金銭じゃなくてもNG? 個人で受けた『PR案件』、会社に内緒にしていると…
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grape [グレイプ] issues
SNSで、好きなものを、好きなように発信しているうちに、フォロワーがどんどん増え、ある日、企業から「あなたにうちの商品をPRしてほしい」という夢のようなダイレクトメッセージが届く…。
これは、多くのSNSユーザーが一度は憧れる、シンデレラストーリーかもしれません。
しかし、立場が会社員であった場合、輝かしいスポットライトの裏には、現実的な問題が隠されています。
「これって、『副業』にあたるのかな?」「バレたらクビになっちゃうのかも?」といった疑問がある人もいるでしょう。
夢への一歩と、会社員としての立場の間で揺れ動く時、私たちはどうすればいいのでしょうか。
社労士「報酬を受け取った時点で…」
趣味の延長線上にあるともいえる、インフルエンサー活動は、どこからが『副業』と見なされるのでしょうか。
大阪府茨木市で、社会保険労務士法人こころ社労士事務所を運営する香川昌彦さんに、話を聞いてみました。
――インフルエンサー活動は、会社の副業規定に触れるのでしょうか?
はい、企業からPR案件として報酬(金銭や物品提供など)を受け取った時点で、それは事業活動であり、『副業』と判断される可能性が非常に高いです。
たとえ「趣味の延長です」と主張しても、収益が発生し、それを継続的に行っているのであれば、単なる趣味とは見なされません。
――会社にバレずに、こっそり続けることはできますか?
住民税の金額の変動などから、会社に知られてしまう可能性はあります。
もし、会社の就業規則で副業が明確に禁止されているにもかかわらず、無断で活動を続けていた場合、最悪のケースでは懲戒処分の対象となることも考えられます。
「バレなければいい」という安易な考えは、自身のキャリアを危険にさらす、とてもリスクの高い行為なのです。
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――会社とのトラブルを避け、活動を続けるためには、どうすればいいのでしょうか?
まずは、会社の就業規則を確認し、『副業禁止』なのか、『届出制』なのか、自社のルールを正確に把握しましょう。
近年、副業は原則として認められるべきという考え方が主流のため、多くの企業が『届出制』を採用しています。
これは、会社側が副業の内容を把握し、『本業の業務に支障が出る』『会社の機密情報が漏洩する』『会社の信用を傷つける』といった合理的な理由がある場合に限り、制限を検討するためのものです。
まさに、インフルエンサー活動の内容が、会社の『服務規程』や『情報保護規定』に触れてしまうケースが、これにあたります。
これらのリスクを踏まえた上で、誠意をもって上司や人事部に相談しましょう。
もっとも大切なのは、自社のルールに従って、まずは会社に正直に届け出ることです。
そのうえで、自分の活動が先ほどのような制限理由に該当しないことを、誠意をもって説明しましょう。
『本業の業務時間外に行う』ことはもちろん、「会社の服務規程や情報保護規定を遵守し、信用を損なう活動や情報漏洩は決してしない」と明確に伝えることが、会社側の懸念を払拭し、不要なトラブルを避けるための鍵となります。
隠さずに真摯に対応することが大切
副業を解禁する企業が増えているとはいえ、会社側が心配するのは『本業がおろそかにならないか』という、至極もっともな点です。
その不安を解消できるのは、法律やルール以上に、日々の仕事に対するあなたの真摯な姿勢と、上司や同僚との信頼関係なのかもしれません。
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隠れてコソコソと活動するのではなく、ルールを守り、周りへの感謝を忘れずに、胸を張って自分の『好き』を発信する。
その誠実な姿こそが、会社員としても、1人のインフルエンサーとしても、あなたを1番輝かせてくれるはずです。
夢を追いかけることは、決して悪いことではありません。大切なのは、その追いかけ方。あなたらしい、誠実な一歩を、踏み出していきたいものですね。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]
監修・取材協力 香川昌彦
社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表社会保険労務士
大阪府茨木市を拠点に、就業規則の整備や評価制度の構築、障害者雇用や同一労働同一賃金への対応などを通じて、労使がともに豊かになる職場づくりを力強くサポート。
ネットニュース監修や講演実績も豊富でありながら、SNSでは「#ラーメン社労士」として情報発信を行い、親しみやすさも兼ね備えた専門家として信頼を得ている。
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