『チャイルドペナルティ』とは何か 出産後に女性の賃金が6割減になる現実

By - grape編集部  公開:  更新:

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ベビーカーの写真

※写真はイメージ

女性にとって大きなライフステージの変化の1つとして挙げられるのが、出産。

共働きの家庭が増えた現代でも、世間の「子育てや家事は女性がするもの」という固定観念は根深く、第1子出産後の女性は仕事に注げる時間が減ってしまいます。

2024年8月21日、『チャイルドペナルティ』という単語がXでトレンド入りし、ネット上でさまざまな声が上がりました。

チャイルドペナルティに対し、さまざまな意見

事の発端は、同日放送の情報番組『NHK NEWS おはよう日本』(NHK)内で『チャイルドペナルティ』について報じられたことです。

『チャイルドペナルティ』とは、出産や子育てなどにより生じる社会的・経済的に不利な状況を指す言葉。別名『マザーフッドペナルティ』とも呼ばれ、日本に限らず、世界各国で起こっている現象だといいます。

あたかも子供を持つことをデメリットとするようないい回しに、「直訳すると『子育て罰』だなんて嫌な言葉」「よくない表現だな」など、嫌悪感を表す人も少なくないようです。

妊婦の写真

※写真はイメージ

2022年6月に財務省財務総合政策研究所が発行した『仕事・働き方・賃金に関する研究会―』報告書の第3章『チャイルドペナルティとジェンダーギャップ』によると、日本の『チャイルドペナルティ』は各国と比べても大きく、各国と同様もっぱら女性に帰属していることが確認されています。

前述したように、日本で根深く残っているのが『子育て=母親』という固定観念。男性は第1子を授かったタイミングでも労働所得に変化が見られない一方、女性は出産後におよそ6割減になると、同研究所の調査で分かっています。出産後約7年もの間、女性の賃金は6割減のまま、ほとんど横ばいに推移するようです。

この数字が示すのは、「育休中の収入がない」という一時的な問題にとどまらないということです。育休明けに職場復帰した後も、時短勤務や急な早退・欠勤などの影響で評価や昇進の機会が遠のき、賃金格差が長期にわたって固定化されやすい構造があるといえます。

子育ての負担によりフルタイムで働けず、パートなど限られた条件下での労働を余儀なくされたり、キャリアが中断して出世が遠のいたりするなどの理由が挙げられるでしょう。

Xなど各SNS上では、出産後の女性の賃金低下に、苦言を呈する人が相次いでいます。

・『チャイルドペナルティ』なんて国のせいなのに、企業の責任みたいにいってる。

・今の日本は本当に子育てしにくい。いってしまえば、『少子化促進政策』だもんな。

「国の問題か、企業の問題か」という責任の所在をめぐる議論も起きており、個人や家庭レベルの努力だけでは解決しない構造的な問題として捉える声が目立つようです。

こうした声が上がる一方、「子育て期間は賃金が下がっても仕方がないのでは」と考える人もいるようです。

育児休暇期間は賃金が下がっても仕方ない?

「賃金が下がっても仕方がない」とする人たちからは、このような意見が出ています。

・育児休暇期間は給与が支給されない会社がほとんどだから、賃金が下がるのは当然ですよね…。

・外部から賃金を得る仕事を減らして出産や子育てをしているんだから、収入が減るのは当たり前じゃない?

・女性が産休や育休、時短勤務によって6割程度の給与になるのは正常。

働く対価として賃金が支払われる以上、子育てにより仕事に費やせる時間が減った親の収入低下は避けようがないとする考えは、あながち間違いではないでしょう。

しかし問題視されるべきは、子育て期間において女性に家事や育児が偏ってしまっていることといえます。

男性が同様に育休や時短勤務を取得すれば、賃金の低下は男女に分散されるはずです。それが実現しにくい背景には、「男性が育休を取ると職場に迷惑をかける」という職場風土や、取得後に不利な評価を受けるリスクを懸念する声があるとされています。

「子育てしやすい社会」に向けて求められること

現代において、共働きの家庭が増加しているとはいえ、「家事や子育ては女性の役割だ」という思い込みをやめられない人は一定数いるものです。そうした固定観念が消えない限り、『チャイルドペナルティ』という言葉は今後も残り続けることが想定されます。

夫が育児休暇を取得し、育児と家事がいかに大変かを少しでも知るきっかけを作るだけでなく、家庭内労働の負担をできるだけ均一化することが求められるのかもしれません。

とはいえ、昨今は夫も育児や家事に参加し、夫婦で協力しながら子育てをする家庭が多く存在しているのも事実。当事者の意識や行動の改善だけでは限界があり、『チャイルドペナルティ』の根本的な解決までには至らないのです。

「男性が育休や時短勤務を取得しづらい」という声は多く聞かれており、子育てに関連する制度の取得を、女性社員のみを想定して運営している企業は少なくありません。働く男性が当たり前に子育てに参加できるようになるためには、企業や自治体、国規模での意識改革が行われる必要があるといえます。

多様な働き方を自由に選べるような社会づくりは、子育て中の人々だけでなく、さまざまな事情を抱えた多くの人々にとっても、生きやすい世の中になるといえるでしょう。


[文・構成/grape編集部]

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出典
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