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佐川急便があるものを『廃止』 現役ドライバーが明かしたのは?

By - 柏木ツチノコ  公開:  更新:

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宅配ドライバーの写真

※写真はイメージ

2024年5月現在、佐川急便株式会社やアサヒロジスティクス株式会社などの物流大手を中心に、配送車両へ取り付けられていた、ドライバー名を示すネームプレートを廃止しています。

ドライバーの運転マナー向上につながるとして、長年にわたりネームプレートを車両に掲げてきましたが、SNSで名前を拡散されてしまう恐れや、女性ドライバーからの不安の声を受けて取りやめたようです。

運送会社の『名札廃止』、どう思う?

個人のプライバシーが守られて、働きやすい職場になることを願うばかり…。

しかし残念ながら、世間には、SNSなどで名前をさらして誹謗中傷をする人が後を絶ちません。

grapeでは、配送車両に名前を記して仕事をするドライバーと、カスタマーサポートで働き、実際にSNSで名前を公表されてしまった人に話を聞きました。

男性のイラスト
柏木

まずは宅配ドライバーの方に聞きます。仕事を通じて、名前が知られてしまうことはありますか。

男性のイラスト
宅配ドライバー

オフィス向け用品のルート配達と営業を行っています。
車両には、ドライバーのフルネームが書かれたシールを貼付。車を走らせている時には、認識できないくらい小さなものなので、あまり気になりませんね。

男性のイラスト
柏木

車両を駐車場に止めている時はどうでしょう。

男性のイラスト
宅配ドライバー

営業先の近くのコインパーキングに車両を止めて、訪問すると「〇〇さんね。実は私の息子と同じ名前なのよ」と、声を掛けてくれたことがあります。
日頃から、車両に記された会社のロゴマークと、私の名前に気付いていたのでしょう。

男性のイラスト
柏木

偶然で驚きましたね!

男性のイラスト
宅配ドライバー

そうなんです。そこからは、趣味の話などで盛り上がり、新商品の購入につながりました!
車両に貼った名前シールが名刺代わりになることもあると、ハッとさせられたのを覚えています。

男性のイラスト
柏木

営業ツールになったのですね!

男性のイラスト
宅配ドライバー

しかし、SNSが普及している現状をみると、いいことばかりではありませんよね。車両に名前が入っているので、自社やお客様の迷惑にならないよう、責任を持って仕事をしていきます!

配送会社がドライバーの名前を車両に掲げることで、責任感が増すばかりではなく、営業ツールにもなるのですね。

しかし物流業界に限らず、個人名を出すことによって、不安な気持ちになったり傷付いたりする人がいるのも事実。

カスタマーセンターの人の写真

※写真はイメージ

男性のイラスト
柏木

お次は、以前にカスタマーセンターで働いていた方にお聞きします。仕事で名前を明かす機会は多かったでしょうか。

女性のイラスト
元カスタマーセンター勤務

はい。会社の決まりで、問い合わせを受ける時には、苗字を名乗っていました。問い合わせといっても、全体の9割以上がクレームです。
電話で話を進めていくうちに、お客様から苗字で呼ばれることもあります。そうすると会社としてではなく、私が責められている気分になってしまいました。

男性のイラスト
柏木

怖い思いをされてきたのですね…。逆に、嬉しかったことはありますか。

女性のイラスト
元カスタマーセンター勤務

ほとんど『ない』というのが、正直なところです。
私は珍しい苗字なので、問い合わせのメールを返信するのに不安を抱えていました。
案の定、メールの内容がSNSでさらされているのを発見。上司に報告すると、電話もメールも匿名を使っていいルールに変更されました。

男性のイラスト
柏木

安心できましたか。

女性のイラスト
元カスタマーセンター勤務

SNSで一度でもさらされてしまうと、たとえ投稿を削除しても意味がありません。
私の場合も拡散されてしまいました。

男性のイラスト
柏木

酷いことに…。

女性のイラスト
元カスタマーセンター勤務

仕事柄、お客様からお叱りを受けることは理解していましたが、個人情報が知られてしまうと、身に危険が及ぶでしょう。
対応してくれた会社には感謝していますが、同じような目に遭わない社会になってほしいです。

もしも、自分自身が個人情報を勝手にさらされてしまった場合、どう感じますか。相手の立場になって考える必要があるでしょう。

また、日常のひとコマを共有し合えるのが、SNSの楽しいところです。

しかし、投稿した画像や文章の中に個人情報があると、悪気がなくても当事者を傷つけてしまうことにつながりかねません。

企業の取り組みだけではなく一人ひとりの行動が『個』を守り、不安な社会を変えていくのでしょう。


[文・構成/grape編集部]

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