カエルの合唱を研究してWi-Fiの省エネを実現! 驚きの研究結果が公開
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ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
驚いたケロ!カエルの合唱に法則性があった!?
「カエルの合唱のメカニズム(法則)を分析してその成果をIoT機器など無線センサネットワークに応用してみたら、なんと省エネ抜群の最新システムが実現できちゃった」ということで、筑波大学と大阪大学の研究チームが、英国王立協会が出版する科学誌『Royal Society OpenScience』(2019年1月9日付)で研究成果を公開しました。
発表によれば、無線センサネットワークは、多数のセンサ付き無線端末を空間上に分布させる通信システムで、自律分散型制御型の無線ネットワークの場合、近くの端末同士がバケツリレーのようにデータを送っていくことで、広範囲の情報収集を可能にしているのですが、通信タイミングをうまく制御できないと、たびたび端末同士がパケット衝突(データの同時送信による受け渡しの失敗)が起きて、無駄な通信が増えてしまうそうです。
小規模のネットワークの場合であれば、こうした通信の衝突も誤差の範囲で済むようなのですが、これを広範囲の農場の周辺に100台のセンサ付き無線端末を置いて、農場の温度や作物の成長などを記録することを考えると問題が発生します。
個々のセンサーは電池で駆動しているため、近くの端末同士が同時にデータ(パケット)を送り合ってしまうと、データの受け渡しに失敗することがあり、さらにその回数が増えれば増えるほど通信ができないまま電池だけが消費されてしまうということが起きてしまうため、なかなか大規模な場所での無線センサネットワークが実現できていなかったそうです。
こうした状況をふまえて、筑波大学と大阪大学(国立大学法人筑波大学システム情報系合原一究助教、大阪大学大学院情報科学研究科村田正幸教授、大学院経済学研究科小南大智助教、大学院情報科学研究科平野康晴大学院生)の研究グループは、「ニホンアマガエルの合唱に何らかの合理的な法則性があるのではないか」と研究を開始。
画像:筑波大学・大阪大学 プレスリリースより
夜行性のカエルは、鳴き声は繁殖を効率的に進めるための大切な手段のため大きな声で鳴いているのはオスで、メスはオスの鳴き声を聞きつけて近づいてきます。その一方で、オスはメスに向かって鳴くだけでなく、オス同士もお互いの鳴き声を聞き、音を介してコミュニケーションしています。
そこで、研究グループは「このようなコミュニケーションを通して、オスはバラバラに鳴くのではなく、ある種の合理的な規則性をもって鳴いているのではないか。このようなカエルの合唱の法則性を解明し通信に応用してみよう」と考えました。
鳴いているアマガエル
実験では、3匹のオスのニホンアマガエルを1匹ずつケージに入れて、50cm間隔で直線上に並べて鳴き声を録音。その結果、『オス同士は鳴くタイミングをずらす』という予測どおりの結果に加え、長い時間スケールでみると『鳴いている区間をそろえる』という性質を見出したそうです。
画像:筑波大学・大阪大学 プレスリリースより
短時間では『オス同士が鳴くタイミングをずらしている』反面、長時間では『鳴いている時間帯をそろえる』。
つまり、『一斉に休む時間がある』ことに着目し、無線センサネットワークに置き換えてみたところ、ネットワーク全体の接続性と省エネルギー性能の向上を実現。今後の無線センサネットワークにおける通信性能の向上や消費電力の低減に大きな成果をもたらすことになったということです。
筑波大学の合原一究助教によれば、
「夜行性のカエルにとって、鳴き声はオスとメスが出会うための大切な手段です。カエルの鳴き声は一般にとても大きく、繁殖期には大量のエネルギーを消費します。このような大きなエネルギー投資をする際、どのような工夫をしているのか知りたいというのが、この研究のモチベーションでした。
(中略)
世界には約6500種ものカエルが知られており、中にはニホンアマガエルよりも優れた省エネルギー戦略をもつものが存在するかもしれません。さまざまな種のカエルの鳴き声を計測して、省エネルギー戦略に繋がるユニークな行動を見つけ、その秘訣を数理モデルとして抽出・解析していくのが今後の課題です。」
自然の法則には、並々ならぬ合理的な理由が必ずあるんですね。
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。