「水道水を飲んだら食中毒になった…」 原因に「驚いた」「自宅でも気を付けます!」
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2025年の夏、SNSで水道水による食中毒の投稿が話題を呼びました。
その内容は「急な嘔吐で病院を受診すると、『朝に飲んだ生ぬるい水』が原因の食中毒の可能性が高いといわれた」というもの。
はたして、蛇口の水で本当に食中毒になるのでしょうか。
夏場の水道水で食中毒になる理由とは?
水道水は水道局に管理されているため、話題の投稿に疑念を抱いた人も多いでしょう。
水道水で本当に食中毒になる可能性があるのか、東京都中央区にある日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックで院長を務める、石岡充彬医師に話をうかがいました。
基本的に安全だけど…? 水道水の思わぬ落とし穴
石岡医師によると「日本の水道水は基本的に安全」とのこと。理由を次のように述べています。
まず前提として、日本の水道水は非常に安全です。
水道法では、蛇口での残留塩素濃度を0.1mg/L以上に保つことが義務づけられており、これにより大腸菌などの多くの微生物は死滅するとされています。
塩素には殺菌効果があり、水道水が水源から浄水場、そして各家庭に届くまでの間に菌が繁殖するのを防ぎます。
つまり、適切に管理された水道水を使っている限り、基本的にはそのまま飲用しても大きな問題はないということです。
しかし、いくつかの条件が重なると、食中毒の原因になることがあるそうです。
先述したように、水道水は塩素濃度を保つことで、安全性を維持しています。
ところが、夏などの暑い時期は、水中の塩素が失われやすくなるのです。特に夜間は、蛇口が閉まった状態が長く続くため、配管に溜まった水の塩素濃度が低くなり、菌が繁殖する可能性が高まるとか。
石岡医師によると、以下のような菌の繁殖リスクがあるといいます。
いずれも嘔吐や下痢などの食中毒の症状を引き起こす菌なので、夏場の水道水には注意が必要です。
食中毒を起こすリスク、何で高まる?
以下のような特殊な条件がそろった場合、その水を飲むのは危ないかもしれません。
・長期不使用で滞留した水をそのまま飲用した場合。
・浄水器などで塩素が除去され、さらに長時間放置された場合。
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長期間使っていない蛇口、または浄水器などで塩素を除去した水を長時間放置していた場合は、食中毒を起こすリスクが高まります。
塩素濃度が下がっている水道水の中では菌が繁殖しやすいため、そのまま飲むことは避けましょう。
水道水による食中毒の予防法
一般家庭でできる食中毒の予防法として、石岡医師は次のポイントを挙げています。
1.朝一番の水は30秒以上流してから飲む
2.浄水器を使う場合は汲み置きしない
3.汲み置きをするなら冷蔵庫で保存し、24時間以内に飲み切る
夏場は気温が高い状態が続くため、リスクを考慮して朝一番に30秒ほど水を流すことが大切。配管内に溜まった水を出し切り、水道本管から給水される、より安全な水を飲みましょう。
浄水器を使う場合は、汲み置きをしないよう注意が必要です。塩素が取り除かれた状態で保管すると、時間経過で菌が繁殖します。
汲み置きが必要な場合はボトルに入れて冷蔵庫で保存し、24時間以内に飲み切るようにしてください。
水道水はこんな点も要チェック
また、建物に水を供給する方式には2種類あり、食中毒のリスクも異なります。それぞれの特徴は以下の通り。
直結給水方式:水質が一元管理されている水道本管から給水
貯水槽方式:水を貯めている貯水槽から給水
水道水を一時的に受水槽にためてから、各家庭の蛇口へ給水している『貯水槽方式』は、定期的なメンテナンスが必要です。
貯水槽の掃除が不十分だったり、水の使用量の減少によって塩素が消失したりすると、貯水槽内の水質が悪化し、菌が繁殖していることも。
水をしばらく流しても、飲み水の違和感が改善されない場合は、管理会社に確認しましょう。
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先述した通り、日本の水道水は安全が保たれているものの、高温や長期間使っていないなどの条件が重なると、食中毒のリスクが高まります。
家族の安全を守るためにも、「朝一番や長時間使っていなかった蛇口の水を使う際は、少し水を流してから使う」と覚えたいですね!
監修・取材協力 石岡充彬医師
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックの院長。
内視鏡診療を軸とし、消化器領域の予防医学の普及に貢献。
⇒クリニックのウェブサイト
[文・構成/grape編集部]