香りを変えるだけで味が変わる『Tasted VR』 味覚の9割は鼻が決めていた
公開: 更新:


宇宙ステーションで肉の印刷に成功!? 地球の食糧問題解決にも期待ニッポン放送で『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。 地球における食糧問...

農業の人手不足はAIで解消!?自動収穫ロボットのシェアリングサービスが開始ニッポン放送で『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。 人手不足を解消!つ...






ニッポン放送で『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
匂いが出ると味覚も変わる!?味の七変化VRが登場!!
映像に合わせて香りが出るVR(仮想現実)ヘッドセット『VAQSO VR(バクソー ブイアール)』の開発を手掛ける『VAQSO(バクソー)』は、2019年7月30日、映像制作会社『ORENDA(オレンダ)』と共同で、香りを変化させることで味覚も変化させることができるアプリケーション『Tasted VR』(テイスティッドブイアール)を開発したと発表しました。
『VAQSO VR』は香りが出る特製VRヘッドセットになっており、これを被ってフローズンドリンクを飲むと、その香りに合わせて『いちご味』や『レモン味』『メロン味』などに味が次々に切り替わるような感覚が得られるというものだそうです。
同じ飲み物を口にしているはずなのに、香りが変わるだけで別の味に感じられるというのは、なかなか不思議な体験ですよね。
匂いの出るVRを体験している様子
味覚の9割は「風味」から来ている
VAQSOによれば、人間の味覚には、舌で感じる『五味』と、鼻で感じる『風味』があるそうなんですが、そのどちらか一方を塞がれるとはっきりその味覚や臭覚を味わうことが困難になるといいます。
例えば、鼻をつまんでキャンディーを舐めると味を言い当てるのは難しくなるのと同じなんだとか。なぜなら味覚の9割は『風味』から感じているからだそうです。
舌の役割だと思っていた「味わう」という行為の大部分を、実は鼻が担っているわけです。
香りを発する『VAQSO VR』は、風味を漂わせるだけでなく、目の前の映像もそれぞれのドリンクのデザインに切り替わります。これにより同じフローズンドリンクを飲んでいてもまったく別の味だと感じることができるそうです。
視覚と嗅覚の両方に同時に働きかけることで、錯覚の効果がより強まるというわけですね。
現在用意されている香りのラインナップ
現在『VAQSO VR』では、女性のいい香りからゾンビの匂いまで、全15種類の匂いカートリッジが用意されています。現時点でのフローズンドリンクでのお試しでは、『いちご』『レモン』『メロン』『ブルーハワイ』の4種類の香りを用意したということです。
ゲームやエンターテインメント向けに多彩なラインナップが揃っているのも、この技術の応用範囲の広さを感じさせます。
宇宙旅行での食料コンパクト化にも期待
開発を手掛けたVAQSOの川口CEOは、この技術の応用として、宇宙旅行の時などに『Tasted VR』を持参すれば「単なる砂糖水と香りのカードリッジだけでさまざまなジュースを再現することができるようになり、食料のコンパクト化が期待できる」と語ります。
荷物の重量制限が厳しい宇宙空間では、食の多様性を保ちながら積載量を減らせるというのは、現実的なメリットといえそうです。
AIとARを使ったリアルタイム味覚操作も登場
ところで、こうした『味覚を錯覚させる』研究はAIの分野でも盛んで、今年の3月には奈良先端科学技術大学院大学・電気通信大学などによる研究チームが『AIとARを使うことによる、リアルタイムの味覚操作システムを実現』について発表がありました。
これは、AR(拡張現実)を再現できるヘッドセットを装着し、用意された麺類などを食べると、実際はそうめんを食べているだけなのに、学習したAIが実際の食品の状態に合わせてリアルタイムかつインタラクティブにラーメンや焼きそば、カレーうどんなどに自動変換するもの。
研究チームによれば「視覚を変換しながらその他の感覚を刺激することで感覚に錯覚を起こさせることができる」のだそうです。
香りで味を変える『VAQSO VR』と、映像で食べ物を変換するAR技術は、アプローチこそ異なるものの、どちらも「感覚への働きかけで食体験を変える」という点では共通しているといえそうです。
ダイエットへの活用も視野に
こうしたアプローチをすすめると、味覚に錯覚を起こさせて『お腹いっぱい食べた』つもりで『カロリーゼロのこんにゃくヌードルを食べさせる』ことで、ダイエット効果を発揮できるわけです。
ただし、あくまで感覚への働きかけによるアプローチなので、実際の栄養摂取とは切り離して考える必要があるでしょう。
VRは視覚や音に加え、いよいよ匂いや味覚も体験できる時代に突入するようです。
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。『三宅裕司のヤングパラダイス』『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターを務める傍ら、『十回クイズ』『恐怖のやっちゃん』『究極の選択』などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 『ソネットチャンネル749』(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ『Livly Island』では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。