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鉄のフライパンで、鉄分を取れる? 専門家の回答「何の料理かによって…」

By - デジタル・コンテンツ・パブリッシング  公開:  更新:

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鉄のフライパンの写真

※写真はイメージ

「鉄分が多く摂取できるので、調理には鉄のフライパンを使うとよい」という話を聞いたことはありませんか。

これは本当なのか、関西大学化学生命工学部の細見亮太准教授に取材しました。

細見先生は食と健康についての研究者で、例えば、鉄鍋を用いると調理中にどのように鉄分が溶出するか(その結果鉄の摂取量が増加する)についての論文を書かれています。

鉄の調理器具を使うと…?

細見先生によると「鉄の調理器具を使うと、鉄分の摂取量は確かに上昇する」とのことです。

鉄の調理器具、例えば鉄鍋を使って調理すると、鉄が料理に移行して、人間が食べることで鉄の摂取量が上がることが分かっています。

ただし、どのような料理を作るのかによって鉄の移行する量が変わります。例えば、鉄鍋に水を入れて沸かしても鉄の移行量はさほど大きくありません。

日本人の1日の鉄分の推奨量は、男性18~64歳で7.5mg、月経のない女性18~64歳では6.5mgと定められています。

ほかの研究者が実験した結果(※)ですが、ステンレスの鍋で料理した場合と比較すると、鉄鍋で調理したほうが、多く鉄が料理に移行したことが報告されています。

具体例として、4人前の場合、ビーフシチューは4.2mg、酢豚は1.4mg、野菜炒めは0.6mg移行しました。

※今野暁子,及川桂子:調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化.日本調理科学会誌,36(1), 39-44, 2003

上記の実験から、鉄鍋で料理したほうが鉄の摂取量は多くなると考えられるわけです。

鉄のフライパンの写真

※写真はイメージ

続けて、細見先生からは、以下のようなアドバイスがありました。

上記のとおり、鉄の調理器具は、普段の鉄分摂取を補うための『補助の手段』として利用できます。

鉄の摂取量を増やすには、食事の種類を変えるだけでなく、調理器具の種類を変えることも有効な手段というわけです。

鉄製鍋を用いることで、調理中に鉄が溶出して鉄摂取量が増加すること、また溶出された鉄は、体内に吸収されやすい二価鉄(にかてつ)の割合が多いことが明らかにされています。

ただし、鉄分を多く取るように食事を心がけても貧血症状が解消しない場合には、医療機関にかかることをおすすめします。

普段の食事で鉄分摂取を心がけつつ、あくまで補助の手段として、鉄の調理器具を使ってみるといいかもしれませんね。

細見亮太

関西大学 化学生命工学部(生命・生物工学科)食品栄養化学研究室。准教授。博士(工学)。

2011年3月 『関西大学大学院』工学研究科 博士後期課程 修了。同年4月 『鳥取短期大学』生活学科 食物栄養専攻 助教。

2014年4月 『関西大学』化学生命工学部 助教、2017年4月より現職。2024年4月 日本油化学会 進歩賞

関西大学化学生命工学部食品栄養化学研究室(旧・食品工学研究室)


[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]

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出典
「使用年数の異なる鉄鍋を用いた調理中の鉄溶出量と鉄鍋表面の金属元素の化学状態」(2013年)

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