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お祝いムードが落とし穴に…? 元警察官が毎年見てきた『初詣の事件』は?

By - りょうせい  公開:  更新:

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『初詣』の写真

※写真はイメージ

早いもので、2025年も年の瀬を迎えました。「来年こそはいい年にしたい」と願いを込めて、初詣に出かける人も多いのではないでしょうか。

年末年始は長期休暇となり、お祝いムードや開放感から、どうしても気がゆるみがちな時期でもあります。

その結果、初詣の時期には、毎年のようにさまざまなトラブルが発生するのです。

初詣でなぜトラブルが起きる?

筆者が警察官として勤務していた現職時代、年末年始になると、どの都道府県の警察でも初詣の警備に出動していました。

それは単なる恒例行事ではなく、人が集中することで実際にトラブルが起きるからです。

初詣の写真

※写真はイメージ

スリ被害、人同士のもめ事、そして事故対応。現場では決して珍しいものではありませんでした。

今回は過去の経験を踏まえ、初詣の際に特に注意してほしいポイントを解説します。

悪い人を探すという話ではありません。人が集まり、気がゆるみやすい環境の中で、どんな点に気をつけるべきなのか。その視点から見ていきたいと思います。

人混みで特に注意したい、スリ被害

初詣の時期に特に多いトラブルの1つが、スリ被害です。

人が密集し、思うように動けない状況は、スリにとって非常に都合のよい環境になります。

参拝待ちの列では、前後左右との距離が近くなり、身体が触れ合う場面も珍しくありません。

そのため、誰かにぶつかられても「混雑しているから仕方がない」と思いがちです。

しかし、その一瞬の接触に紛れて、財布やスマホを抜き取られてしまうケースがあります。

特に注意したいのは、上着の外ポケットや、背中側に背負ったリュックのポケット

寒さ対策で厚着をしていると、手元の感覚が鈍くなり、盗られたことに気づきにくくなります。

『ポケットの財布を盗もうとしている』写真

※写真はイメージ

また、参拝前後にスマホや財布を頻繁に出し入れすることで、位置を把握されやすくなる点も見逃せません。

警察官時代、初詣の警備中に被害の相談を受けると「まさか自分が…」と話す人がほとんどでした。

特別なことをしていたわけではなく、ただ人の流れに身を任せていただけというケースが多かったのです。

スリ対策で大切なのは、周囲を疑うことではありません。

財布やスマホは身体の前側で管理すること。人混みではバッグのファスナーが開いていないか、時々確認すること。

ほんの少し意識を自分に向けるだけで、防げる被害は確実にあります。

参拝前後に起きやすい、思わぬトラブル

初詣では参拝の参列中、その前後でトラブルが起きるケースが少なくありません。

長時間並ぶことによるストレスに加え、年末年始という開放的な雰囲気から、気持ちが高ぶっている人も多いためです。中には、酒を飲んでから参拝に来ている人もいます。

警察官時代、実際に対応した事案の中には、参拝の列に並んでいる最中に肩がぶつかったことをきっかけに口論へ発展し、最終的に暴力を振るわれたというケースもありました。

本人に悪気はなくても、人が密集している状況では、ちょっとした接触がトラブルの火種になってしまいます。

『元旦初詣時の伊勢神宮内宮』の写真

※写真はイメージ

転倒やスマホの操作にも注意!

転倒によるケガも多く見られました。人の流れに押されてバランスを崩したり、足元に注意が向かなくなったりすることで、思わぬ事故につながります。

特に夜間は視界が悪く、段差に気づきにくい点も注意が必要です。

こうしたトラブルを防ぐために意識したいのは、まず両手を自由にしておくこと

寒いとついポケットに手を入れたままになりがちですが、とっさに体勢を立て直せず、転倒しやすくなります。手袋を使うなどして、できるだけ手は出しておきましょう。

また、参拝待ちの列ではスマホの操作を控え、周囲の様子に目を向けることも大切です。

人の動きに気づくだけで、無用な接触やトラブルを避けやすくなります。

そして何より、心に少し余裕を持つこと。

初詣は新年を迎える行事です。焦らず、落ち着いた気持ちで行動することが、結果的に自分の身を守ることにつながります。

年末年始に増える、事故のリスクにも注意

初詣の時期は、犯罪や人同士のトラブルだけでなく、事故にも注意が必要です。

年末年始は長期休暇となり、帰省客や旅行客が一斉に移動する時期。その結果、神社の周辺だけでなく、道路や駐車場、駅周辺でも事故が起きやすくなります。

警察官時代を振り返ると、この時期は交通事故の対応も増えていました。

普段あまり運転しない人がハンドルを握ったり、慣れない土地をナビ頼りに走ったりすることで、思わぬ接触事故が発生します。

神社周辺では渋滞も起きやすく、焦りや苛立ちが判断ミスにつながるケースも少なくありません。

『大都会の夜』の写真

※写真はイメージ

また、参拝を終えた帰り道は特に注意が必要です。「もう用事は終わった」という安心感から、気がゆるみやすいタイミング。

横断歩道を急いで渡ろうとしたり、暗い場所で周囲の確認が疎かになったりすることで、事故に巻き込まれる可能性が高まります。

事故を防ぐためには、時間と心に余裕を持つことが何より大切です。

「渋滞や混雑はある程度起きるもの」と想定し、無理に急がないこと。運転する場合は、普段以上に周囲をよく確認し、歩行中もスマホに気を取られないよう意識しましょう。

正月を気持ちよく過ごすために…

初詣で大切なのは、人が集まり、混雑し、気持ちが高ぶりやすいという環境を理解したうえで、自分の行動に少し意識を向けることです。

貴重品の管理を意識する、周囲の様子に目を向ける、時間と心に余裕を持つ。それだけでも、防げるトラブルは確実にあります。

せっかく神社へ足を運び、新しい年を迎えるのですから、不安や後悔の残る出来事は避けたいですよね。

初詣では、ほんの少しだけ周囲に目を向け、安全に新年を迎えられるよう行動してみてください。


[文・構成/りょうせい]

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