漢字の影が『陰』になる アンビグラム作家・野村一晟の作品が4万RTの話題に

By - いとう舞香  公開:  更新:

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私たちの日常にあふれる『文字』。国や地域によって異なるとはいえ、多くの人たちにとって身近なものです。

字が持つ『本来の意味』を活かした、日本人アーティストの作品が話題になっています。

文字の美しさを感じる『アンビグラム』が話題に!

「この作品、すごいの!」

そんなコメントと共にTwitterに投稿された、1枚の画像。『陰と陽』というタイトルのこの作品は多くの人の心をうち、なんと4万リツイートされるほどに!

地面に立てられた、『陽』の文字。文字通り光を浴びる『陽』の下を見ると…。

なんと、『陽』によって『陰』が生み出されているのです!

光の当たる場所に立てられた『陽』の文字が、地面に落とす影の形が、そのまま『陰』という漢字として読み取れる仕組みになっています。2つの対義語が、物理的な光と影の関係によって同時に成立するという、文字の意味と造形が一致した作品です。

こういったデザイン手法を『アンビグラム』といい、異なる方向から文字を見ても、読み取ることができます。

アンビグラムとは、文字を逆さにしたり、回転させたり、鏡に映したりした状態でも別の文字や同じ文字として読めるよう設計されたアート表現のことです。日本語の漢字は複雑な形を持つだけに、この手法と組み合わせたときの表現の幅が広いとされています。

例えば、こちらの鬼のイラストと『おにはそと』『鬼』という字が書かれた作品。逆さまにしてみると…『ふくはうち』『福』に!

節分にちなんだこの作品では、鬼のイラストそのものも逆さにすると福をもたらす存在へと変化します。文字だけでなく絵柄まで意味が反転するよう設計されており、アンビグラムの可能性を広げた作品といえるでしょう。

この作品を生み出したのは、画家・アンビグラム作家の野村 一晟(のむら いっせい)さん。富山大学の芸術文化学部でアートについて学び、卒業後は富山県内のイベントを中心に活躍しています。

『陰と陽』は海外でも拡散され、一躍話題に!「漢字の深いところを突いている」「漢字を使っている中国人にも広がるべきだ」といった声が上がっています。

英語圏のユーザーからは「漢字の美しさが現れている」という称賛の声も届き、日本語・漢字文化圏を超えて広く共感を呼んだことが伺えます。言語の壁を越えて視覚的に伝わるのも、アンビグラムという表現手法ならではの強みです。

作家の野村さんにお話を伺いました

5年間、『アンビグラム』を中心に制作活動をしている野村さん。作り始めた経緯や、作品への想いについて、お話を伺いました。

――『アンビグラム』の作品を作り始めたきっかけは。

きっかけは1本の映画です。
大学3年生(当時20歳)だった2011年6月ごろに映画『天使と悪魔』のDVDを見ていると、作中にアルファベットのアンビグラムが登場しました。

その造形の美しさに見惚れて、自分でも友人の名前などで試しに作ってみました。
すると法則が見えてきて、日本語でも作れるようになりました。

最初はアルファベットで試行錯誤しながら法則を掴み、それを日本語・漢字へと応用していったそうです。独学でアンビグラムの仕組みを解析し、自分なりの制作手法を確立していった過程が伝わってきますね。

――『陰と陽』を、制作した経緯は。

名前のリクエストを受けて作るようになると、同時期にいろんな単語でも作り始めました。

慣用句や対義語でも作っていくなかで『陰と陽』の関係を具現化できないか、と考えていました。
すると丁度、その時期に大学の選択授業で金属加工を学べる授業があったので選択し、実現しました。

平面の紙の上に描くだけでなく、金属加工の技術を用いて立体作品として仕上げたことで、実際に光を当てて影を生み出すという演出が可能になりました。大学の授業との出会いが、あの印象的な作品を生んだといえます。

――今回の反響を受け、どう思ったか。

イベントでの『アンビグラム』の即興制作では、知名度が低いために見向きもされないことが多かったので、『アンビグラム』の意味と面白さを知った方が増えて、とても嬉しいです!

――特に気に入っている作品は。

一番最初に考えた「ただいま⇔おかえり」や、以下の作品です。
26歳の時に制作した『自画像』は、HB芯のみで描いています。

スマートフォンや携帯電話でご覧の方は、ぜひ逆さまにしてご覧になってみてください!

『ただいま⇔おかえり』

『ただいま⇔おかえり』

「ただいま」と「おかえり」は、帰宅の場面で交わされる一対の言葉です。どちらか一方だけでは成立しない、呼応する関係にある言葉をアンビグラムで表現した点に、野村さんらしい視点が感じられます。

他にも「おお!」と驚く作品が続々!

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