電車遅延で無駄になったチケット代、回収できる? 弁護士に聞いてみたら…
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何か月も前から楽しみにしていた、大好きなアーティストのコンサート。
あるいは、久しぶりの海外旅行へ向かう空港までの道のり。
そんな大事な日に限って、電車が急停車し、「信号トラブルのため、運転を見合わせています」というアナウンスが流れる…。
血の気が引くような思いをしながら、可能な限り急いだものの、結局遅刻してしまった…。
「電車のせいで無駄になった数万円のチケット代、弁償してほしい!」
そんなやり場のない怒りや悲しみを抱いた経験がある人も、いるのではないでしょうか。
弁護士「チケット代の請求は、法的に難しいです」
鉄道会社に落ち度がある場合、交通費以外の損害も請求できるのでしょうか。
大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。
――電車の遅延が原因で無駄になったチケット代は、請求できますか。
残念ながら、原則として請求することはできません。
私たちと鉄道会社の間で結ばれているのは、あくまで『A駅からB駅まで乗客を運ぶ』という運送契約です。
鉄道会社は、目的地まで送り届ける義務は負いますが、『乗客がその後の予定(コンサートやフライト)に間に合うこと』までを保証しているわけではないからです。
――遅延証明書があってもダメなのでしょうか。
はい。遅延証明書は、学校や会社に対して「遅刻したのは電車のせいです」と証明するためのものであり、損害賠償を約束する手形ではありません。
法律上、コンサートに行けなかったことによる損害は『特別の事情による損害(特別損害)』と呼ばれます。
鉄道会社側が、乗客一人ひとりの事情をあらかじめ予見することは不可能です。
そのため、鉄道会社に故意や重大な過失がない限り、原則としてチケット代や宿泊費、キャンセル料などの賠償責任は負わないと考えられています。
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――では、一切のお金は戻ってこないのですか。
いいえ、そんなことはありません。
電車が遅れて目的地に行けなくなった場合や、2時間以上遅れた場合などは、鉄道各社のルール(運送約款)に基づき、『運賃(乗車券)』や『特急料金』の払い戻しを受けられるケースはあります。
あくまで『電車代』は戻ってくる可能性がありますが、『その先の損害』まではカバーされない、ということですね。
「もしも」に備える、賢い自衛策
法的に請求が難しい以上、私たちにできるのは『自衛』しかありません。
大前提として、『ギリギリ間に合う』ではなく、『1〜2本遅れても大丈夫』なスケジュールを組みましょう。
近くのカフェで時間を潰すくらいの余裕が、心の安定につながります。
また、飛行機を使う旅行などの場合、クレジットカード付帯の保険や、任意の旅行保険の中に『航空機遅延費用』などの特約が含まれていることがあります。
公共交通機関の遅延で乗り継げなかった場合の宿泊費や食事代が補償されるケースがあるため、一度確認してみるとよいでしょう。
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楽しみにしていた予定が台無しになるのは、本当につらいものです。
でも、その悔しさを鉄道会社にぶつけても、残念ながら時間は戻りません。
『電車は遅れるもの』という前提で、いつもより30分早く家を出てみること。その行動が、あなたの大切な『楽しみ』と『笑顔』を守る、一番の保険になるのかもしれませんね。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]