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「こいつ痴漢だ!」の一言から始まった地獄の日々 『えん罪』に苦しんだ男性の物語

By - grape編集部  公開:  更新:

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裁判中のある日のこと。朝になっても起きてこない奥さんを心配し、寝室に行ったキヨシさん。そこにはベッドに座ったまま涙を流す奥さんの姿がありました。

その口から出てきたのは「もう死にたい」という言葉。

奥さん同様、精神的に疲弊しきっていたキヨシさん。長男を奥さんの元につれてきて「だったら、死のうか」と手を首にかけたのだそう。

※画像はイメージです

その姿を見て正気になった奥さんが慌てて制止。長男はむせたものの、なんとか事なきを得ました。

キヨシさんはこの出来事から、改めて子どもたちのことを考えるようになり、「この子たちを犯罪者の子どもにして良いのか」と自分を奮い立たせて裁判に立ち向かいました。

ついに無罪を勝ち取る でも全然嬉しくない

やがて、事件からちょうど2年の月日が流れた2002年12月5日。友人など、多くの方の支援もあり、キヨシさんは奇跡的な無罪を勝ち取りました。

しかし、その時の感情を聞かれたキヨシさんは「みなさん、無罪になったら嬉しいと思うと思うんですけど。ちっとも嬉しいという感情じゃない」と語りました。

無罪になっても、2年前には戻れません。事件の前には持っていた仕事、向上心もなくなり、唯一の生きがいは子どもの成長だけだったそう。

当番組にも(人形で)出演していたキヨシさんの長男。自分の首をしめた父に対し、こう語りました。

「父のことを恨んだことはない。父親は尊敬の対象でしかなかった。やっていないことを『やっていない』と言い、裁判で戦い続けた父は立派だった」

今は痴漢冤罪に悩んでいる人を支援しているというキヨシさん。長男も、この活動を一緒に行っていくのだそうです。

この放送を観た多くの方が、えん罪の怖さを知るとともに、痴漢は女性だけでなく男性にとっても敵だと感じたようです。

痴漢の現状

警視庁の発表によれば、2015年で痴漢(迷惑防止条例違反)は約1900件起こっており、そのうちの約72パーセントが電車や駅で起こったものです。

あくまでこれは「わかっているものだけで」の話。警察庁が2011年に行ったアンケートでは、過去一年間で痴漢にあった女性の89.1%が警察に通報や相談をしていないという結果が出ています。

おそらく、実際に確認されている痴漢の数倍かそれ以上は、被害に遭っている方がいるのでしょう。

今回ご紹介したような痴漢えん罪が起こるのは、そもそも痴漢をする卑劣な人がいるから。一日も早く、こんな犯罪が起こらない社会にしなければいけません。

電車内の防犯カメラの普及や、満員電車など痴漢が起きやすい環境の改善が、痴漢防止に対する急務なのかもしれません。


[文/grape編集部]

出典
ねぽりんぱほりん警察庁警視庁@u5u@ayanio@tetsuya_

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