東大研究チームが発見 人間にも「磁気を感じる第六感」があった
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人間の「第六感=磁気を感じる能力」を東大ほかの研究チームが発見!
渡り鳥が毎年一定の時期に長い距離をはるばる移動し、決まった場所にきちんと降り立つことができるのは、鳥が地球の磁場を感知することができるからであると、2018年春にスウェーデンのルンド大学の研究プロジェクトなどが次々と発表して話題になりました。
そして今度はヒトも渡り鳥などのように地球の磁気を感じる能力を持っていることが分かったと、東京大学と米カリフォルニア工科大などの国際共同研究チームが3月19日、米科学専門誌『イーニューロ(eNeuro)』に発表しました。
渡り鳥やサケも持つ「磁覚」——動物界に広く存在する能力
地球は北極がS極、南極がN極と位置に応じて方向が異なる地磁気を帯びた巨大な磁石になっているわけですが、渡り鳥は地磁気を感じる能力をコンパスのように使って方位を正確に把握し、季節に合わせて移動することができることが分かっています。また犬を訓練することで、埋めた磁石を掘り起こしてくることができるそうです。
渡り鳥が何千キロもの距離を迷わず飛び続けられる背景には、こうした精度の高い磁気感知能力があります。地図もコンパスも持たずに正確なルートをたどれるというのは、改めて考えると驚くべき能力ですね。
また渡り鳥のほかにもサケやミツバチなど多くの動物が『磁覚』(地磁気を感じる能力)を持っているにもかかわらず、動物の一員であるヒトは『磁覚』は感じません。これは進化を繰り返すうちにその能力が退化していったのではないかと考えられていました。
サケが生まれた川に戻ってくることや、ミツバチが巣から離れた場所でも帰巣できることも、磁覚が深く関わっているとされています。ヒト以外の生き物にとって、磁気を感じる力は生存に直結する重要な感覚のようです。
「ヒトに磁覚はない」とされてきた理由
ヒトに関する地磁気感受性を調べた先行研究でも、再現性が乏しい行動実験や条件設定に疑問の残る脳波計測などばかりで、これまで地磁気感受性の有無は明らかにできていなかったそうです。いわゆる人間の感覚は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感だけで、磁気を感じる力(第六感)はあくまでフィクションの話とされてきました。
実験の再現性が取れないということは、科学的な証拠として認められないということでもあります。「あるかもしれない」という段階から抜け出せないまま、長らく研究が停滞していたわけです。
「潜在意識下に残っている」という仮説から始まった国際共同研究
ところが、ヒトの体内にはいまだミネラルやタンパク質など地磁気に影響を受ける物質を多く保有していることから、感じ取る能力は絶対残っているはずである、こうした考えを持つ各国の研究者に対して、カリフォルニア工科大学のカーシュビング教授の呼びかけにより、同大の下條教授、そして日本の東京大学・眞溪歩(またに・あゆむ)准教授は、「ヒトは潜在意識下でいまだに磁気感受性を有している」という仮説をたて、心理物理学的・神経工学的アプローチによる国際共同研究が始まりました。
「意識では感じていないが、脳は反応している」という仮説は、これまでの研究とは異なる切り口でした。自覚できない反応を捉えるために、どんな実験装置が必要かというところから設計が始まったそうです。
研究チームはまず、動物実験の先行研究に照らして、適切で正確な実験装置の開発から始めたそうです。なぜなら、たとえば渡り鳥は、地磁気の強度や変化が普段の生活環境と合わなかったり、都市部にある強力な電磁波環境では、その磁気感受性を失ってしまうことがあるということから、『顕在的』ではなくあくまで『潜在意識下』でも反応があるかどうか分かるような計測システムを考えたそうです。
都市部の電磁波環境が磁気感受性を妨げる可能性があるという点は、実験環境を整える上で特に重要な条件だったようです。地磁気を遮断した専用の室内を用意したのも、こうした背景があってのことです。
脳波で「無意識の反応」を観測——実験の詳細
この計測方法から、地磁気を遮断した室内で、日米など18~68歳の男女34人の頭部を地磁気と同程度の強さの磁気で刺激する実験を行ったところ、磁気の向きに応じて無意識のうちに脳波が異なるアルファ波の事象関連脱同期(強度が低下する現象のこと)を観察することができたそうです。
被験者は自分が磁気刺激を受けているとは知らされていない状態での実験だったとみられます。それでも脳波に変化が現れたという点が、「潜在意識下での反応」という仮説を裏付ける重要な結果となりました。
アルファ波とは、特に何もしていないアイドリング状態で強く観察される 8-13Hzの脳波のことで、つまり、ヒトは地磁気強度の磁気刺激に対し、潜在意識下で生理的に応答する=『磁覚』(地磁気を感じる能力)があると判断できたというわけです。
アルファ波の強度が下がるということは、脳が何らかの刺激を処理しようとしている状態に切り替わったことを意味します。磁気の向きが変わるたびにこの反応が繰り返し観測されたことで、偶然ではなく磁気に対する応答であると判断できたわけです。
「意識的に使いこなすのは難しい」——研究者のコメント
研究チームの眞溪(またに)准教授は「人間に未知の第六感があることが確認された。これを意識的に利用することは(いまのところは)非常に難しいが、今後さらに詳しく調べて探っていきたい」と話しているそうです。つまり人間の第六感の存在が明らかにされる可能性が高まってきたというわけです。
※記事中の写真はすべてイメージ
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。