賞味期限改ざんの不祥事から10年 『白い恋人』復活の真実に、涙
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北海道のお土産として、40年以上の歴史を持つ『白い恋人』。
なめらかなホワイトチョコレートを挟んだ、サクサクのラングドシャクッキーは、石屋製菓の代表商品です。
2007年にメディアを騒がした、賞味期限改ざんの不祥事から10年。
現社長の石水創(いしみず・はじめ)さんは当時を振り返り、1冊の本を世に出しました。
食品業界にとって最大の危機といえる『不祥事』。10年前のどん底から、年間売上130億円を誇る現在に至るまで、その道のりはどのようなものだったのでしょうか。
とあるクレーム 心温まるやり取り
賞味期限改ざんの不祥事が発覚した当時、取締役として働いていた石水さん。大混乱する社内で1人、とあるクレームの対応をするために沖縄の石垣島へ行っていたといいます。
クレームの内容は「名前のプリントミス」。子どもの誕生100日記念のお祝い返しにと、『白い恋人』のオリジナル缶を注文したお客さんに対し、間違った名前をプリントした商品を発送していたのです。
とても怒っているお客さんに対し、新しく作り直した商品を届け、深い謝罪を伝えた石水さん。すると、お客さんは「もう気にするな」といって、石垣島の観光案内をしてくれたのだそう。
その車内で、お客さんが北海道出身者であること、大切な記念日のお祝い返しだからこそ、あえて『白い恋人』を選んだということを聞き、石水さんは改めて申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
そして、大切なお客さんに対し、不祥事により会社がどんな状況にあるのかを話しました。
石水さんは本書にて、次のような『後日談』を紹介しています。
『白い恋人』の販売が再開した日に、そのお客さんから石水さんに電話がかかってきたそうです。
「販売再開したんだってな。おめでとう」
そう声をかけて、28枚入りの『白い恋人』を10箱注文してくれたといいます。
地元の人たちであふれかえった お土産売り場
販売再開当日『白い恋人』を真っ先に買ってくれたのは、北海道のお客さんだったそうです。
お土産として親しまれているお菓子なので、普段は購入者のほとんどが観光客。ところがその時ばかりは、地元の人たちが長蛇の列を作っていました。
石水さんは、地元の人たちが一丸となり『白い恋人』の復活を祝福する姿を見て、感謝の気持ちでいっぱいになったといいます。
変わらないもの 変わっていくべきもの
不祥事から10年という歳月を経て、さまざまな試行錯誤を繰り返し、成長を遂げてきた石屋製菓。
「何十年と変わらない味を提供し、お客様が安心して食べられる環境を作ってきたこと」こそ、『白い恋人』が愛され続けてきた理由の1つだと考えている石水さんは、その志を忘れず成長していきたいと語ります。
銀座最大の複合商業施設『GINZA SIX』への進出など、まだまだ挑戦し続ける石屋製菓。
すべての仕事の根底には、地元・北海道の魅力を世界中の人に広めていきたいという願いと、誰よりも北海道を愛する気持ちがありました。
宝島社 石水創 著 『「白い恋人」奇跡の復活物語』
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[文・構成/grape編集部]