「時速50kmで走行すると…」 愛媛県に聞いた!国道に作られた『楽しい仕組み』とは?
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※写真はイメージ

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愛媛県西宇和郡伊方町を通る国道197号に、『♪』が描かれている道路があります。
「何これ?」と思うかもしれませんが、旧三崎町から八幡浜市間は『佐田岬半島メロディーライン』という愛称で呼ばれ、自動車が走ると音楽が聞こえる道路が設置されているのです。
『佐田岬半島メロディーライン』について、愛媛県土木部道路都市局道路維持課に取材しました。
『メロディー道路』は3か所ある!
同課の話によれば、『佐田岬半島メロディーライン』には、音楽が聞こえる『メロディー道路』が3か所あるとのこと。
「いつ、なぜ造られたのか」とうかがったところ、以下の回答がありました。
国道197号の旧三崎町から八幡浜市間は、道路の愛称として『佐田岬半島メロディーライン』と命名されています。
しかし、音楽に関係するものがなく、地元伊方町などから観光振興のため、『車が走るとメロディーが聞こえるメロディーロード』の設置について要望があったことを受け、施工箇所や曲の選定などについて検討を重ね、3か所で施工を行いました。
2025年現在、『メロディー道路』があるのは下記の3か所です。
1.『佐田岬半島ミュージアム(旧 瀬戸農業公園)付近』
2011年(平成23年)2月完成(西宇和郡伊方町三机:八幡浜方面向き)
施工延長:約430m
曲名:『みかんの花咲く丘』
2.『大峠トンネル三崎側付近』
2018年(平成30年)2月完成(八幡浜市保内町宮内:三崎方面向き)
施工延長:約119m
曲名:『瀬戸の花嫁』
3.『瀬戸トンネル三崎側付近』
2018年(平成30年)2月完成(西宇和郡伊方町三机:三崎方面向き)
施工延長:約220m
曲名:『うみ』
この3か所では上記の通り、聞こえる音楽(流れるメロディー)が異なります。では、どんな仕組みで音楽が聞こえるのでしょうか。
アスファルト舗装に横方向(車の進行方向に対して直角方向)の溝を掘ることによって、自動車走行のタイヤ接地音でメロディーを奏でるものです。
一定の間隔で道路に刻まれた溝の上を自動車が走ると、タイヤが振動し、その振動がメロディーのように聞こえる仕組みです。
溝の間隔が狭いと高音、溝の間隔が広いと低音となり、これらを並べることで曲を作っています。
当該箇所は、法定速度の時速50kmで走行すると曲として聞こえます。
タイヤがアルファルト舗装の道路と接地する時の走行音が、メロディーになるように道路が工夫されているのです。
アスファルト舗装に刻まれた溝とタイヤの接触によって発生する音なので、ほかに仕組みは不要。24時間、車が走行すればメロディーが流れます。
Map-It マップイット(c)
※「日本一細長い半島」といわれる愛媛県の佐田岬半島。国道197号は半島に沿って東西に走る国道です。
続けて、観光客など、実際に見た人の反応や声について聞いてみると…。
直接、観光客から声が寄せられているわけではありませんが、この施工により、『速度超過の抑制』『冬期の路面の滑り止め』などの交通安全に役立っています。
また、乗車中はもちろんのこと、付近の駐車場にいても車が通行するたびにメロディーが聞こえるため、新たな観光資源として活用しています。
最後に、『佐田岬半島メロディーライン』を訪れる人に対して、このようなメッセージをもらいました。
日本一細長い佐田岬半島の頂上線を貫き、左右眼下に瀬戸内海、宇和海を見渡せる風光明媚なドライブコース『佐田岬メロディーライン』(国道197号)に、観光スポット『メロディー道路』を施工しております。
『メロディー道路』は、法定速度を守って走行すると『みかんの花咲く丘』『瀬戸の花嫁』『うみ』が奏でられます。
ぜひ、『佐田岬メロディーライン』にお越しいただき、風と潮騒、野鳥のさえずりなどの自然のメロディーに加えて、車が奏でるメロディーをお楽しみください。
道路に『♪』が描いてあるかわいい道路の正体は、走行すると音楽が聞こえるという『メロディー道路』でした。
旅行などで愛媛県を訪れた際は、ぜひ走行してみてください。
[文・取材/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]