人工知能の父がイギリスの紙幣に アラン・チューリングとは一体どんな人?
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ニッポン放送で『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
AIの父がイギリスの紙幣に登場!?
イギリスの数学者で、今日のマイクロソフトやアップルよりずっと以前に『チューリングマシン』というコンピュータの原型を作り、そして第二次世界大戦中にはドイツ軍の『エニグマ』という暗号を解読し、戦争を勝利に導くなどさまざまな功績を残したアラン・チューリング(Alan Turing)(1912~1954年)が、イギリスの50ポンド(約7000円)紙幣の肖像になることが決まったとイングランド銀行(英中央銀行)総裁が発表しました。
日本でいえば、先日発表された5000円札の肖像に『津田梅子』が選ばれたようなことですが、津田梅子は津田塾大学を創設した日本の外国語教育の母みたいな人。対するアラン・チューリングは、いま最も注目のAI=人工知能の父と呼ばれていることで、世界中の注目が集まっているわけです。
2015年にはベネディクト・カンバーバッチ主演で映画化もされたので、ご存じの方もいるのではないでしょうか。
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現在はエリザベス女王が描かれている50ポンド紙幣ですが、新50ポンド紙幣の肖像については『科学の分野の人物であること』とすでに決められていたそうです。
イングランド銀行の発表によれば、989名の候補者から12組14名の最終候補者を選出。その中から最終的に選ばれたのがアラン・チューリングでした。
紙幣に用いられるチューリングの肖像は1951年に撮影され、現在も国立肖像画美術館の写真集に掲載されているもので、そのほか1936年にチューリングが執筆した論文『計算可能な数について』の表と数式や、チューリングが設計したACEのパイロット機などもデザインとしてあしらわれているそうです。
彼がなぜ今注目のAIの父と呼ばれているのかというと、彼がコンピュータというものの概念を考えた時『機械(コンピュータ)も知性が持てるのか』を確認するためにはどうすればいいかと思ったことから始まります。それがのちに『チューリングテスト』と名付けて理論化されました。
どんなテストかというと
「外から見ても分からないように機械と人間が並んでいます。その機械と人間にどちらにも同じ質問をしていきます。あらゆる分野からさまざまな質問をしていきます。するとコンピュータがわざと計算に時間をかけたり、答えを間違えたり人間らしい振る舞いをしたとします。するとどちらが人間でどちらが機械(コンピュータ)か分からなくなるでしょう。その時その機械は『知性がある』と結論づけて良いのです。」
というものです。
実際に当時このテストが完璧にできたわけではないと思いますが、1950年(今から70年前)にチューリングはこのテストを考え出し、機械に知能が宿るとはこういうこと、すなわち人工知能とはこういうものではないかと提言したわけです。
囲碁で人を負かした『アルファ碁』も、機械がむき出しになっていなかったら、人間が碁を打っていると言いわれても誰も気が付かなかったでしょう。まさにアラン・チューリングの人工知能に対する予測・予言は現実のものとなっています。
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。『三宅裕司のヤングパラダイス』『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターを務める傍ら、『十回クイズ』『恐怖のやっちゃん』『究極の選択』などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 『ソネットチャンネル749』(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ『Livly Island』では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。