女性に声をかけた、金髪のコンビニ店員 彼がとった行動に涙…
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買った花束を店に置いていった女性 その後の展開に「鳥肌が立った」買った花束を店に置いていった女性 その後の展開に「鳥肌が立った」
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集! 今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『金髪兄さんありがとう』をご紹介します。
受験に落ちてしまった私は暗い闇の中を歩いていた。
途中、人気のないコンビニエンスストアを見つけ中に入り、ひとつ深いため息をつく。
奥の方から、金髪で20歳くらいのお兄さんがだるそうにいらっしゃいませ、と小さな声でお出迎えしてくれた。
暗い顔をし下を向いている私が言えることではないが、彼は仕事をしっかりできている人だとは思えない。そんな印象だった。
落ち込んでいた気持ちが更に落ち込んだわたしは、少し猫背で黙々とお菓子の棚を見つめていた。
ここに何分いただろうか。ザザザザ、と急に大きな音がしたのでガラス越しに外を見てみると突然の大雨。
あんなに頑張ったのに、どうして。なぜ落ちてしまったんだろうか、胸が締め付けられ目から涙が溢れた。
これからどうしたらいいんだろうか、雨が苦しそうに泣いていたのでつられてわたしも泣いてしまった。悔しくて、不安で、どうしようもなく苦しくて。孤独感に襲われた。
何も考えたくない、そう思ったわたしは何も買わずに外に出た。
もういいや、濡れて帰ろう。そう決意して屋根から一歩出たときだった。
「これもらってください、お疲れ様でした!来てくれてありがとう」
金髪のお兄さんがそこには立っていて一本の傘を私に差し出した。
さっきのだるそうな感じとは全く違い、前を向きハキハキと。初対面なのにどうしてだろうか。わたしは目から自然と涙がこぼれ落ちた。
受験に落ちた気まずさからか、親や仲の良い友人は何も言ってくれず、わたし自身も自分を責め続けていた。
そんな時心に響いたその言葉。忘れられないその言葉。誰も言ってくれなかった、とっても温かくて優しい言葉。
「明日はきっと晴れるよ、大丈夫」
お兄さんはそう言って店内へと戻っていった。
これからもう一度チャレンジすれば大丈夫、私ならできるよ、そう言われているような気がした。
何気ない言葉だが、わたしにとっては最高の言葉だった。金髪が怖いとか真面目じゃなさそうとかそんな偏見を持っていた私だが、人は見た目ではない。今のわたしがいるのはこのお兄さんのおかげ。
お兄さんにかけてもらった言葉があったからもう一度チャレンジしようと思えた。ありがとう。本当にありがとう。
周りを見て変化に気がつける人って素晴らしい。
自分が何もできないと思わないで、人の気持ちに敏感になろう。
わたしは今アルバイトで接客を積極的にしている、あのお兄さんに憧れて。
人生に何があるか分からない私たちは、周りの人を大切に。
小さな気遣いでも相手にとっては宝物。
grape Award 2020 応募作品
テーマ:『心に響いた接客エッセイ』
タイトル:『金髪兄さんありがとう』
作者名:鹿乃
エッセイコンテスト『grape Award 2020』の審査員が決定!
2017年から続く、一般公募による記事コンテスト『grape Award』。第4回目となる2020年の審査員には、grapeでも人気の漫画『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』シリーズでおなじみの漫画家・松本ひで吉さんが決定しました。
さらに『Jupiter』などの作詞を手がけた作詞家でエッセイストの吉元由美さんや、映画化もされた『スマホを落としただけなのに』などで人気を博する小説家の志駕晃さんも審査員として作品を読みます。
心に響く作品として選ばれるのは、どのエピソードでしょうか。結果発表をお楽しみに!
『grape Award 2020』詳細はこちら
[構成/grape編集部]