ヤモリにおけるオスメスの見分け方とは?性別ごとの飼育方法のポイントも解説
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「ヤモリのオスとメス、見た目の違いはある?」
「飼っているヤモリの健康管理のためにも、オスとメスの見分け方を知りたい」
上記のように、ヤモリの性別が気になったことはありませんか。
ヤモリのオスとメスを見分けられるようになると、飼育時のトラブルを避けることにもつながります。また、飼育していない人でも、ヤモリへの理解を深められるでしょう。
本記事では、ヤモリのオスメスの見分け方から、判別が難しいといわれる赤ちゃんの性別の見分け時期、オスメスを見分けた後の飼育環境まで解説します。
ヤモリについて知りたい人や飼育を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
ヤモリのオスメスを見分ける目的とメリット
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ヤモリのオスメスを見分けることは、飼育や繁殖、健康管理の面で重要といえます。オスとメスを正確に見分けることで、計画的な飼育が可能になるでしょう。
繁殖を目指す場合、性別の判別は必須です。逆に、繁殖を望まない場合はオスとメスを分けて飼育することで、意図しない産卵や個体数の増加を防げるでしょう。
また、オス同士は縄張り意識が強く、同居させるとケンカをすることが多いといわれています。性別を見分けておくことで不要な争いを避けられ、個体のストレスや怪我の防止につなげられるでしょう。
それ以外にも、メスは無精卵を産むことがあり、産卵期にはカルシウム不足や卵詰まりなどのリスクが高まります。これは有精卵の時も同じようです。
性別を把握しておけば、産卵期の栄養管理や健康チェックがしやすくなるでしょう。
また、ヤモリは孵化後半年ほどで性差が現れ始めるといわれています。オスメスを見分けることは、個体の健康状態や発育状況を把握するのに役立つといえるでしょう。
ヤモリのオスメスを見分ける3つの方法
ヤモリには、性別を見分けるチェックポイントが3つあるとされています。
見分ける精度を上げるためには、これらのポイントを総合的に見ることが大切です。それぞれの見分け方について解説します。
方法1.総排泄孔周りの膨らみ
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ヤモリなどの爬虫類のオスには『ヘミペニス』と言う一対の交接器があり、それがフンや尿、卵などを排出する器官『総排泄孔(そうはいせつこう)』の少し下、尻尾のつけ根あたりに収納されているようです。
そのため、オスは尻尾のつけ根あたりがこんもりと膨らんで見えるでしょう。
一方で、メスにはこのヘミペニスがないため、尻尾のつけ根に膨らみは見られず、なだらかですっきりしています。
方法2.側肛疣、前肛孔、大腿孔の発達具合
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次に見るべきポイントは『側肛疣(そっこうゆう)』と、『前肛孔(ぜんこうこう)』や『大腿孔(だいたいこう)』と呼ばれる小さな穴の列です。
側肛疣は、いぼのような形をしており、尻尾のつけ根の両側に見られます。
また、総排泄孔の少し上、お腹側に並んでいるのが前肛孔、後ろ脚の内股に沿って並んでいるのが大腿孔だそうです。
これらはヤモリのオスで発達する器官で、フェロモンを分泌し、縄張りを主張したりメスを誘ったりする役割があると考えられています。
メスにはこの穴がないか、あっても小さく目立たないことが多いとされるため、これらが確認できた場合はオスである可能性が高いようです。
方法3.卵の有無
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腹の中にある卵の有無を通して、性別の確認をすることもできるでしょう。
産卵期にはメスは一度に2~3個の卵を産むため、腹が卵で大きく膨らむことがあります。体の色が薄い個体では、卵の影がお腹に見えることもあるようです。
ヤモリの産卵は春から夏にかけての暖かな季節に行われるとされるため、3月〜9月頃であれば卵の有無を確認できるでしょう。
ヤモリの性別はいつから分かる?
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ヤモリを赤ちゃんの頃から飼っている人は、性別がオスなのかメスなのかが気になることもあるでしょう。しかし、ヤモリの赤ちゃんの性別を見分けるのは難しいかもしれません。
ここでは、その理由と性別の判別が可能になる時期の目安をご紹介します。
赤ちゃんの性別判断が難しい理由
ヤモリの赤ちゃんや幼体の性別判断が難しい最大の理由は、見分けるのに必要とされる器官がまだ発達していないためだそうです。
オスの特徴であるヘミペニスはもちろん、種類によってはオスメス両方に存在するとされる前肛孔・大腿孔は、性成熟に近づくにつれて徐々に発達していくとされます。
生まれたばかりの頃は、オスもメスも外見上の違いがほとんどない傾向にあるため、見分けるのは難しいでしょう。
判別可能になる時期の目安
ヤモリの性別が判別可能になる時期は、種類や個体の成長速度によって異なるといわれています。
成体と呼ばれるサイズになるまで、通常で1~2年程度、早い個体でも5~6か月はかかるそうです。
成体に近づくにつれて、性別を見分けるのに必要とされる器官も発達するため、判別がしやすくなるでしょう。
焦らず成長を待ち、ある程度の大きさに育ってから確認してください。
ヤモリのオスメスを見分ける際のコツ
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ヤモリは環境変化やストレスに弱いとされる生き物であるため、慎重に接する必要があるといえます。
オスメスを見分ける際も無理に触ろうとせず、透明なプラスチック製のケージの外から観察するとよいかもしれません。
もしヤモリに触れる時には、優しく両手で体を支えるようにそっと持ち上げましょう。その場合も、ヤモリが嫌がるようであればすぐに離すことが大切です。
無理に尻尾を掴むと、防御反応として『自切』をしてしまうことがあるため避けましょう。自切とは、尻尾が切れてしまうことを指し、ヤモリにとっては大きな負担となります。
オスメスを見分けた後の飼育環境
ヤモリを飼って、繁殖させたいと考えている人もいるかもしれません。
ここでは、オス、メスを見分けた後、飼育する際の注意点を解説します。
オスの飼育方法
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飼育するヤモリの性別がオスであることが分かった場合、複数飼育は避け、単独飼育にするのがよいでしょう。
多くのヤモリのオスは縄張り意識が強く、同居させると自分の縄張りを守るために、激しい闘争を繰り広げるといわれています。
相手に深刻な怪我を負わせたり、最悪命を奪ったりする可能性もあるのだとか。
また、常にストレスにさらされることになるため、拒食などの体調不良を引き起こす原因にもなりかねません。
オスメスで一緒に飼う場合は、飼育可能なこともあるようですが、それでも相性によっては争いが起こる可能性はあるでしょう。
メスの飼育方法
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ヤモリのメスは性成熟すると、有精、無精関係なく卵を産むようになるとされています。
ヤモリのメスにとって、産卵は卵管や産道で卵が詰まる『卵詰まり』を引き起こす原因になることも少なくありません。命にかかわる深刻な問題となる可能性があるため、特に注意が必要です。
産卵の時期が近づいたら、湿らせたミズゴケやバーミキュライトなどを入れた容器を『産卵床(さんらんしょう)』として用意することで、メスの負担を軽減し産卵をうながせるでしょう。
繁殖を目指す場合の飼育方法
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ヤモリの繁殖を成功させるためには、オスメスともに適切な環境設定や個体の健康管理が重要です。温度や湿度管理に加え、産卵床なども準備してヤモリのストレスを最小限に抑えましょう。
特に気をつけるべきは、メスの飼育です。ヤモリのメスにとって、産卵は多くのエネルギーと栄養、特にカルシウムを消費するといわれています。
繁殖期に入る前には、メスの体力回復とカルシウム貯蔵を目指し、カルシウムやビタミンD3を含むエサを与え、産卵に備えた栄養補給を行うのがおすすめです。
ビタミンD3は、『UVBライト』でも補えるといわれています。UVBライトとは、爬虫類がカルシウムを体内で生成するのに不可欠な紫外線を補うライトです。
使用する際は個体に合ったライトを用意し、強度や照射時間などに注意しましょう。
オスメス共通の飼育環境
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ヤモリが脱走するのを防ぐため、必ず蓋つきのケージや水槽を選んでください。
ケージや水槽のサイズは、ヤモリの成長後のサイズよりもひと回り大きく、高さに余裕のあるものが適しているといえます。
また、ヤモリは臆病な性格で、薄暗い場所を好む傾向にあるそうです。木やシェルターのような隠れられる場所を用意することで、ヤモリが落ち着く環境を整えられるでしょう。
くわえてヤモリは変温動物であり、特に低温に弱いとされているため、ケージ内の温度管理が不可欠です。
適切な温度は種によって異なりますが、一般的に20〜28℃を目安にするとよいといわれています。冬場でもケージ内は20℃以上に保っておくのがよいでしょう。
しかし、乾燥しすぎると今度は脱皮不全などの問題を引き起こす可能性があるため、湿度管理にも気をつけなければなりません。
ケージ内に霧吹きで水をかけたり、水入れを置いたりなどをして、適切な湿度を保つことが大切です。適切な湿度は温度と同じく種によって異なりますが、60〜80%が目安とされています。
また、人工エサや果実を食べる個体もいるようですが、ペットとして飼育されるヤモリの多くは昆虫食です。生エサ、あるいは乾燥した虫をエサとして用意しておきましょう。
ヤモリのオスメスを見分けるには成長を待ち、体の特徴を観察する
この記事では、ヤモリのオスメスを見分けるための方法や、判別が可能になる時期、飼育の注意点について解説しました。
ヤモリの性別を見分けるためのもっとも重要なポイントは、総排泄孔周りの膨らみの有無、側肛疣、前肛孔、大腿孔の発達具合です。
ある程度個体が成長してからこの3つを確認すれば、ヤモリの性別を見分けられるでしょう。判断に迷う場合は、爬虫類専門のショップや獣医師など、専門家に相談することをおすすめします。
ヤモリの飼育をしている、または考えている人は、ぜひこの記事を参考にヤモリの性別を見分けてみてくださいね。
[文・構成/grape編集部]