25年以上トップアイドルの松本潤だからこその自然体 『19番目のカルテ』第7話
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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年7月スタートのテレビドラマ『19番目のカルテ』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
家計なり会社の経理なり、集団の収支を管理した経験がある人なら、少なからず資金不足に頭を抱えた経験があると思う。
それでも目的の達成にお金が足りないと率直に言える関係ならばいいが、大抵は言いづらい。
旅行、教育、仕入費用、人件費、設備投資。だいたい多くの場合、素晴らしいアイディアや理想を実現したいと願うときには、先立つものが足りない。
そしてため息をつく。
理想だけを語れるならどれだけいいか。
『19番目のカルテ』(TBS系)に敵役として登場する東郷陸郎医師(池田成志)も、実はそんな憂鬱を抱えているんじゃないかと思う。
クロスする4つの師弟エピソード
総合診療科は2018年に新専門医制度で基本領域診療科に加わった新しい診療科である。とある地方都市の総合病院、魚虎総合病院に総合診療科が新設された。
魚虎病院初の総合診療医としてやってきた徳重晃(松本潤)は掴みどころのない飄々とした男で、最初は他の専門医たちに疎まれながらも、丁寧な診察で院内に理解者を増やしていく。
徳重に心酔して整形外科から総合診療科に転科した滝野みずき(小芝風花)は、様々な経験を通して独り立ちのときを迎えつつある。一方、徳重は師である赤池登(田中泯)の体調が気になっていた。
7話で痛感したのは、医療は『学』かつ『術』であり、だからこそ人から人に伝えていかねばならないということだった。
今回、4つの師弟のエピソードが同時進行している。
一つめは赤池と徳重、二つめは徳重と滝野。三つめは心臓外科医の茶屋坂心(ファーストサマーウイカ)と戸田勝久(羽谷勝太)、四つめは外科医の東郷陸郎と息子の康二郎(新田真剣佑)。
興味深いのは、茶屋坂と戸田、東郷親子のそれぞれの変化だ。
彼らの関係性はドラマチックに変わったわけではないけれども、徳重や滝野と関わったことで確かに変化している。
中でも手術前、茶屋坂が戸田に告げた「自分とは似ても似つかない。だからアンタを育ててる」という言葉に、心が震えた。
総合医、専門医、優しさ、厳しさ、天才、努力家、理想、現実。
同質なものどうしではなく、多様性が未来を切り開くという高らかな宣言に聞こえたからだ。
3話で、康二郎がアナウンサーの堀田に「手術の腕には自信があります」と語りかけたシーンといい、今作での坪田文の脚本は、温かさを物語の底に忍ばせて、丁寧な言葉で弦をはじくように美しい音で私たちの心を震わせる。
このエピソードで執刀医デビューする戸田を演じる羽谷勝太の湿度の高い演技が思いのほか印象深く、出演作をチェックしてみたところ、同じ日曜劇場の『下剋上球児』(TBS系)で、ライバル校のピッチャーを演じていたことに気づいた。
『下剋上球児』は連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)で柳井千尋を演じた俳優、中沢元紀を筆頭に2025年下半期の今、見るのが楽しみな若手俳優の宝庫である。
おそらくこの先5年10年、「えっ、こんな凄い人たちが一堂に?」と驚くような作品になるだろう。
もう一つ、今回の見どころは、現代屈指のダンサーで名俳優の田中泯と、生粋のエンターテイナー松本潤が二人きりで展開する壮大な世界観の表現である。
島で赤池とともにある時、魚虎総合病院にいる時に比べて徳重の喜怒哀楽は豊かで、時には赤池に甘えた表情さえ見せる。師弟なんだな、と思う。
だが、そんなやりとりの合間に、徳重は用心深い医師らしさで赤池の体調を見定めようとするし、赤池は弟子のそんな気配を察してはぐらかそうとする。この駆け引きもまた師弟なのだ。
そして2人が海を目前に互いの立ち位置を変えながらエネルギーに満ちた台詞で生命と人の営みを讃えるシーンは、舞踊のような荘厳さだ。
田中泯という巨大な存在に圧されることもなく抗うでもなく、自然体でそこにいる姿に、改めて25年以上トップアイドルとして生き、同時に演出家として研鑽を積み続ける松本潤の努力を想った。
次回はいよいよ最終話。病を抱え、治療の余地がありながらもそれを望まない人を目の前に、医師はどうあればいいのか。
かつて「諦め方が分からないんです」と赤池に言った徳重は、その執念で師の『患者としての嘘』を見つけ出せるだろうか。
人が人を診る、理想と現実の物語を最後まで見届けたい。
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[文/かな 構成/grape編集部]
かな
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