夫婦の会話を夫の同僚が知っていた理由 それは家にあるスマートスピーカーだった!?
公開: 更新:
エアコンをつけてるのに寒い… 企業が教える対策に「そうだったのか」冬に暖房を入れる際は、できるだけ効果的・効率的に部屋を暖めたいところですよね。とはいえ、暖房効果をアップさせるには具体的にどうすればいいのか、知らない人もいるでしょう。 本記事では、アイリスオーヤマ株式会社(以下、アイリ...
ラップの芯は捨てないで! 玄関掃除に活用すると… 「便利」「ナイス裏技」玄関掃除で掃除機を使いたくても、衛生面が心配で使いにくいという人も多いかもしれません。そこでおすすめしたいのが、家にあるトイレットペーパーやラップの芯を使う方法です。掃除のプロが紹介する裏技をご紹介します。
ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
スマートスピーカーが夫婦の会話を誤送信!?
呼びかけるだけでピザの注文ができたりラジオや音楽を流せたりできる『スマートスピーカー』は、日本でもどんどん普及し始めています。先日は居酒屋で店員さんの代わりに注文を受けるために設置されたとニュースになっていましたが、アメリカでは考えられないことが起きて話題になっています。
オレゴン州ポートランドに住むダニエルさん夫妻が日常的に『Amazon Echo』というスマートスピーカーを使っていたところ、ある日旦那さんの会社の部下から電話があり、
「いますぐあなたのAlexaデバイス(AmazonのスマートスピーカーのAmazon Echo)を取り外したほうがよい、あなた方の会話が盗聴されている」
といわれたそうです。なぜならその夫婦の会話が録音された不審な音声ファイルが同僚のスマートフォンに送られてきたからだそうです。
聞いてみるとそれは、つい先日奥さんが旦那さん交わした、たわいもない「家のフローリングをどうしようか」といった日常会話だったのですが、なぜそんな音声が同僚に送られたのか調べていくと驚くべきことが分かりました。
※:写真はイメージ
事の始まりは、たまたま奥さんの会話のなかにスマートスピーカーに指示を出すための最初の「アレクサ…」という言葉があって、それにスピーカーが反応し、さらにそのあとの言葉を「メッセージ送信」という命令に聞き間違えられ、その後会話の中で出てきた友達の名前から、「その方に送信しますか」と勝手にスマートスピーカーが確認。気が付かないまま会話の中で「その通り」といったのを受けて、そのお友達に会話を音声ファイルとして送ってしまったことがわかったそうなんです。
もちろんこの事件は偶然に偶然が重なったとはいえ、奥さんからAmazonに報告され、Amazonは問題があったことを認めて謝罪したということです。この話題は、シアトルのローカルテレビ局『KIRO 7』が奥さんの証言を含めて紹介したことから、思いもよらず世界的に大きな話題にもなり、さまざまな波紋を呼んでいます。
そもそも「登録してある連絡先を指定して相手にメッセージを送る」という機能は、日本の『Amazon Echo』ではまだ使えない機能なのですが、便利になればなるほど、賢くなればなるほど、AI(人工知能)やAIを搭載したロボットが誤動作をすることが日常になってくることは必至です。
※:写真はイメージ
私はこのニュースを読んで、最近の日本でのドライブレコーダーブームがオーバーラップしてきました。そもそもドライブレコーダーは、危険な運転をするドライバーが後を絶たないということから身の安全を自ら守るという意味合いもあって搭載するようになりました。もとはといえば『利便性』を考えての搭載だったのです。
それが今や犯人探しやさまざまな社会の話題を追いかけるための『目撃情報』として使われることが日常になってきているのをご存知でしょうか。監視カメラの死角になっている場所での目撃情報を、そこをたまたま通りかかった車のドライブレコーダーから得ることができるようになったわけです。
今回のダニエルさん夫妻の会話が送信されたことを誤動作としてとらえるか、それともこうした機能を活用することで、より安全な社会を築くことができると考えるのか、そこには大きな差が生じると感じます。
スマートスピーカーのような装置が日常的社会的に普及した世界になった時、我々の会話は常にあらゆる場所で録音されているかもしれません。こうした状況はつい先日ヨーロッパで施行された個人データ保護に関わる新しい法規制、GDPR(一般データ保護規則)にも関わる大きな問題でもありますが、これをプライバシーの侵害ととらえるのか、そこから凶悪な犯罪を未然に防ぐことを可能にするか、それは我々の考え方次第なのではないでしょうか。
[文・構成 土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。