意外と知らない人が多い? 炊き込みご飯を作る時の注意点
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季節ごとにさまざまな食材を楽しめる、炊き込みご飯。
具材を切って、調味料と一緒に炊飯器に入れるだけで手軽に作れるのも嬉しいポイントでしょう。
しかし、一方で「炊き込みご飯は足が早い」といわれることも。特に「夏場に作って腐らせてしまった」という人もいるかもしれません。これはなぜなのでしょうか。
東京家政大学調理学研究室の加藤和子先生に取材しました。加藤先生は『炊き込みご飯に使用するにんじんおよびごぼうの細菌汚染状況』という論文を執筆しています。
炊き込みご飯は「長持ちしない」
加藤先生にうかがったところ、そもそも炊き込みご飯は「長く持たない料理」だそうです。
古い料理書にも「炊き込みご飯をお弁当に入れるのは避けるべき」と書かれています。古くから腐りやすい料理だと認識されていたわけです。
では、なぜ腐敗しやすいのでしょうか。加藤先生の論文では『セレウス菌』に着目した内容となっています。
セレウス菌は自然界に広く存在しますが、10の5乗個/g以上に増殖した場合には、人間にとっての毒を生成する恐れがあることも。
これが腐食、さらには人間にとっては食中毒の原因となると考えられます。
論文によると、研究チームは日本や東南アジアの米について調査をおこなったところ、「米にセレウス菌はほとんど見つからず、また炊飯米についても同じ」という結果を報告。
ということは、炊き込みご飯の『具』のほうにセレウス菌が付いており、これが増殖して人間に悪影響があると考えられるわけです。
加藤先生は以下のように見解を述べています。
「そもそも食材に付着している土が問題なのではないか」と考えられます。というのは、セレウス菌は土壌にも生息する菌なのです。
ニンジンやゴボウなどの炊き込みご飯の具は、手間を惜しまずによく洗い、下処理を行うことが食中毒を防ぐ方法になります。
また、包丁やまな板のほか、手もよく洗って菌が付着しないようにすることも大事です。
炊き込みご飯は米だけではなく、さまざまな具を使用するので、そのぶん注意深く菌を落として調理する必要があるのです。
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炊き込みご飯の保存方法
さまざまな食材が使われており、菌が繁殖しやすい炊き込みご飯。安全に食べるにはどのような点に注意すればいいのでしょうか。
加藤先生は上記論文において、このように結論付けています。
炊き込み・混ぜご飯はセレウス菌に汚染されている可能性を考えて、セレウス菌の増殖に適した温度である28~35℃での長期保存を避けて、なるべく早く喫食するなど、取り扱いに注意するべきである。
炊き込みご飯を作ったら、一番避けるべきなのは常温保存をすること。菌の増食に適した温度になったら、そこで菌が繁殖し、食中毒を起こす原因になるからです。
では、残った炊き込みご飯は、どのように保存したらいいのでしょうか。
「調理後の食品は長時間常温で放置しないこと」が大事。60℃以上になると、セレウス菌などの菌の増殖を防ぐことができます。
そのため、炊飯器を使って炊いた場合は、そのまま保温機能を用いて60~70℃で保温するといいでしょう。
また、すぐに食べないのであれば、冷凍保存するのがおすすめです。
炊き込みご飯を作る時はまず、食材をよく洗浄し、下処理を丁寧に行うことが重要です。
これによって、付着していたセレウス菌による汚染を抑えることができます。
作り終えたら常温保存は避けて、調理後はなるべく早く食べてください。
保存時は炊飯器の保温機能を用い、すぐに食べないのなら冷凍保存しておくとよいでしょう。
【加藤和子 Profile】
『東京家政大学』栄養学部/栄養学科教授。博士(学術)(人間生活学)。
2012年 『東京家政大学』家政学部 栄養学科 准教授。2020年から現職。
著書に『健康を考えた調理科学実験』(アイ・ケイコーポレーション)などがある。
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]