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宇宙から日本の領海を狙う!こうのとりのカプセル回収に見る日本技術の素晴らしさ

By - 土屋 夏彦  公開:  更新:

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ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)によって国際宇宙ステーション(ISS)から取り外され放出位置へ移動される宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)(C) JAXA/NASA

ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。

こうのとりから小型カプセルを無事に回収!!

ヒューマン医療ドラマ『コウノドリ』は産婦人科医と天才ピアニストの2つの顔を持つミステリアスな主人公・鴻鳥サクラを綾野剛さんが演じたほか星野源さん、吉田羊さんなど豪華キャストでお茶の間を賑わせましたが、こちらは宇宙を飛び交う『こうのとり』からの話題

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2018年11月11日(日)に、無人補給船『こうのとり(HTV)』7号機から放出された小型カプセルが大気圏に再突入し、小笠原諸島・南鳥島沖で回収に成功したと発表しました。日本が独自に国際宇宙ステーション(ISS)から実験試料を回収したのは初めてということで話題になっています。

日本の無人補給機『こうのとり』7号機が国際宇宙ステーション(ISS)に到着したのはさかのぼること9月27日夜のこと。茨城県つくば市の筑波宇宙センターでは管制官ら約50人が作業を進め、午後8時36分、こうのとりがロボットアームにキャッチされると大きな拍手が上がったそうです。

ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)に把持された宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)
(C) JAXA/NASA

その後28日午前3時すぎ、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングを完了。同4時40分ごろにはISSとの間のハッチが開かれ、滞在中の宇宙飛行士が中に入り、ISSに取り付けるための日本製大型リチウムイオン電池や、滞在中の宇宙飛行士のための北海道産玉ネギ、宮城県産パプリカ、岡山県産シャインマスカット、愛媛、佐賀両県産の温州ミカンなど国産の生鮮食料品を取り出しました。

ちなみに現在のロケットは、打ち上げ80時間前まで荷物の積み込みが可能なため、生鮮食料品を届けることができるそうで、2015年ころから、都度、生鮮食料品を輸送して飛行士たちに喜ばれているそうです。

その後こうのとりは約1か月間ISSと一緒に過ごした後、11月11日に日本実験棟『きぼう』すなわち宇宙空間で結晶化させたたんぱく質などの実験試料などを保冷剤とともに小型カプセル容器に収納。

そして、小型カプセルを乗せた『こうのとり』7号機は国際宇宙ステーション(ISS)を離れて地球の大気圏内に突入。大気圏再突入の際、実験試料を収めた小型回収カプセルがこうのとりから切り離され、こうのとりは燃え尽きましたが、カプセルは南鳥島近海に見事着水しました。

回収したHTV搭載小型回収カプセル(HTV Small Re-entry Capsule: HSRC)
(C) JAXA

カプセルは直径84センチ、高さ約66センチの円錐(えんすい)状で、重さ約180キロのかなり小さなカプセル。最高約2千度の高熱にさらされても、内部を4度に長時間保つことができる真空構造のステンレス製容器で、タイガー魔法瓶が開発したそうです。カプセルに収められたこの実験資料を改めて調査することで、今後の有人宇宙船開発につなげていくとのことです。

HTV搭載小型回収カプセル(HTV Small Re-entry Capsule: HSRC)で回収されたペイロード収納容器から真空二重断熱容器(魔法瓶構造)を取り出す様子
(C) JAXA

HTV搭載小型回収カプセル(HTV Small Re-entry Capsule: HSRC)で回収された真空二重断熱容器(魔法瓶構造)
(C) JAXA

国際宇宙ステーションには日本の実験棟『きぼう』がありますが、これまではこうした実験資料などを地球に持ち帰るためにはアメリカやロシアの宇宙船を頼るしかなかったため、あまり融通を利かせることができませんでした。しかし今後はこうした日本独自によるISSとの行き来も増やして、さらなる研究開発につなげて行く方向です。JAXAの田辺宏太・開発チーム長は記者会見でそのことの偉大さについて「この日を迎えられることをずっと夢見てきたが、それがかなって感無量だ」と語りました。

それにしても、そんな小さなカプセルをよく太平洋の自国領海に落とすことができましたよね。常識で考えれば落ちる途中で燃え尽きてしまうかもしれないし、どこかの海に落ちるとしてもこれほどピンポイントで落とせ、それもそこが日本だったということで、日本の技術は素晴らしいの一言です。いよいよこれから有人宇宙旅行がスタートしていくんですね。


[文・構成/土屋夏彦]

土屋夏彦

上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。

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