非常食は3日分で大丈夫…じゃなかった! 災害後に分かる現実を防災士が解説
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地震や台風、大雨のニュースを見るたびに、「我が家の備えは本当に十分だろうか」と心配になる人も多いのではないでしょうか。
スーパーマーケットの防災コーナーや非常食売り場を眺めても、「3日分あればひとまず安心らしいし…」と、買い足しや見直しを先延ばしにしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、地震や台風でライフラインが止まり、避難生活が3日以上続いたらどうでしょうか。
温かい食事もとれず、十分な水もない状態が続いたとしたら、不安やストレスは想像以上に大きくなるはずです。
『3日分あれば安心』は本当?
非常食が「どれだけ必要なのか」まで考えたことがある人は、意外と少ないかもしれません。
そこで、防災士として活動するいくみさんに話を聞いてみました。
――『非常食は3日分』と聞きますが、これはどのような根拠に基づいているのでしょうか。
『非常食は3日分』という目安は、国や自治体が『災害後の最初の72時間(3日間)は自力でしのぐ必要がある』と想定していることから来ています。
内閣府の防災基本計画や、東京都の防災ブック『東京防災』などでも、行政による救援や物資支援が届くまでには時間がかかるため、最低3日分の水と食料を備蓄しておくことが推奨されています。
これは「少なくとも3日は行政の支援に頼らず生活できるように」という自助の考え方に基づいた目安です。
しかし、実際の災害では、道路の寸断や停電、通信障害などによって支援が遅れることが多く、地域や被害規模によって状況は大きく異なります。
例えば、『東日本大震災』の際には、5〜7日以上支援が届かなかった地域もありました。
――では、どのくらいの備蓄を想定しておくと安心でしょうか。
『3日分では足りない』として、1週間分の備蓄を推奨する傾向にあります。
東京都の『東京防災』や神奈川県の防災ガイドでも『最低3日、できれば7日分』と明記されています。
特に最近は、避難所に行かず自宅で過ごす『在宅避難』のケースが増えています。
自宅で電気や水道が止まる状況を想定し、家族全員分の7日分の食料と水を準備しておくと、より安心といえます。
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――備蓄を続けるコツや、習慣化するための工夫があれば教えてください。
防災を日常の延長として考えることが重要です。
内閣府や農林水産省も推奨する『ローリングストック法』は、普段の買い物や食事の中で自然と備蓄を回す方法で、無理なく取り入れられます。
例えば月に一度、あるいは年末などに『点検日』を決めて、備蓄品の確認をするだけでも習慣になりやすいでしょう。
さらに、備蓄を家族の安心投資と考えると続けやすくなります。
非常食や水は、災害時だけでなく日常の安心にもつながる保険のような存在です。
完璧を目指さず、暮らしの中でストックを続ける工夫をしましょう。
備えは『量』だけでなく『向き合い方』が安心につながる
非常食などの防災グッズは、1週間分の準備が推奨とされていますが、量や内容に『これが正解』という形はありません。
大切なのは、自分や家族の暮らしに寄り添ったかたちで、できる範囲の備えを続けていくことです。
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災害は、ある日ふいに、いつもの日常を止めてしまいます。
そんな時、少しでも落ち着いて過ごせるかどうかは、普段からどれだけ準備してきたかで変わってきます。
一度で完璧を目指す必要はありません。まずは今の状況を知って、できるところから少しずつ整えていきましょう。
その小さな一歩の積み重ねが、いざという時の大きな安心につながっていくはずです。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]
監修・取材協力 いくみ
Xフォロワー10万人の防災士。
著書『安心と安全のハンドブック危機への備え』がベストセラーに。
「むずかしい防災を、やさしく日常へ」をテーマに発信しています。
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