GPSの時間情報は20年に1度リセットされる!
公開: 更新:
『意外と知らない』柿の剥き方 包丁の代わりに使うのは…2024年11月11日、暮らしに役立つ情報を発信する、はなマル(hanamaru__kurashi)さんが、Instagramを更新。硬めの柿に限った、『意外な皮の剥き方』を紹介しました!
ラップが料理に溶けたら、食べても大丈夫? 旭化成の回答に「そうだったのか」料理にラップをかけてレンジ加熱した際に、ラップが溶けてしまったことはないでしょうか。この場合、料理に影響はないのか気になりますよね。『サランラップ®』を販売する、旭化成ホームプロダクツ株式会社(以下、旭化成ホー...
ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
GPSの時間情報が4月7日、20年ぶりにリセットされていた
2019年4月7日(日)午前8時59分41秒から42秒にかけて(グリニッジ標準時4月7日の0時)、我々がスマートフォンなどでお世話になっているGPSのWN(ウイークナンバー)がリセットされました。
GPSは、米国が打ち上げた人工衛星から送られてくる信号を使って、自分の位置を割り出すシステムで、その時間情報は『週単位』で制御されています。その情報をWN(ウイークナンバー)とよび、GPSは「ある日付からいまは何週目か」というWNとTOW(Time of Week:週初めからの時間)で制御されています。
このWNですが、10ビット(0と1が10個)で構成されているため、2の10乗=『1024週』までしか数えることができません。そのため1024週=19.64年(約20年)ごとにリセットが必要で、それが4月7日の午前9時直前だったというわけです。
その前の約20年前のリセットは、1999年8月21日深夜0時だったそうなのですが、この時は、時刻が狂ったり位置情報がおかしくなったり、はたまたカーナビが突然動かなくなったり、別の場所を現在地として指すようになったりするなどの誤作動があったそうです。今回も、「前回と同じような事故がおきるかもしれないから、絶対飛行機や船には乗らない」とか、「アメリカの電力網はGPSで時刻を記録しているから、GPSが原因で大規模停電が起きるかもしれないので、懐中電灯の準備をしておこう」など、さまざまな憶測が飛び交っていました。
しかし結果は、何も起きませんでした。みなさんのスマホのGPSも何も変化は起きていませんよね。ただしスマホに限らず、GPSを使っている機器については、ソフトウエアのアップデートがされていないと、何らかの不具合が起きる場合もあるということなので、気になる方はご確認ください。
こうした時間に関する問題は、これまでにもいろいろありました。
まず2000年問題。西暦2000年になると、コンピュータで使われてきた2桁の西暦が00になってしまうことで、1900年と同じ扱いになり、ファイルの並べ替えなどに異常が起きると言われた問題。結果としては騒がれたほどの問題は起きませんでした。
また似たような理屈から、時刻の表現として『UNIX時間』を使用しているコンピュータが、2038年1月19日3時14分7秒をすぎると誤動作を起こす可能性があると言われている『2038年問題』。『UNIX時間』とは、コンピュータの時刻を示す桁数が32ビット(符号付き)のため、符号を除く31ビット=2,147,483,647秒(約68年)までしか数えられない時間のことです。コンピュータの始まりの時間に設定されている1970年1月1日午前0時(日本では午前9時)から数えて2,147,483,647秒後が2038年となり、ここで問題が起きるのでは、と心配されましたが、実はすでに新たな時刻の表現に変更されているため、古いものでない限り問題は起きないといわれています。
ほかにも5月1日午前0時の新元号への切り替わりで、ちゃんと平成31年5月1日から令和元年5月1日にコンピュータの表示が切り替わるかという問題や、昭和を2桁で表現している機械の場合、2025年で昭和100年となるため、誤動作が起きるといわれている『昭和100年問題』などもありますが、いずれも事前の対応が万全のため、ほぼ問題は起きなさそうです。
ちなみにGPSのWNは、こうしたことから13ビットに変更し、次回のリセットは8192週後の2137年となりました。どうやら問題は先送りになったようです。
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。