満員電車で優先席を占拠する大人たち 高齢者が乗ってくると、小学生が…? By - grape編集部 公開:2020-09-08 更新:2020-09-08 grape Awardgrape Award 2020grape Award エッセイエッセイ小学生電車 Share Post LINE はてな コメント ※写真はイメージ 2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。 『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。 『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集! 今年は2つのテーマから選べる 今回は、応募作品の中から『小学生達の席譲り』をご紹介します。 朝の通勤電車で混雑している時は皆座りたがる。私も電車で通勤しているが、荷物の多い時は正直座りたい。 しかし座れても、高齢者とか妊婦さん等がいれば席を譲っている。優先座席もあるが、残念ながら優先座席にも誰でも座っているので、優先座席としての機能は果たしていない。 先日は、おそらく二日酔いであろうが、横になって席を大幅に占め寝ている若者もいた。残念な事である。席を譲るというマナーはなかなか見られない。 ある日、満員でつり革を持って乗車していると、座席の端の方に小学生の女の子が座っていた。高齢者男性が乗車してきた。するとその女の子は、「ここの席、どうぞ。」と声をかけて、立ち上がった。 高齢者の男性の方は、小学生に声をかけられて驚いたようだが、まだ元気で足腰もしっかりしているので、丁重に断った。 小学生に席を譲られるとは思ってもいなかったかもしれない。断られても、その女の子は笑顔でうなずいた。その方はやがて降りていった。 しばらくすると、荷物を持った50代くらいの女性が乗ってきた。 すると、その小学生の女の子は、また「ここの席、どうぞ。」と席を譲ろうとして声をかけた。その女性も席を譲ろうとする小学生の女の子に驚いていたが、まだまだ若く元気そうで、遠慮してか断った。 それからもその小学生の女の子は、次々と席を譲ろうとした。しかし声をかけた方々には皆、丁重に断わられた。 何故、その女の子は熱心に席を譲ろうとするのであろうか。不思議であったが、心に残った。 やがて私の降りる駅が来て私は降りた。何か、素晴らしいものに出会って心に響いた。 それからしばらくして、またその小学生の女の子を電車で見た。電車は満員である。 今回は、同じ制服を着ている女の子達が並んで座席に座っている。その女の子は真ん中あたりに座っていた。男の子達もいたが、おそらく同じ小学校であろう。 ある駅で杖をついた高齢者の男性が乗ってきた。 するとドアに一番近い女の子がさっと立ち上がって、「ここの席、どうぞ。」と言ってその方の手を引いて座らせた。その方は丁寧にお礼を言って座った。座れて本当にうれしかったという感じである。 次の駅では、別のドアから荷物をいっぱい抱えた60代くらいの女性が乗ってきた。 するとそのドアに一番近い所に座っていた男の子がさっと立ち上がり、その方の手を引いて、「ここの席、どうぞ。」と席を譲った。その女性も丁重にお礼を言って座った。 私は納得がいった。席を譲るというマナーを小学校で教えているのであろう。マナーの教え方がよいのであろうが、それを素直に聞く小学生も立派である。どの小学校校かはわからないが、大変立派な教育をしている小学校と思った。 私はかなり早い電車で通勤している。その小学生達はいつも坐ってくるので、おそらく始発の駅かその近くの駅から乗るのであろう。 するとかなり早い時間に起きて登校していることになる。本人たちはもちろん、親達も大変であろう。 しかし寝ている子は一人もいないし、座り方のマナーもいいし、電車の中で騒がない。読書をしている子もいる。それでも席を譲る人が乗ってきたら、すばやく席を譲るマナーが身についている。 一方で若者や大人がだらしなく寝ていて隣の方に寄りかかったり、ゲームに夢中になって雑音を立てていることもある。 小学生がマナー良く座り読書をしているのに、大人は座るマナーも悪く、ゲームで遊んでいる。 その意味で、この子達の乗車態度はお手本にしたい、大人も見習わないといけないマナーと思った。 素晴らしいものを見せてもらって、こういう小学校もあるのだと、心が癒された。 grape Award 2020 応募作品 テーマ:『心に響くエッセイ』 タイトル:『小学生達の席譲り』 作者名:笑う希望 エッセイコンテスト『grape Award 2020』の審査員が決定! 2017年から続く、一般公募による記事コンテスト『grape Award』。第4回目となる2020年の審査員には、grapeでも人気の漫画『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』シリーズでおなじみの漫画家・松本ひで吉さんが決定しました。 さらに『Jupiter』などの作詞を手がけた作詞家でエッセイストの吉元由美さんや、映画化もされた『スマホを落としただけなのに』などで人気を博する小説家の志駕晃さんも審査員として作品を読みます。 心に響く作品として選ばれるのは、どのエピソードでしょうか。結果発表をお楽しみに! 『grape Award 2020』詳細はこちら [構成/grape編集部] 『日本語なのに読めない』貼り紙 内容が?「もはや外国語」「なんて?」旅行中に立ち寄った温泉。貼り紙の内容に首を傾げた理由が? 客「お釣りは旧札にして」 店員が断ると?「そういうことか!」「本当これ」なぜかお釣りを旧札指定する中年男性。自動精算機では対応できず、謝ると…。 Share Post LINE はてな コメント
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集! 今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『小学生達の席譲り』をご紹介します。
朝の通勤電車で混雑している時は皆座りたがる。私も電車で通勤しているが、荷物の多い時は正直座りたい。
しかし座れても、高齢者とか妊婦さん等がいれば席を譲っている。優先座席もあるが、残念ながら優先座席にも誰でも座っているので、優先座席としての機能は果たしていない。
先日は、おそらく二日酔いであろうが、横になって席を大幅に占め寝ている若者もいた。残念な事である。席を譲るというマナーはなかなか見られない。
ある日、満員でつり革を持って乗車していると、座席の端の方に小学生の女の子が座っていた。高齢者男性が乗車してきた。するとその女の子は、「ここの席、どうぞ。」と声をかけて、立ち上がった。
高齢者の男性の方は、小学生に声をかけられて驚いたようだが、まだ元気で足腰もしっかりしているので、丁重に断った。
小学生に席を譲られるとは思ってもいなかったかもしれない。断られても、その女の子は笑顔でうなずいた。その方はやがて降りていった。
しばらくすると、荷物を持った50代くらいの女性が乗ってきた。
すると、その小学生の女の子は、また「ここの席、どうぞ。」と席を譲ろうとして声をかけた。その女性も席を譲ろうとする小学生の女の子に驚いていたが、まだまだ若く元気そうで、遠慮してか断った。
それからもその小学生の女の子は、次々と席を譲ろうとした。しかし声をかけた方々には皆、丁重に断わられた。
何故、その女の子は熱心に席を譲ろうとするのであろうか。不思議であったが、心に残った。
やがて私の降りる駅が来て私は降りた。何か、素晴らしいものに出会って心に響いた。
それからしばらくして、またその小学生の女の子を電車で見た。電車は満員である。
今回は、同じ制服を着ている女の子達が並んで座席に座っている。その女の子は真ん中あたりに座っていた。男の子達もいたが、おそらく同じ小学校であろう。
ある駅で杖をついた高齢者の男性が乗ってきた。
するとドアに一番近い女の子がさっと立ち上がって、「ここの席、どうぞ。」と言ってその方の手を引いて座らせた。その方は丁寧にお礼を言って座った。座れて本当にうれしかったという感じである。
次の駅では、別のドアから荷物をいっぱい抱えた60代くらいの女性が乗ってきた。
するとそのドアに一番近い所に座っていた男の子がさっと立ち上がり、その方の手を引いて、「ここの席、どうぞ。」と席を譲った。その女性も丁重にお礼を言って座った。
私は納得がいった。席を譲るというマナーを小学校で教えているのであろう。マナーの教え方がよいのであろうが、それを素直に聞く小学生も立派である。どの小学校校かはわからないが、大変立派な教育をしている小学校と思った。
私はかなり早い電車で通勤している。その小学生達はいつも坐ってくるので、おそらく始発の駅かその近くの駅から乗るのであろう。
するとかなり早い時間に起きて登校していることになる。本人たちはもちろん、親達も大変であろう。
しかし寝ている子は一人もいないし、座り方のマナーもいいし、電車の中で騒がない。読書をしている子もいる。それでも席を譲る人が乗ってきたら、すばやく席を譲るマナーが身についている。
一方で若者や大人がだらしなく寝ていて隣の方に寄りかかったり、ゲームに夢中になって雑音を立てていることもある。
小学生がマナー良く座り読書をしているのに、大人は座るマナーも悪く、ゲームで遊んでいる。
その意味で、この子達の乗車態度はお手本にしたい、大人も見習わないといけないマナーと思った。
素晴らしいものを見せてもらって、こういう小学校もあるのだと、心が癒された。
grape Award 2020 応募作品
テーマ:『心に響くエッセイ』
タイトル:『小学生達の席譲り』
作者名:笑う希望
エッセイコンテスト『grape Award 2020』の審査員が決定!
2017年から続く、一般公募による記事コンテスト『grape Award』。第4回目となる2020年の審査員には、grapeでも人気の漫画『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』シリーズでおなじみの漫画家・松本ひで吉さんが決定しました。
さらに『Jupiter』などの作詞を手がけた作詞家でエッセイストの吉元由美さんや、映画化もされた『スマホを落としただけなのに』などで人気を博する小説家の志駕晃さんも審査員として作品を読みます。
心に響く作品として選ばれるのは、どのエピソードでしょうか。結果発表をお楽しみに!
『grape Award 2020』詳細はこちら
[構成/grape編集部]