するほかありませんでした。
女性社員は、泣き出しそうな表情で申し出ました。
新入社員の異変と、役員からの見えかたのどちらを優先すべきか…相手を思いやる気持ちがあれば、自然と対応が違ってきたはずです。
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[文・構成/grape編集部]