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気付きましたか?レインボーブリッジが緑色に輝いた一夜 その灯りのメッセージとは

By - grape編集部  公開:  更新:

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写真提供:首都高速道路株式会社

鮮やかな緑に光る、レインボーブリッジ。都心のシンボルの1つが色を変えた日があったこと、あなたはご存知ですか。

東京だけではなく、北は福島・鶴ヶ城から南は長崎・眼鏡橋まで、各地のランドマークが一夜だけ、グリーンにライトアップされたのです。その理由をひもとく手がかりは、意外な場所に隠されていました。

それは、免許証や保険証の裏に記載されている臓器提供の意思表示欄。もし自分の身に何かがあった時、臓器をどうして欲しいかを記入する欄です。

最新の内閣府調査によると、回答者の約4割が自らの臓器を「提供したい」と前向きに考えています。しかしそれに対し、実際に免許証などに意思表示をしている人はたったの13%程度。

みんなで臓器提供の意思表示の輪を広げたい!

その想いを表すために使われているのが『グリーンリボン』。各地のランドマークが緑色に染まったのにも、臓器移植の認知を高め、少しでも意思表示をする人が増えることへの願いが込められていました。

しかし、なぜ意思表示が重要なのでしょうか。

臓器提供とは『喜捨(きしゃ)』すること

日本移植学会の理事長、江川裕人(えがわ・ひろと)先生に話を伺いました。

ーーなぜ、臓器提供の意思表示をすることが重要なのでしょうか。

最大の理由は、脳死になった時に最終決定するのは、ご遺族の方々だという点です。

「遺体に傷をつけたくない」というのが多くの日本人の心情なので、どうしてもちゅうちょしてしまう。しかし、生前に「臓器提供をしたい」という話を故人から聞いていたら、辛さを乗り越えて、提供できると思います。

※写真はイメージ

「私はイヤ」という話を聞いていたのであれば、その時が訪れた時に「お断りします」とはっきりいえます。知らなかったら「本当はしたかったのかも」と思ったり、悩むことになってしまう。

だから、普段から家族の中で話をして、万が一の時はこうしたいという意思の確認をすることが重要なんです。

ーーなぜ意思表示は増えないのでしょうか。

いろいろな理由があると思いますが、1つは、日本人独特の「縁起でもない」という考え方。「万が一、脳死になる」なんて、縁起でもないことを口に出したくない…。

この感覚が、家族での話し合いをさえぎっているのではないでしょうか。でも、意思表示の重要性、臓器移植の光の部分を理解してくれる人が増えれば、臓器提供が増えるはずです。

移植は逆転ホームランのようなものです。3か月か半年の余命宣告を受けた人が、職場復帰するんですよ!そんなスゴさが臓器移植にはあります。

ーー最後に、読者にメッセージをお願いします。

移植医として、少し前までは、自分の患者さんを生かすために全力を尽くしてきました。でも、臓器提供推進に関わるようになって思うのは、自分は「いただいた臓器を生かすためにやってる」ということ。

ドナーの「臓器をあげて、助けたい」という気持ちに応えるためにやっていると思っています。

ドネーションという言葉は提供じゃないと思うんですよ、『喜捨(きしゃ)』なんです。喜んで捨てるんです。もともと仏教用語なんですけれども、喜んで捨てることで、心があらわれるんです。

亡くなった時に自分には必要のないものを、必要とする人、見ず知らずの人に渡せることは、最上級の愛情。私はそう思っています。

「誰かの役に立ちたい」と考えること

現在日本にいる移植待機者は1万3千人。しかし1年間で移植を受けられる人はそのわずか2.0%です。

「亡くなったらどうする」ということだけではなく、『誰かのためにできること』を考えることが、臓器提供の意思表示につながるのかもしれません。

そして意思表示は『いま』を示すものです。気持ちが変わったら、何度でも二重線で消して書き直すことができます。

家族が悩まないために。知らない誰かのために。あなたも、大切な人と一緒に考えてみませんか。


[文・構成/grape編集部]

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