「発言しないとブルブルします!」震えるイスで会議をすると、会議が活発になる?
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ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
貧乏揺すりじゃありません!震えるイスで会議が活発になる!?
『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)』が2018年6月29日に可決・成立し、2019年4月から施行されています。
この法律は、『長時間労働の是正』、『正規・非正規の不合理な処遇差の解消』、『多様な働き方の実現』という3つが柱から構成されていて、働く人の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指していると書かれています。
そんな働き方改革が叫ばれる中、東京都市大学メディア情報学部情報システム学科の市野順子教授ら研究チームは、『コンピュータがオフィス会議の進行役になる日が来る?』と題し『会議をより積極的に円滑にすすめるためのユニークな方法』を編み出したと5月17日に発表がありました。
そのユニークな方法とは『会議の場で、参加者が座っている椅子に振動を用いたメッセージを送ることにより意見交換が活発になる』というものです。
発表資料によれば、オフィスワーカーが会議に費やす時間は近年膨大となっており、会議が生産的かつ円滑に進むことは現場の常なる要望。また会議では、特定の参加者だけが意見を出し続け、控えめな参加者はなかなか発言できないといった状況もしばしば生じていると説いています。
そんな中、人工知能(AI)を中心とするコンピュータ技術が進み、将来、知的なコンピュータが会議の場で人間にアドバイスするほどの存在になった時、コンピュータから人間にアドバイスをするとしたら、どのように伝えれば、会議が円滑に進むかという疑問から本研究がはじまったんだそうです。
研究チームは、モダリティ(会議室のムード)の違いが人間の反応に異なる影響を与えるのではないかという仮説をもとに研究がスタート。会議の参加者の積極的な発言を促す方法として、会議をさまたげずに参加者へ影響を与えられる『視覚と触覚』に着目した実験が始まりました。その1つは、会議室の部屋の照明を点滅させた時の参加者の発言の変化、そしてもう1つは椅子を振動させた時の参加者の発言や行動の変化でした。
それぞれを調査・集計したその結果、それぞれの刺激を与えてから10秒以内に発言があった確率を調査したところ驚くべき結果が出ました。
それは照明の点滅の場合その後10秒以内に発言があったのが40%だったのに対し、椅子の振動では64%。椅子の振動のほうが照明の点滅よりも1.5倍も発言が増えたのです。
また、椅子の振動を『発言に消極的な人』に与えるよりも、『発言中の人』や『参加者全員』に与える方が、その効果が高いことも分かったそうです。
【東京都市大学】 「コンピュータがオフィス会議の進行役になる日が来る? ~椅子を震わせ、意見を引き出す~」(英語)
ところで、ポストイットでおなじみの3Mのウェブサイトによれば、『発言しやすい会議』にするためには、その会議の進行役である『ファシリテーター』の腕に懸かっているそうで、そのテクニックの中の『会議参加者が発言しやすい雰囲気をつくる』という項目には『活発に意見を交わす場にするためには、発言しやすい環境をつくることが重要』とあります。
例えば『発言しても否定される』『特定の人のみ発言し、ほかの人の意見は遮られる』などの雰囲気を払拭してフラットに話をする場という基本ルールを全員で共有、参加者全員が3回発言するなど公平に発言機会があるといったルールを作り、参加意識とモチベーションを高めようということのようですが、これよりはずっと『椅子を振動させる』ことのほうが、効果がありそうだと思いませんか?
これからの会議の場では、コンピュータがつねに人間に寄り添ってさまざまなアドバイスをしながら会議を進行していくという環境があたりまえになるといいます。そのようになった時、どんなアドバイスを人工知能が我々にしてくれるのか。
今回の研究結果を踏まえれば、会議中に発言が滞った時にコンピュータが椅子を自動的に振動させるしくみが導入されちゃうのかもしれませんね。その時が来るのがちょっと楽しみです。
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。