世界初!タテ・ヨコ・ナナメ自由自在、どこにでも移動できるクローラーが誕生!
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ニッポン放送で『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
世界初!方向を変えなくてもタテ・ヨコ・ナナメ360度どこにでも移動できるクローラーが誕生!
国立研究開発法人・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は東北大学の研究チームと共同で、360度全方向への連続移動を可能にした円形断面型クローラーの開発に世界で初めて成功したと発表しました。
物を移動させる装置といえば、自動車や自転車のタイヤや電磁気を応用したリニアモーターなど、前後または左右など一方向に移動しか移動できず、方向を変えたい時は方向転換する必要がありました。
ロボットの世界ではこれまでにも自由な方向移動の方法として『オムニホイール』といった全方向移動車輪が開発されてはいますが、車輪の段差乗り越え性能に限界があることや、車輪の設置面積が小さく、例えば絨毯のようなやわらかい面とじゃり道などの固くてごつごつしている面の両方を移動させられない、など課題があったそうです。
※ 写真はイメージ
そこで、NEDOと東北大学の研究チームは、2015年から『全方向駆動機構を核とした革新的アクチュエーション技術の研究開発』に取り組んできました。現在東北大学に席を置くロボット工学博士の多田隈建二郎准教授ですが、こうした『全方向駆動機構』については、山形大学に席を置く健二郎氏の実兄・多田隈理一郎准教授らとともに2011年ころから(健二郎氏は当時大阪大学)全方向移動・駆動機構(Omnidirectional Mobile and Driving Mechanism)について研究を開始し、前後左右に進むことのできる『全方向駆動車輪』の原型が出来上がっていたようです。
当時は球状の大車輪の表面を小さな車輪が取り囲むように配置し、大車輪が前後、小車輪が左右方向に回転し、全方位に移動できるようになっていたと記録に残っています。これをロボットに取り付ければ小回りが効き、その場で方向転換などができるだろうと3年以内の実用化を目指してこられました。
ちなみに兄の多田隈理一郎氏は、ウィキペディアなどによれば、小学校1年生の時に、『ロボット大集合』という学習漫画を読み、ロボット研究者になろうと決意。1996年に東京工業大学に進学したのちは機械宇宙学科に進み、宇宙でも活躍できる『自律集散型ロボット』の開発に携わりました。
その後理一郎氏が東京大学大学院に進学することを機に、弟の建二郎氏が兄の在籍した東工大の研究室に入って兄の研究を引き継ぐなどし、さらに兄弟ともに海外での大学留学も経験。現在は兄の多田隈理一郎氏が山形大学、弟の健二郎氏が東北大学に在籍して、兄弟ともに『ロボット研究』の第一人者として業界に貢献され、いまや『日本ロボット界のライト兄弟』ともいわれているそうです。
この360度全方向円形断面型クローラーは、2つのモーターを特殊に組み合わせたことで、平面のタテ・ヨコ・ナナメを向きを変えることなく縦横無尽にシームレスに移動できます。
今回新たに円形断面型クローラーの要となる、全方向移動用のスクリュー式差動回転機構を追加。これにより、左右2つの入力回転だけで、極少の伝達部品数で全方向駆動機構に変換させる仕組みを実現。
これらによって柔らかいじゅうたんからガタガタのじゃり道まで、ふつうのタイヤでは走りにくい路面でもスムーズに移動を続けることができるようになったということです。
これまで車椅子やロボットに装着された移動装置は、柔らかい路面と固くてガタガタした路面の両方で、それも全方向にシームレスに移動できるものはありませんでした。
この『360度全方向円形断面型クローラー』を使えばどんな場所でも移動がスムーズに行うことができるようになるというわけです。これならタイヤに代わる全く新しい世界初の円筒形の移動装置として世界からの注目が集まっているのも当然ですね。
これぞ日本のものづくりの真髄といえるようなシンプルでユニークなアイデア。世界の電動車いすやロボットの移動手段が生まれ変わることは必至です。
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。『三宅裕司のヤングパラダイス』『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターを務める傍ら、『十回クイズ』『恐怖のやっちゃん』『究極の選択』などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 『ソネットチャンネル749』(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ『Livly Island』では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。