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最近よく聞く『イノベーション』 実は『あの業界』も頭を悩ませていた

By - grape編集部  公開:  更新:

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身のまわりのあらゆるものがインターネットにつながるIoTや人工知能(AI)の急速な進歩により、私たちの暮らしは大きく変化しています。

ITで変わる暮らし

IoTやAIといわれて思いつく身近なものといえば、何があるでしょうか。

たとえば生活家電。いま話題のスマートスピーカーは人の声に反応して室内の家電を操作したり、聴きたい音楽を再生したりできる便利なツールですよね。

IoTやAIを活用することは、私たち自身の暮らしをより豊かなものにするだけでなく、ビジネスの現場でも作業効率化や経費削減、さらには消費者のニーズを探るビジネスチャンスとしてとらえられています。

そんな中、いま多くの製造業が、よりよい製品を作る「モノ」重視のビジネスから、IoTやAIなどのテクノロジーを活用した、よりよいサービスを提供する「コト」重視のビジネスへと大きな変革を図っているのだとか。

製品中心から成果ベースへ

2016年にGE(ゼネラル・エレクトリック)のソフトウェア事業部門であるGEデジタルの傘下となったアメリカのServiceMax from GE Digital。同社は、フィールドサービス業務向けクラウドサービス『Predix ServiceMax』を提供しています。

『Predix ServiceMax』

カスタマーサービスを一元管理できるクラウドサービス。契約や設置機器の管理、作業指示、部品管理、スケジュール管理などの業務管理を可視化できるほか、作業員稼動率といった履歴データの分析が可能。

フィールドサービスとは?

製造業において、販売した製品や機器の設置、点検、保守などの作業のこと。お客様対応の窓口として欠かせないカスタマーサポート業務などもこれにあたります。

いま、このフィールドサービスが新たなビジネスモデルを見つける上で重要な、顧客接点のひとつに位置付けられています。

2018年6月7日、大阪・梅田で開催されたServiceMax from GE Digital主催のワークショップ『日本の製造業におけるこれからのイノベーション』では、同社のコーン・ジェンキンス氏が基調講演に登壇。

製造業の経営者ら約100名に向け、いまこそサービス変革の時と熱く語りかけました。

「まず現状を把握して、お客様のニーズを理解することが大事です。成熟度の高い企業ほどサービスが向上します。これまでのような製品中心のアウトプットから、成果ベースのサービスへ転換すること。そのためにテクノロジーを活用しなければなりません」

続いて事例講演として登壇した日本電気(NEC)の斉藤正明氏は、『Predix ServiceMax』を導入したことで、原材料調達・生産管理・物流・販売までの一貫したシステムの最適化につながっていることを報告。

プロジェクトの進捗やコストの見える化、人員配置の無駄を削減できたといいます。

イノベーションの本質とは?

講演会冒頭、コーン氏はアイスランドのイーサフィヨルズゥルに設置された『3D横断歩道』を例に、サービス改革のための「イノベーションの本質」について教えてくれました。

画像:Ágúst G. Atlason (2017)

この横断歩道、歩行者から見ると、何の変哲もない横断歩道ですが、車に乗っている人には浮き上がって見えるため、注意を促すことができ、交通事故抑止に効果が期待されています。

ともすればよりよい「信号(モノ)」を企画開発してしまいそうですが、「新製品を開発することを競うこれまでの製造業のやり方では、一時的なシェアを高めるだけ」とコーン氏。

報酬は「モノ」ではなく「コト(成果)」に支払われるべきだといいます。

コーン氏はサービス変革の例として、GEはイギリスの工業メーカー、ロールス・ロイスのジェット機用にエンジンを提供する際、「購入」「リース」「オンデマンド」と顧客にとってベストな購入方法を選べるようにしていることを紹介。

また、自動車部品や電動工具のほか家電も手掛けるドイツのボッシュは、自社の冷蔵庫付き賃貸物件に入居してもらい、冷蔵庫のレンタル料を含む賃料を払ってもらうサービスを提供しているといいます。

顧客に購入以外の選択肢を与えることで、顧客側はTCO(TOTAL COST of Ownership=総保有コスト)を負担せずに済み、メーカー側はデータを取得できるというメリットが生まれているのだそうです。

「サービス変革に際して、ServiceMax from GE Digitalは現場機器の稼働状況を可視化し、成果を最大化するサポートをします」

モノから一歩先へ

このように製造業はいま、製品を作って販売するだけではなく、製品も含めたサービス全体として価値を提供する時代へと変化しています。

私たち消費者が商品やサービスを選ぶときも、単にその「モノ」の品質を見るだけでなく、その先の「コト」の品質も見定める目が必要となってくるのかもしれません。


[文・構成/grape編集部]

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