勝敗を超えて心に残った『凄み』 サムライブルーが見上げた空とピッチ上の美しい敬意

By - 吉元由美  公開:  更新:

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背番号とサッカーボールの写真

吉元由美

作詞家、作家。作詞家として1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛けた。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。 grapeでコラム『ひと・もの・こと』を連載。 …続きを読む

吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

サムライブルーが見上げた空

FIFAワールドカップ、サムライブルーの戦いが終わりました。

予選リーグを突破し、決勝リーグのブラジル戦。

ゴール前の攻防の末、最後の1分にゴールを決める…これがサッカー強豪国の凄みなのだと思いました。

運とか実力ということとは別次元の『凄み』。

その国の歴史やプライドなのか、勝つことへの執念なのかうまく言葉にできないのですが、何かがあったのです。

ブラジルの国旗を持つ人の写真

ある人はこう述べていました。

「ブラジルは貧困から抜け出すために、サッカー選手を目指す。裸足でボロボロのサッカーボールを蹴り、金のため、家族のためにサッカーをしてきた。何もかもが整った環境で、親がかりでサッカーをしてきた日本人とは違う。そんなブラジルに日本が勝つわけがない」

貧困から抜け出すために死に物狂いでサッカーをしてきた、それが『凄み』となっているのか。

そうなのかもしれない。大切なことは、それぞれの環境の中で、選手たちそれぞれがどう生きるか、生きているかという『精神』と『フィジカルの哲学』なのではないかと、今回の一連の試合を観て思いました。

サッカーをする子供の写真

もちろん、選手はもちろん、日本中が新しい景色を観たかった。

負けた…それがすべてと言われたらすべてです。

でも、私はいくつもの『新しい景色』を観ることができました。

田中碧選手は、自分のミスによって得点され、責任を果たせなかったことへの失意、悔しさにピッチにうずくまり立ち上がれなかった。

それを同じ悔しさの中にいる仲間が励ます。中でもブラジルのマテウス・クーニャが田中選手を抱きしめて、顔を上げるんだと励ましているシーンは泣けます。

そこには『敬意』の美しさがあり、私たちが学ぶべきことがそこにあるように思えました。

握手をする選手の写真

前回のカタール大会。日本は決勝リーグの初戦、延長戦、そしてPK戦の末、敗れました。

田中碧選手と小学生の頃から一緒にサッカーをしてきた三苫薫選手がPKを外し、涙で顔を覆ったとき、真っ先に駆け寄ったのが田中選手です。

でも、今回、三苫選手は怪我のために出場できなかった。

三苫選手の背番号を背負い戦った田中選手の思いは、果てしない宇宙の中の孤独のようです。

そこに寄り添えるのは、三苫選手だけかもしれません。

背番号の写真

終わりのホイッスルがなった後、選手たちは呆然と空を見上げ、ピッチを立ち去れずにいました。

彼らの目に、ビッチの上の空は美しかったでしょうか。

そして最後に円陣を組み、森保監督が話すのを聞いている選手たちの中、下を向く田中選手とそっと肩を組み、監督の言葉に小さく頷いている板倉滉選手の姿は頼もしかった。

今回の試合について、日本代表の今後についてさまざまな意見、考えがあるでしょう。

私には考えが及ばないことばかりですが、小さくともたくさんのドラマに触れることができたブラジル戦は、作詞家である私にとって胸を震わせる試合でした。

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※記事中の写真はすべてイメージ


[文/吉元由美 構成/grape編集部]

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