「この村には、入ってくるな!」 道のわきにあった草履に「面白い」「そんな意味が…」 By - grape編集部 公開:2022-08-05 更新:2022-08-05 秋田群馬長野 Share Post LINE はてな コメント 先日歩いた峠道の脇に草履がぶら下がっていた。ただの草履ではない、やたらデカいこの草履は「ここから先の村にはこれだけ大きい履物を履いてるよつな大きいヤツがおるんやぞ?」という脅し。つまり「悪いモノ」が村に入らないようにする古いおまじないだった。いわゆるミチキリ民俗の一種。 pic.twitter.com/o90DvFvi8w— 道民の人@C100ひなび旅館本 8/13(土)東ラ-40b (@North_ern2) August 3, 2022 ミチキリで有名なものは、道祖神や塞の神という道脇に立っている境界の神様だろう。道を介してウチへ入り込もうとする悪いものを退ける、脳の血液関門みたいな神様だ。甲信地方の男女が並ぶ双体道祖神、秋田県の巨大な藁人形「カシマサマ」、近畿地方の村の境に縄を張る「勧請縄」もミチキリ民俗だ。 pic.twitter.com/S8Cocdz7II— 道民の人@C100ひなび旅館本 8/13(土)東ラ-40b (@North_ern2) August 3, 2022 ミチキリは常にあるものだけではなく、特定の「凶事」があったときにだけ置かれるものもあった。道を介してやってくる、目に見えない悪いものといえば…そう、流行り病である。目には見えねど確実にソトからやってくる悪いもの。それが病であり、その侵入を防ぐ役目を託されたのがミチキリだった。— 道民の人@C100ひなび旅館本 8/13(土)東ラ-40b (@North_ern2) August 3, 2022 昔から特に恐れられた流行病が天然痘だったが、一部のミチキリの道祖神には体が赤く塗られたものがある。これは疱瘡神などの天然痘を流行らせるという疫病の神様との関係が指摘される。疱瘡神は赤い色が苦手だというのだ。秋田県北部の「ドンジン様」はその一つと言える。 pic.twitter.com/7C2UaiaKqk— 道民の人@C100ひなび旅館本 8/13(土)東ラ-40b (@North_ern2) August 3, 2022 ドンジン様は秋田県でも北部のごく限られた一部にのみ伝わる道祖神で、お堂の中に肌の赤い男女二人の神様が佇んでいる。周辺には「ニンギョ様」「ニオウ様」など似た神様もいて、それらの起源は道祖神、鬼神、疫病神などが習合したものと考えられる。少なくとも江戸後期には存在した記録も残っている。 pic.twitter.com/zytklBeJX5— 道民の人@C100ひなび旅館本 8/13(土)東ラ-40b (@North_ern2) August 3, 2022 こちらは四国の「虫送り」のミチキリ。稲の害虫や疫病などの悪いモノが村へ入りこまないようにするまじないで、道や川沿いにお札がついた竿を立てて結界を張る。こういうの興味深くてゾクゾクするけど、その根源は平穏に生きたいという人の切実な願いが込められた迫力に気圧されるからだと思っている。 pic.twitter.com/LWo2PHw85F— 道民の人@C100ひなび旅館本 8/13(土)東ラ-40b (@North_ern2) August 3, 2022 今だって疫病のコントロールは完全には不可能なわけで、昔の人の「ソトから来るとわかっているのにどうしようもない」という悔しさと祈りの感情の大きさは計り知れない。境界、その曖昧さと果断さが併存する領域の風習の魅力は、そんな切実さと妖しさにあると思う(おわり)337/365 #斜陽暦 pic.twitter.com/1GQDpVin2s— 道民の人@C100ひなび旅館本 8/13(土)東ラ-40b (@North_ern2) August 3, 2022 [文・構成/grape編集部] 1 2 3 出典 @North_ern2 Share Post LINE はてな コメント
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