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法律?それともマナー? 弁護士に聞いた『列への割り込み』 罪に問われる判断基準とは

By - ことのは  公開:  更新:

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行列

※写真はイメージ

楽しみにしていた人気店のランチやテーマパークのアトラクション、駅のホームなど、私たちの日常には、さまざまな『行列』があふれています。

じっと自分の順番を待ち続け、ようやくゴールが見えてきたその瞬間に割り込まれ、思わず眉をひそめてしまった経験がある人もいるのではないでしょうか。

SNS上では、「注意したいけれど、逆ギレされたら怖い」「割り込みをされてモヤモヤ」といった声も見られます。

実は、行列の割り込みは状況によっては笑い事では済まされない、重大なトラブルに発展する可能性を秘めているのです。

弁護士『罪になる割り込み、ならない割り込み』

そもそも、行列に割り込むことは、法的に問題があるのでしょうか。

大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。

――行列への割り込みは、罪になるのでしょうか?

まず、ラーメン店のような私的なお店の行列に割り込むこと自体を、直接罰する法律はありません。そのため、多くは法律違反というよりは『マナー違反』にあたります。

しかし、だからといって、すべての割り込みが許されるわけではありません。

電車やバス、イベントの切符売り場といった公共性の高い場所での行列への割り込みは、軽犯罪法という法律で禁止されています

過去には、バス待ちの行列に割り込み、注意されてもその場を動かなかった男性が、この法律違反の疑いで書類送検されたケースも実際にありました。

行列の写真

※写真はイメージ

――では、ラーメン店の行列なら、割り込んでも許されるのですか?

もちろん、そんなことはありません。たとえマナー違反から始まったとしても、その行為がエスカレートすれば、別の罪に問われる可能性があります。

例えば、注意した相手に対して、胸ぐらを掴んだり、突き飛ばしたりすれば、暴行罪に問われる可能性があり、土下座を強要したり、脅したりすれば、強要罪や脅迫罪に問われかねません。

大声で騒ぎ続け、店の営業を妨害した場合には、威力業務妨害罪に問われる可能性もあります。

軽い気持ちでやった割り込みが、一生を左右するような事態を招くこともあるのです。

ルールを守る、当たり前の大切さ

実際に自分の目の前で割り込みをされた時、私たちはどう対応するのが正解なのでしょうか。

正義感から、直接「後ろに並んでください」と注意したくなる気持ちはよく分かりますが、相手が逆上し、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう危険もあります。

もっとも安全で賢い対応は、店のスタッフや駅員、警備員など、その場を管理している人に状況を伝え、対応をお願いすることでしょう。自分の身の安全が、最優先です。

お店に並ぶ人の写真

※写真はイメージ

一方で、法律で罰せられるかどうか以前に、行列に並ぶことは、社会生活を送る上での基本的なマナー。

誰もが「自分くらい、いいだろう」と考えてしまったら、その場の秩序はあっという間に崩れ去ってしまいます。

たった数分、あるいは数十分、みんながルールを守って待っているからこそ、私たちは安心してサービスを受けられるのです。

自分も周りも、お互いが気持ちよく1日を過ごすために、そんな当たり前の思いやりを常に心の中に持っていたいものですね。


[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]

北村真一さんの顔写真

監修・取材協力 北村真一

まこと法律事務所 代表弁護士。
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。
猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
HP⇒まこと法律事務所

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