日本で開発された人間用のしっぽに、世界中が驚いた!
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ニッポン放送で『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
人間用のシッポに世界が驚いた!!
人間には進化の過程でなくなってしまった尻尾ですが、ほとんどの哺乳動物と脊椎動物にとって、尻尾は身体の重要な役割を果たしています。
そんな進化の過程を研究する、應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の研究チームは、脊椎動物には欠かせない尻尾によって身体のバランスを制御するという機能を、あえて人間にも装着してみたらどうなるのかと、人間装着用のロボット尻尾『Arque』(Artificial Biomimicry-Inspired Tail for Extending Innate Body Functions=生来の身体機能を拡張するための人工生物模倣にヒントを得た尻尾)を開発し、ロサンゼルスで開催されたテクノロジーとグラッフィックの祭典『SIGGRAPH 2019(シーグラフ)』で発表したところ、世界中の話題になっています。
論文によれば『Arque』は、生物の構造を理解し仕組みやデザインを真似るBiomimicry(バイオミミクリ)理論に基づいて考案されたもので、タツノオトシゴの骨格構造をベースに、四角柱と複数の関節部が連なった形状をしていて、各関節は4つのプレートとバネ、1つの椎骨で構成。4つの関節部には空気圧式人工筋肉アクチュエータが埋め込まれています。
この空気圧式人工筋肉アクチュエータをエアコンプレッサで駆動させ、8つの異なる方向に沿って尾部を制御するように設計されているそうです。
長さは約1メートルで十分な重量を持ち、長さをカスタマイズして重量を調整することで、それぞれの人の体格に合わせた適度な運動バランスを得ることが出来るようになっているそうです。
つまりこの人工尻尾を人間の腰に装着することで、身体全体の重心を自動的にトラッキングし、もっとも姿勢の良いバランスを取ってくれるというわけです。
そもそも脊椎動物において尻尾は、移動に使用したり、周囲把握に使用したり、社会的シグナルに使用したり、身体の平衡感覚を制御したりとさまざまな能動的な機能をもっていると言われています。
ちなみにこの動物の尻尾の起源は、約5億年前の地球上で、まだ陸地に動物が生活せずすべての生き物が海の中だったころの、魚の尾ひれに端を発しています。これが、魚の一部が陸地で暮らすようになり、魚の時のひれだったところは手や足に変わり、尾びれは尻尾に変化していきました。
そして爬虫類になると、尻尾は走る時のバランスに使われるようになりました。哺乳類は爬虫類から進化したと言われていますので一般的には尻尾があるというわけです。
そこから何千年もかけて、人類は尻尾が退化したと考えられていますが、もともとの祖先には尻尾が必需品だったというわけですね。
そんな理由から実際これを装着してさまざまな動きをテストしていったところ「尻尾が振り子の役割を果たすことで身体のバランスが保てるようになっている」と研究生の一人の鍋島順一氏は話しています。
さらには、これまで杖がなければ歩けなかった高齢者の方が、なんと手ぶらで歩けるようになったり、バランスが取りにくく歩行が困難な病気の人や、重い荷物などを持つ仕事など、身体を安定させるためにはとても重要なツールとなるにちがいないと話しているそうです。
まさにこれからの少子高齢化社会では、この人工尻尾は社会の必需品になるかもしれませんね!?
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。『三宅裕司のヤングパラダイス』『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターを務める傍ら、『十回クイズ』『恐怖のやっちゃん』『究極の選択』などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 『ソネットチャンネル749』(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ『Livly Island』では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。