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無人の原宿でMVをノーカット撮影!? 無謀な企画に監督が考えた超アナログな作戦とは【ハルロビンソン / HOWL】

By - grape編集部  公開:  更新:

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こんにちは!これどうやって作ったの!?と良く突っ込まれる映像やコンテンツを手掛けている、猿人のクリエイティブディレクター野村です。

これまで、オリジナルの侍フィギュアが3Dプリンターで作れるコンテンツなどを作ってます。

ミュージックビデオの中に『リリックビデオ』ってあるの知ってますか?

音楽に合わせて歌詞が出てくるビデオの総称で、字幕のように出るものからCGなんかを使って派手に動きのあるものまで様々あります。

そんな『リリックビデオ』の世界で全く新しい作品を作れないか、ということで今回手掛けたのが世界初!『ARリリックビデオ』です。

スマホのカメラをかざすと現実世界にCGとかが出現するのありますよね。ポケモンGOとかで見たことある人も多いんじゃないでしょうか、アレです。

今回のビデオをひと言で説明すると「アーティストの“直筆歌詞”を全長約300メートルに渡って原宿・表参道に浮かべたノーカット映像!」ということになります。

我ながら面白いアイディアだなと思ったんだけど、じゃあそんなものをどうやって作るの!?が始まる訳です。

まずは歌詞をどうやってデータ化するか?です。

これはアーティスト本人が空間に文字を書いてそれをデータ化することにしました。ちょっと何言ってるか分からないと思いますが、Google Tilt Brushというソフトがあってこの画像のようにVRの機材を使いながら空間に文字を書いていく訳です。

ちなみに、アーティストご本人に1文字ずつ書いてもらうのですが、全部で10時間くらいかかりました…。

次に、場所をどこで撮るか?です。

倉庫やだだっ広い空間だと撮影もやりやすいしまぁ完成も想像付くんだけどそれだとちょっと普通すぎる。もっと、前に進んだり曲がったり変化のある場所が良いな、と考えた末に誰もが知っている場所、原宿の表参道でやることにしました。

それが後に自分たちを苦しめることになるんですけど。

最後に、どうやって撮るか?です。

普通は撮影用の専門的なカメラを使って撮るのだけど、あいにくARの技術に対応したカメラは存在してません。そこでふと思った訳です。

「これ、iPhoneで良くない?」

撮影用にARのアプリを開発して表参道を模したデジタル空間上に歌詞をレイアウトしていきました。さくっと説明してるけどこれに3か月を要しました。

いざ、本番に向けたテスト撮影。スタート地点の表参道の歩道橋に何度も通い、テストを重ねます。

実際の道には高低差があり、文字の位置が微妙に高すぎたりズレてたり、何度もテストを重ねて精度を上げて、ようやく本番の撮影まで辿り着きました。

「どうせやるならワンカットで繋がって見えるように」ということで、夜明けと共に表参道に繰り出し撮影を重ねました。

ここで思いもよらぬ事態が。早朝と言えどもそこは世界のHARAJUKU。朝の5時台にもかかわらず結構な人通りがある訳なのです。当然、見知らぬ人が映像に映り込んでしまっては世に出すことができなくなります。

ハリウッド映画のように原宿を封鎖して優雅に撮影したいのは山々なのですが、そんな莫大な予算も権限もあるはずもなくちょっと途方に暮れました。

そこで思い至った解決策は「人のいない一瞬を狙って撮る」

もう気合いと執念と日頃の行いによる運に任せるしかない世界。

全部で100テイクくらい兼ねた上でOKカットはわずか2回。

デジタル技術とアナログな努力が実った作品です。ぜひご覧ください!

ARリリックビデオ – ハルロビンソン / HOWL

メイキング映像はこちら

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野村志郎 – Shiro Nomura クリエイティブディレクター

クリエイティブエージェンシー 『猿人』 https://www.shironomura.com/

先進的な映像表現やインタラクティブな体験を生み出すクリエイティブディレクター。日本政府観光局、ANA、グーグル、クロックス、西友、沖縄県など数多くのブランディング・プロモーションを手がける。世界で累計3,000万再生回数を超え話題となった日本政府観光局のJAPANブランディング動画、ANAのグローバルプロモーション「IS JAPAN COOL?」などで、世界三大広告賞ONE SHOW、アジア最大級の広告賞SPIKES ASIAグランプリ、グッドデザイン賞、メディア芸術祭などを受賞。

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