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ごはんを食べるしあわせ 『日常』の尊さを教えてくれる

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

一緒にごはんを食べるしあわせ

週末、ネットフリックスで『きのう何食べた?』を一気に観てしまいました。昨年、テレビ東京で放映されたドラマ、原作は『モーニング』(講談社)に連載されている同名の漫画です。

主人公は2LDKに同居しているシロさん、ケンジのゲイ・カップルの二人。西島秀俊と内野聖陽が演じています。シロさんは雇われ弁護士で、料理担当。このドラマの見所は、シロさんが料理をする場面を、作り方を交えながら料理番組のように描いているところです。

月2万5千円の食費で抑えることを目標にしているので、安売りのスーパーで材料を吟味するところなどが細かく描かれているのもおもしろい。手際のよさ、段取りのよさもなかなかのものです。

そして何よりも、シロさん大好きな内野聖陽演じる美容師のケンジがチャーミングです。おいしい、おいしい、最高!と言いながら、シロさんの作ったごはんを食べるのを観ていると、こちらにまでそのしあわせ感が伝わってくる。おいしいごはんから生まれる温かな気持ちの交流が、『日常』の尊さを教えてくれるのです。

どちらかというと朴訥感があり、見た目も服装もゲイには見えない西島秀俊のシロさんと、感情表現豊かで、すぐに心配したり、嫉妬してしまうケンジの関係も、『二人でいること』の楽しさを見せてくれます。

几帳面なシロさん、おおらか、でも繊細なケンジという一見相反するキャラクターの二人がいるのは、許し合い、受け入れ合う優しい空間なのです。

私はネットフリックスで配信されてからこのドラマのことを知ったのですが、コミックでも大人気の作品なんですね。ごはん、そして優しい関係。それさえあれば、しあわせに生きていけると思えてしまうのは、少し大げさでしょうか?

デパートの地下にも、マーケットのお惣菜売り場にも、『今夜のおかず』はたくさん売っています。家を出れば、飲食店はたくさんある。私も忙しいときなど、よく利用します。

でも、やはりうちで作ったごはんがおいしい。炊飯器から炊きたてのごはんをよそうとき、至福の瞬間です。一人暮らしをしていたときも、満ち足りた瞬間でした。

88歳、一人暮らしの父にお惣菜の差し入れを。『きのう何食べた?』を観た後だったからか、シロさんのように手際よく、冷蔵庫にあるものでちゃちゃっと5品。鶏団子と春雨のスープ、肉豆腐、スープカレー、人参のサラダに菜の花の胡桃和え。美味しく食べてもらえることを祈りつつ。

一緒にごはんを食べるしあわせ。ひとりで食べるごはんも喜んで。食べるものも、そのときの思いもエネルギー。命をつなぐ食事を喜びながらすることが、私たちのからだをしあわせにするのです。

※記事中の写真はすべてイメージ

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[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
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