18歳の青年が考えたアイディアが海を救う!?世界的プラゴミ回収プロジェクトが始動 By - 土屋 夏彦 公開:2018-09-20 更新:2018-09-27 土屋夏彦環境問題連載 Share Post LINE はてな コメント ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。 目標は8万8000トン!?プラゴミ回収プロジェクト!! 北太平洋のほぼ中央(およそ西経135度~155度、北緯35度~42度の範囲)に、太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)という場所があるのをご存知でしょうか? このゴミベルトの広さたるや、日本の国土面積(約38万平方キロ)のおよそ4倍、約160万平方キロメートルの範囲に渡って、全世界から漂流したプラスチックゴミなどがまとまって浮かんでいる場所です。 そのゴミの総量は8万8000トンと推定。これを海洋生物が食べていのちを落とすなどの被害が多数出ています。 View this post on Instagram The Ocean Cleanupさん(@theoceancleanup)がシェアした投稿 – 2015年 8月月17日午前7時17分PDT そこでこれまで数年にわたって準備が進められてきた、この海洋プラスチックゴミを回収するための壮大な取り組み『オーシャン(太平洋)クリーンアッププロジェクト(Ocean Cleanup Project)』が、9月8日(日本時間9月9日)より開始されました。 システム001と呼ばれる太いパイプのように見えるこの装置は、600メートル(約2000フィート)の水に浮かぶ細長いチューブ(floating barrier)に水深3メートル(約10フィート)のスカート(skirt)を備えたもので、システムには太陽光発電と衛星接続されたセンサー、カメラ、ナビゲーションライトが装備され、風と波によって自動推進されます。 View this post on Instagram The recently completed tow test was a crucial milestone on the road to the deployment of the world’s first ocean cleanup system. We asked one of our crew members to provide us with a recap of the test, just as he stepped back on land after two weeks at sea. – Full video on our YouTube channel. – Read more about the test results in our latest update on our website. The Ocean Cleanupさん(@theoceancleanup)がシェアした投稿 – 2018年 7月月3日午前3時39分PDT これらの両端を船が牽引して沖合に出し、U字型になって、プラスチックの破片を受動的に捕獲させていくという壮大なものになっています。この様子をオーシャンクリーンアップのホームページでは、「システムは巨大なパックマンのように振る舞い、海面を覆い隠します。」と表現しています。 View this post on Instagram The Ocean Cleanupさん(@theoceancleanup)がシェアした投稿 – 2018年 9月月15日午前7時15分PDT 1体あたり年間最大15万ポンド(約6万8000キログラム)のプラスチックゴミをキャッチ。 システム001を全部で60基まで増やし、それぞれが活動することで、最初の5年でゴミの半分(約4万4千トン)を減らし、10年後にはすべてを取り除くことを目標にしているそうです。 なんとこの『Ocean Cleanup』は、スタートした2013年に当時18歳だったオランダ人のボイヤン・スラットさん(Mr.Boyan Slat)さんという若者が考え出したアイディア。 普通こうした環境保護プロジェクトであれば政府や既存の環境保護団体によって主導されたものがほとんどの中、たったひとりのオランダの青年によってそのプロジェクトがスタートしました。 ボイヤン・スラットさんは、プロジェクトがスタートする1年前から、つまりまだ17歳のころから漂流したプラスチックゴミの問題性をTEDスピーチ(世界的に有名な技術系の話題をエンターテインメントとして世にアピールするスピーチカンファレンス)で訴えかけていました。これがさまざまな方面で目に止まり、クラウドファンディングによって資金が調達され、実現に向けてスタートを切ることになったわけです。 ボイヤン・スラットさんTED動画 ※ クリックすると日本語字幕が表示されます。 ボイヤン・スラットさんは「Ocean Cleanup」のプレスリリースで次のように述べています。 「私は、世界中の人々から過去数年間に受けた膨大な支援によって、この生態学的災害を緩和する可能性のあるシステムを開発、テスト、開始することができたことに非常に感謝しています。これにより、私たちが技術を有効に活用することができれば、クリーンアップが実現すると私は確信しています。 今日のスタート(システム001)は重要なマイルストーンですが、最初のプラスチックが海岸に戻ったときに、本当のお祝いが来るでしょう。60年の間、人類はプラスチックを海洋に投入してきました。その日以降、私たちは再びそれを取り戻す義務があるのです。」 我々も「なにか地球にいいことを」と考えるべきタイミングなのではないでしょうか? [文・構成 土屋夏彦] 土屋夏彦 上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。 出典 Ocean Cleanup Project/The Ocean Cleanup - Launching in 2018/How the oceans can clean themselves: Boyan Slat at TEDxDelft/theoceancleanup Share Post LINE はてな コメント
ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
目標は8万8000トン!?プラゴミ回収プロジェクト!!
北太平洋のほぼ中央(およそ西経135度~155度、北緯35度~42度の範囲)に、太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)という場所があるのをご存知でしょうか?
このゴミベルトの広さたるや、日本の国土面積(約38万平方キロ)のおよそ4倍、約160万平方キロメートルの範囲に渡って、全世界から漂流したプラスチックゴミなどがまとまって浮かんでいる場所です。
そのゴミの総量は8万8000トンと推定。これを海洋生物が食べていのちを落とすなどの被害が多数出ています。
そこでこれまで数年にわたって準備が進められてきた、この海洋プラスチックゴミを回収するための壮大な取り組み『オーシャン(太平洋)クリーンアッププロジェクト(Ocean Cleanup Project)』が、9月8日(日本時間9月9日)より開始されました。
システム001と呼ばれる太いパイプのように見えるこの装置は、600メートル(約2000フィート)の水に浮かぶ細長いチューブ(floating barrier)に水深3メートル(約10フィート)のスカート(skirt)を備えたもので、システムには太陽光発電と衛星接続されたセンサー、カメラ、ナビゲーションライトが装備され、風と波によって自動推進されます。
これらの両端を船が牽引して沖合に出し、U字型になって、プラスチックの破片を受動的に捕獲させていくという壮大なものになっています。この様子をオーシャンクリーンアップのホームページでは、「システムは巨大なパックマンのように振る舞い、海面を覆い隠します。」と表現しています。
1体あたり年間最大15万ポンド(約6万8000キログラム)のプラスチックゴミをキャッチ。
システム001を全部で60基まで増やし、それぞれが活動することで、最初の5年でゴミの半分(約4万4千トン)を減らし、10年後にはすべてを取り除くことを目標にしているそうです。
なんとこの『Ocean Cleanup』は、スタートした2013年に当時18歳だったオランダ人のボイヤン・スラットさん(Mr.Boyan Slat)さんという若者が考え出したアイディア。
普通こうした環境保護プロジェクトであれば政府や既存の環境保護団体によって主導されたものがほとんどの中、たったひとりのオランダの青年によってそのプロジェクトがスタートしました。
ボイヤン・スラットさんは、プロジェクトがスタートする1年前から、つまりまだ17歳のころから漂流したプラスチックゴミの問題性をTEDスピーチ(世界的に有名な技術系の話題をエンターテインメントとして世にアピールするスピーチカンファレンス)で訴えかけていました。これがさまざまな方面で目に止まり、クラウドファンディングによって資金が調達され、実現に向けてスタートを切ることになったわけです。
ボイヤン・スラットさんTED動画
※ クリックすると日本語字幕が表示されます。
ボイヤン・スラットさんは「Ocean Cleanup」のプレスリリースで次のように述べています。
「私は、世界中の人々から過去数年間に受けた膨大な支援によって、この生態学的災害を緩和する可能性のあるシステムを開発、テスト、開始することができたことに非常に感謝しています。これにより、私たちが技術を有効に活用することができれば、クリーンアップが実現すると私は確信しています。
今日のスタート(システム001)は重要なマイルストーンですが、最初のプラスチックが海岸に戻ったときに、本当のお祝いが来るでしょう。60年の間、人類はプラスチックを海洋に投入してきました。その日以降、私たちは再びそれを取り戻す義務があるのです。」
我々も「なにか地球にいいことを」と考えるべきタイミングなのではないでしょうか?
[文・構成 土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。