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次の電気自動車はソーラーカーか オランダ発の太陽光発電カーが常識をひっくり返す

By - 土屋 夏彦  公開:  更新:

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※ 写真はイメージ

ニッポン放送で『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。

燃料費はタダ!?オランダ発の太陽光発電カーがお目見え!!

電気自動車は排気ガスも出さず我々の生活にエコをもたらすといいながら、実際は充電するためには電気を必要とし、電気を作るには石炭による火力発電が必要なことを考えると、あながちエコともいえないのかなと思っていましたが、そんな常識をひっくり返そうとしている電気自動車(EV)が現れました。

それがオランダのEVメーカー・ライトイヤー(Lightyear)社が作った、太陽光発電車の『ライトイヤー・ワン(Lightyear One)』です。

公式サイトによると、この車は非常に低い空力抵抗でエネルギー消費を減らすことによって自動車の航続距離を広げ、厳格な安全基準を維持しながらも、アルミニウムやカーボンファイバーのようなより軽い建築材料を使用することでさらなる走行距離の増加を実現。ボンネットからテールランプにかけて安全ガラスに内蔵された『太陽光パネル』が張り巡らされ、その総面積は5平方mにもなるとあります。

また、あらゆる充電コンセントからより短い時間でより多くの充電性能を得ることが可能で、急速充電では1時間で最大570km走行可能、通常の自宅の230Vコンセントでも一晩充電で最大350km走行可能になるそうです。

車は前列2人、後列3人の5人乗り。太陽光充電では、走行時の1時間あたり約12キロ分の充電が追加可能で、全く充電されていなくても晴天時の通常走行なら50~70kmを走行でき、国際的な燃費試験規則のWLTPサイクルに従った計測(フル充電)で、725kmの走行が可能とあります。

これは、これまでの電気自動車がフル充電で約300〜400キロ(テスラですら約600キロ)ということからすれば、圧倒的に電気自動車の走行可能距離を大きく伸ばすことになります。

そういう意味では電気自動車には違いないものの、ソーラーカーと呼ぶ方が正しいかもしれないと公式ページには書かれています。実際ライトイヤー社の創設者は、学生時代にオーストラリアで開催されるソーラーカーレース『World Solar Challenge』に出場し、2016年のクラスチャンピオンを獲得した人物だそうです。この経験で得たノウハウをもとに大量生産の市販ソーラーカーを販売すべくライトイヤー社を設立したということです。

ちなみに電気自動車の歴史は、実はガソリンカーの歴史よりも古いといわれています。ガソリン車が一般にお目見えしたのは、1885年にドイツでダイムラーとベンツが手作りしたガソリン車だそうです。でも電気自動車はそれよりも8年前にイギリスでロバート・ダビッドソンという人が発明していたそうです。

しかし、電気自動車が普及する前に、ガソリン車がフォードによって量産されるようになったため1908年に、史上初のモータリゼーション=自動車革命が起き、ガソリン車のほうが一般的になってしまったというわけです。

ところが世界ではエンジン製造をやめてこうした電気自動車=EV革命が起きているのですが、日本は1997年に世界初の量産ハイブリッド車としてトヨタが『プリウス』の販売が開始されこれが世界的な大ヒットとなってしまったため、EV市場では中国やアメリカに追い抜かれ、今ではフランスやドイツに、ノルウェーに次いで第6位になっています。

肝心のライトイヤー・ワンのお値段ですが、最初に生産される100台は特別価格11万9000ユーロ(約1450万円)の前金払いで2021年初頭には納品可能。また月額1879ユーロ(約23万円)のリースプランというのも用意されています。

まだまだお高いですが、1時間で12キロ分の充電ができるということは、時速12キロで走っていればタダで永遠と走り続けられる=永久運動できる!? これならお安いもんじゃないでしょうか。


[文・構成/土屋夏彦]

土屋夏彦

上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。『三宅裕司のヤングパラダイス』『タモリのオールナイトニッポン』などのディレクターを務める傍ら、『十回クイズ』『恐怖のやっちゃん』『究極の選択』などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 『ソネットチャンネル749』(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ『Livly Island』では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。

出典
LightyearLightyear One Unveiling: The electric car that charges itself with sunlight@lightyear_cars

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