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暑くても使えない? タンザニアに、あふれる『ゾンビエアコン』問題

By - grape編集部  公開:  更新:

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私たちが普段、当たり前のように使用しているエアコン。厳しい夏の暑さを乗り切るためには欠かせないものです。

しかし、世界には酷暑であるにも関わらず、エアコンが普及していない国があることをご存じでしょうか。

世界的な空調専業メーカーである、ダイキン工業株式会社(以下、ダイキン)が、アフリカ東部に位置する国、タンザニアを舞台に行っている『ある取り組み』をご紹介します。

街にあふれる『ゾンビエアコン』

タンザニアの首都がある沿岸部は、気温が30℃を超える日も多く、熱帯性の蒸し暑い気候です。

しかしながら、エアコンはあまり普及していません。

理由は、所得水準が低くて購入できず、また設置や整備ができる技術者も少ないためです。

わずかに設置されているエアコンも、故障や電気代の高さが原因で使用されず、打ち捨てられたゾンビエアコンと化しています。

『Baridi Baridi(バリディ バリディ)』=『冷え冷え』

ダイキンは、『WASSHA株式会社』と共同で、『Baridi Baridi株式会社』を立ち上げ、タンザニアでエアコンのサブスクリプションという、新しいサービスを開始しました。

社名には、「空気を冷やすことで、快適な空間を届けたい」という思いを込め、東アフリカの言語であるスワヒリ語で『冷やす』という意味の『baridi』という言葉を用いました。

現在タンザニアで普及しているエアコンは、購入価格は安いですが、電力の消費が大きい省エネではないタイプが中心。

エアコンを使いたくても、高額な電気代を払い続けることができずに、使えなくなってしまうケースが多いのです。

そこでBaridi Baridiは、現地の人々がエアコンを購入しなくても、初期費用と月額の使用料だけで、省エネ性能が高いダイキンのエアコンを利用できる、サブスクリプション方式のサービスを開始しました。

初期費用も、少額の取り付け工事代と保証料がかかるのみなので、現地の人にも十分に手が届く金額だといいます。

同サービスは、環境負荷の低減にもつながっています。

国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のエアコン冷房による電力需要が、2050年までの30年間で、約3倍に増加する(※1)といわれており、このまま需要が拡大すると、環境への影響が懸念されます。

サブスクリプション方式で省エネ性能の高いエアコンであれば、その影響を抑えることができるのです。

また、エアコンの中にはCO2よりも地球温暖化への影響が大きい冷媒というガスがあり、エアコン廃棄時などに、きちんと回収して処理をする必要があります。

しかし、タンザニアなどの開発途上国では、冷媒を回収する仕組みや制度が整っていないため、大気へ垂れ流しになっている状態です。

同サービスであれば、最終的にはBaridi Baridiが、エアコンを回収するため、冷媒の処理も適切に行うことが可能になります。

Baridi Baridiの事業は、現地の人々に快適な空気を届けると同時に、環境負荷低減に貢献もできる、まさに一石二鳥の取り組みですね。

Baridi Baridiの代表である、朝田浩暉(あさだ・ひろき)さんは、動画の中で、「電力消費の60%削減と、冷媒の排出ゼロを実現し、自分の子供たちの時代まで、できる限りいい環境を残したい」と語っています。

そして、現地の人々の暮らしに貢献することはもとより、「ビジネス性と社会の価値、この両方に貢献できる仕組みで行うことこそ、ダイキンが果たすべき仕事だと思っている」と続けました。

Baridi Baridiのサービスは、このような思いから誕生していたのですね。

地球環境への配慮を踏まえて、世界中にあるすべての場所を快適にするためには、ダイキンのように、グローバルに活動する企業の貢献が必要不可欠です。

『空気で答えを出す会社』として、世界160か国以上で事業を展開するダイキンのこうした取り組みは、今後さらに世界中で広がるかもしれません。

詳しく知りたい人は、ダイキンの努力や工夫が詰まったウェブサイトを、ぜひチェックしてください!

(※1)『国際エネルギー機関(IEA)』より


[文・構成/grape編集部]

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