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ぐっさん「血と友達の病気…?」あまり知られていない『血友病』の症状とは

By - grape編集部  公開:  更新:

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名前は聞いたことがあるけど、どんな疾患なのか分からない…。

もし自分や大切な家族が病にかかってしまっても、正しい知識を持っていれば、未来が大きく変わるかもしれません。

"聞くだけで元気になる情報"を届けるラジオ番組『ぐっさんの健やかDAYS』(ニッポン放送)。2019年10月28日の放送では、『血友病』という病について紹介されました。

パーソナリティーを務めるお笑い芸人・山口智充(ともみつ)さん、アナウンサー・東島衣里(ひがしじま えり)さん、血友病治療の専門医である東京医科大学 臨床検査医学分野 教授 天野景裕(あまの かげひろ)先生が対談した内容をご紹介します。

『血友病』ってどんな疾患?

山口さん:
『血友病』って名前だけ見ると、"血と友達の病気"というか…。

東島さん:
そうですよね。『血友病』って、名前は聞いたことあるけど、正確には知らない人が多いかもしれません。先生、まず『血友病』がどのような疾患なのか教えていただけますか?

天野先生:
はい。『血友病』とは、血を固めるために必要な物質である『血液凝固因子』と呼ばれるタンパク質が体内から欠損してしまっている、または機能が低下しているために、ケガなどによって血が出た時に、血が止まりにくくなる疾患です。

山口さん:
血の流れが悪くなっている、というわけではなく、血が止まりにくいということなんですね。

天野先生:
体内には13種類の『凝固因子』があり、出血を起こした際には止血をする働きを担っています。『血友病』には大きく2タイプあって、『血液凝固因子』の『第VIII因子(だいはちいんし)』が欠損または機能が低下している血友病の方を『血友病A』『第IX因子(だいきゅういんし)』が欠損または機能が低下している血友病の方を『血友病B』と呼んでいます。

東島さん:
『血友病』は、血が止まりにくいという特徴のある疾患なんですね。その後の説明がちょっと難しかったのですが…要は、『凝固因子』に起こる問題が2パターンあるということですね。

山口さん:
『凝固因子』が足りないと、ケガをした時だけではなく、普通に生活している中でも何か影響があるんですか?

天野先生:
普通、体内の血液は、血を固める物質と、固めない物質とでバランスが保たれています。それが崩れると、普段の何気ない場面で、ちょっと何かにぶつかったり、小さい傷ができたりするだけでも血が止まりにくくなってしまうんです。

東島さん:
『血友病』の方は、現在日本にどのくらいいるのでしょうか。

天野先生:
『血友病』は、いわゆる"希少疾患"に分類される疾患で、人数は多くはありません。2018年5月時点の全国調査では、日本人の血友病の方は5,749人であることが報告されています。そのうち『血友病A』の方が4,760人、『血友病B』の方が989人となっています。

※写真はイメージ

東島さん:
人数は少ないですけど、血が止まりにくいということは、日常生活でいろいろと困ることがあるわけですよね。

天野先生:
はい、血が止まりにくいということは大変なことなんです。例えば、歯科治療で歯を抜いた時、血が止まらなくなってしまうと困りますよね。

また『血友病』の方にとっては目には見えない"関節の中"で起こる出血が非常に問題であり、もちろん痛みを伴います。関節の中で繰り返し出血を起こすことで、関節の動きが悪くなったり、関節の機能が低下したりすることがあるので、そうならないように治療をしなければなりません。

※写真はイメージ

東島さん:
血友病の方にはどのような治療が行われているのでしょうか。

天野先生:
血友病の方には『第VIII因子』または『第IX因子』が不足しているので、これらを含んだ薬を注射で補充する治療があります。昔は、出血した時にだけ注射、補充していましたが、最近では、定期的に補充する『定期補充療法』が主流となっています。

山口さん:
治療すれば治る可能性がある、ということですか?

山口さん:
"治る"というよりも、"コントロールができる"ということですね。

※写真はイメージ

東島さん:
体内にない『凝固因子』を補充する、『血液製剤』と呼ばれるものでしょうか。『血液製剤』と聞くと、なんとなく怖い気もするのですが…。

天野先生:
『血友病』の治療薬や、『凝固因子』を補充する治療薬は、人の血液を原料に作られたものを用いていました。そして、『HIV(ヒト免疫不全ウイルス)』や『C型肝炎ウイルス』に感染した原料が混じることがあり、薬害として社会的に大きな問題となりました。

技術の進歩で現在使われている治療薬では、HIV感染やC型肝炎ウイルスに感染した報告はありません。「怖い」というイメージはなくしたほうがよいでしょう。

山口さん:
ここ何十年前かの話ですもんね。すごい医療の進歩ですよね。

※写真はイメージ

東島さん:
『血友病』の方は、みなさん『定期補充療法』を受けているのですか?

天野先生:
先ほども出た通り、『血友病』で一番困ることは、"目に見えない出血"なんです。関節の中で出血をするのが、血友病の方の特徴です。ひざやひじなど、関節の中で出血すると、関節がパンパンにはれて痛みが出ます。すると、関節の中の軟骨などがダメージを受けて、変形してしまいます。

それが繰り返されると、関節が動きにくくなり、生活に支障が出てしまうんです。そうなることを防ぐために、定期的に治療することが必要です。

山口さん:
へー…関節の中での出血ですか…。

天野先生:
『血友病』の方は、『軽症』『中等症』『重症』と3つの重症度に分類されます。重症の方ほど出血しやすく、血が止まりにくい状態です。主に重症の状態に分類される方を中心に『定期補充療法』を実施しています。私たち専門医は、早期からの『定期補充療法』を勧めています。

東島さん:
早いうちから『定期補充治療』を始めると、どんなメリットが?

天野先生:
関節に障害が起こる前に『定期補充療法』を行うことで、一般の人と遜色ない生活が送れるようになりますから。定期的に注射をする必要がありますが、きちんと補充をしていれば、仕事も続けられますし、運動も、旅行も、楽しむことができます。

また、最近では注射をする間隔が長くなるような、新たな治療薬も開発されていますので、血友病の方にとっては治療の選択肢が増えてきています。

山口さん:
僕は病気でもなんでもほったらかしてしまうので…。ほったらかさずに治療を続けるのが大事ですね。

東島さん:
ぐっさん、いかがですか?これまでの『血友病』のイメージだと、ちょっと複雑というか、あまり触れてはいけない疾患のような感じもしていましたが、まったくそうではありませんでした。

山口さん:
そうですねー。血を止める働きがないから、それを補う。補えば、普通の人と変わらない生活ができる。それを知ることができたのは、すごくよかったという気がします。頑張って治療を続け、いきいきと過ごしてほしいですよね。

東島さん:
今回は『血友病』についてお話を伺いました。天野先生、貴重なお話をありがとうございました!

※写真はイメージ

希少疾患ともいえる『血友病』。もし近しい人が患ってしまったら、どう接していいかと悩んでしまう人は多いでしょう。でも、きちんと治療を続けていれば、普通と変わらない生活を送ることができるのです。

『血友病』だからといって特別扱いをせず、必要な時にはサポートする…血友病の方本人はもちろん、支えていく周りの人がそういった正しい理解をすることが必要かもしれませんね。

ぐっさんの健やかDAYS:『DAYS』内 毎週月曜日 14時40分ごろ~ 放送


[文・構成/grape編集部]
[2019年10月作成]

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