その行動、ちょっと待って! 雨の日の防犯チェックリスト【元警察官が解説】
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grape [グレイプ] issues
外出先で突然の雨に降られると、傘をさしていても、つい足早に帰りたくなりますよね。
人通りも少なく、いつもより静かな街。そんな雨の日は、一見すると犯罪が起きにくいように思えるでしょう。
実際、雨の日は人の動きが減るため、犯罪の発生は比較的少ない傾向にあります。
しかし、防犯の現場を見てきた元警察官の筆者の経験から言うと、雨の日こそ油断しやすい瞬間がいくつもあるのです。
視界や聴覚が遮られたり、早く帰ろうと注意が散漫になったり…普段なら気づく違和感を見落としやすいのが、雨の日の怖いところ。
本記事では、そんな雨の日だからこそ気をつけたいポイントを紹介します。
傘と雨音で気づかない危険
雨の日は、傘やフードで視界が狭まり、雨音によって周囲の音も聞き取りづらくなります。
つまり、私たちの目と耳が、日常よりも鈍くなっている状態です。
防犯の現場では、この『情報収集能力の低下』がトラブルの発見を遅らせる大きな要因になります。
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例えば、背後から近づく足音や車のエンジン音に気づくのが遅れたり、すれ違う人の動きに違和感を覚えにくくなったり…。
普段なら察知できる危険のサインを、雨の日は見落としやすいのです。
さらに傘で片手がふさがっていると、いざという時にとっさの行動が取りにくくなります。
そこにスマートフォンを持ってしまうと、両手がふさがり、周囲への注意はほとんどゼロに…。
この『傘+スマホ』の組み合わせは、雨の日にもっとも避けたい行動といえるでしょう。
「早く帰りたい」という心理が招く油断
雨の日は、できるだけ早く家に帰りたいという気持ちが働きます。
そのため、普段よりも注意が散漫になりやすく、小さな油断が思わぬ被害につながることがあるのです。
例えば、自転車で帰宅した際に「とりあえず屋根の下に入ろう」と思い、施錠を後回しにしたり、玄関で傘の水を切ることに気を取られ、鍵をかけ忘れたり…。
防犯の現場では、こうした雨の日ならではの行動パターンが狙われるケースも少なくありません。
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犯人も「早く帰りたい」と思っている…
雨の日に早く帰りたいと思うのは、犯人も同じです。
実際に筆者が聞いた、自転車盗(じてんしゃとう)の動機で多かったのが「雨天時の一時的な足代わり」でした。
「疲れたから」「家まで遠いから」など、継続的に盗もうとするよりも、その場しのぎのケースが多いのです。
通勤・通学で自転車を使っている人は、雨の日だからこそ、ひと呼吸おいて鍵のかけ忘れに気をつけてください。
雨は犯人にとって都合のいい環境
雨の日は、犯人にとって狙いやすい環境になります。
雨音が物音をかき消し、外が暗くなることで人の目も届きにくくなるためです。
また、傘やフードをかぶることで、顔を自然に隠せてしまうのも雨の日の特徴。普段なら不審に見える行動も、雨の日には目立ちにくくなります。
このように、自然に紛れられる状況が、犯罪を後押ししてしまうことがあるのです。
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『静かで、見えにくく、人が少ない』。この三つがそろう雨の日は、犯人にとって都合のいい条件が整います。
だからこそ、私たちは普段以上に周囲への注意を意識することが大切です。
雨の日だからこそ、慎重に
先述の通り、雨の日は犯罪の発生件数そのものは少ない傾向にあります。
しかし、視界や聴覚が遮られ、注意が散漫になりやすいことで、思わぬトラブルに巻き込まれることがあるのです。
傘や雨音で周囲の状況が分かりにくくなること。早く帰りたいという心理から鍵をかけ忘れてしまうこと。
そして、犯人にとっても都合のいい環境が整ってしまうこと。
これらを意識するだけで、雨の日の安全度はぐっと高まります。
雨の音に安心感を覚える日こそ、ほんの少しだけ周囲に目を向けてみてください。
その一瞬の意識が、思わぬ被害を防ぐきっかけになるかもしれません。
記事執筆 りょうせい
元警察官。警察歴10年。
交番勤務を経て、生活安全課の捜査員として勤務。
行方不明やDVなどの「人身関連事案」を対応しつつ、防犯の広報・企画業務を兼務。
現在は警察の経験を生かし、Xや音声配信(StandFM)にて、防犯情報を発信中。
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[文・構成/りょうせい]