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日本語を勉強していたロボットが、いつの間にか英語やヒンズー語まで!?開発者も驚く

By - 土屋 夏彦  公開:  更新:

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写真はイメージ

ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。

初めての言語でもOK!言葉を書き写すロボットが登場!!

アメリカのブラウン大学の研究チームは、さまざまな言語を手書きできる『手書きロボット』を開発したと発表しました。

これまでロボットにことばを手書きさせるためには、その言語の書き順などこまかな指示を与えなければできませんでした。

例えば『A』という文字をロボットに見せてこれと同じ文字を書きなさいと指示しても、同じ文字は書けても書き順はめちゃくちゃになっていました。つまり書き順も同じに動くようにするためには、そのための指示を与える必要がありました。

ところがこの手書きロボットは、日本語の手書き文字画像と手書きする様子の動画データをAIに学習させたことで、知らない日本語も、文字を見ただけで書き順を予測できるようになったそうです。

さらに驚くべきこと、日本語の書き順や文字を学習させただけで、日本語以外の英語やギリシャ語、ヒンズー語などの手書き文字も、見ただけで勝手に書き順を予測して書き出すようになったそうです。

この『手書きロボット』を開発研究しているのが、ブラウン大学でロボット工学を研究している学生の小谷篤信(こたにあつのぶ)さん26歳。

16歳の時、麻布高校を中退して単身でアメリカの高校に留学。その後、MITとブラウン大学に合格し、ブラウン大学の経営学科に入学。そこで勉学に励む中、縁あってロボット工学の道に入ったそうです。彼の研究から始まったということで、まず日本語を学習させたわけですが、ほかの言語も手書きできるようになってしまい、ご自身も驚いているそうです。

ところで手書き文字列の画像認識では、0〜9までの手書きされた数字をどのくらい正確に認識できるかの『MNIST(エムニスト)』というポピュラーなAI(人工知能)の学習プログラムがあります。

さまざまなコンピュータ言語を学ぶ時、初心者が必ず最初に体験するプログラムとして『Hello,World』と画面に文字列を表示させるものが有名ですが、『MNIST』は人工知能のプログラミングにおける『Hello,World』ともいわれています。

このプログラムを実行することで、人間がランダムに書いた手書きの数字をAIが認識できるようになるということで、『MNIST』は画像認識のアルゴリズムの基本モデルになっています。

でも今回のように認識するだけではなくて、コンピュータ(ロボット)が文字を手書きで再現できるようにするとなると、外国語を読むことはできるが書くのは苦手という理屈と同じで全く違った能力が必要になります。

さらに手書きする動きは上下や左右だけではだめで、斜めなどの複雑な動きも必要です。

※ 写真はイメージ

日本でも明治大学の学生さんたちがオープンキャンパス(2017年8月22日~23日)の際、手書き文字をコンピュータに再現させてきれいな手書き文字にする『ひととロボットの協調による手書き文字美化手法』が公開されました。

ここではロボットに手書き文字を書かせるということよりは、自分が書いた手書き文字を学習させて、自分らしさは残した上で、きれいな読みやすい手書きフォントを作成するということが主眼になったようです。

ひととロボットの協調による手書き文字美化手法

この実験では何度も手書きで文字を入力することで、それらのデータを平均化(平均手書き文字)させ、読みやすくてきれいに見えるようにしたそうです。このデータを使って自分の代わりにきれいな手書きレポートを完成させることに成功したとありますが、これはあくまで自分の手書き文字をロボットに再現させたにすぎません。

今回の小谷さんの『手書きロボット』は手書き文字の学習によって書き順もロボットが判断して書き上げることができた上に、学習させたこともないほかの言語の文字でも見せただけで再現できたということで、ついにどんな言語にも対応できる『代筆ロボット』の登場が見えてきました。


[文・構成/土屋夏彦]

土屋夏彦

上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。

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出典
ブラウン大学ひととロボットの協調による手書き文字美化手法 PDF手書き文字の味を活かした、きれいな自分だけの文字ができるTeaching Robots To Drawひととロボットの協調による手書き文字美化手法明治大学 中村聡史研究室 論文レポジトリ

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