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ホラー漫画『裏バイト:逃亡禁止』作者インタビュー 『怪異×アルバイト』に込めた意味とは

By - エラチヒトシ  公開:  更新:

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『ホラーの幕の内弁当』というべきホラー漫画だと思う

――ここからは、田口先生自身のことについてお聞かせください。漫画家になろうと思ったきっかけはなんでしょうか。

自分が子供の時、漫画家はかなり人気の高い職業だった記憶があり…。さまざまな職業の中でも、漫画家が一番憧れに近かったことが目指したきっかけですね。

もちろん描くことは好きなんですけど、それ以上に動機として大きいのは、『描けるし、できそうだと思ったから』なんですよね。あとは、幼少期から人一倍漫画を読んできたことも理由の1つかなと思います。

田口翔太郎先生の画像

――ホラー漫画家の中で、もっとも尊敬している方や影響を受けている方はいますか。

伊藤潤二先生です。

特に好きなのは、双一という主人公が出てくる『双一シリーズ』ですね。ひねくれた小学生の双一が、呪いの力を使って悪さをするんですけど、最終的には逆襲される…みたいな。かなりギャグ寄りな作風です。

『双一シリーズ』に限らず、伊藤先生が描くホラーにはギャグが多めなのですが、僕自身も影響を受けています。

ギャグを挟む時は、あまり無理矢理にならないようにしていて…。自然な会話の流れでギャグが出てくるシーンを多く描くなど、「明らかに笑いを取りにいっているな」という感じが読者に伝わらないように意識していますね。

――田口先生は、根源的な一番の恐怖は、『死』という概念そのものだと考えているとお聞きしました。『死』が怖いものだと感じるに至った原体験はあるのでしょうか。

過去に何かきっかけがあるわけではないのですが、いろんな怖さを辿っていけば『死』に結びつくんじゃないかなという、ロジック的な思考が強いです。

怪異のような『なんだかよく分からないもの』に怖さを感じるのは、自分で対処できないからだと思うんですよね。「対処できずにそのまま死んでしまいそうだな…」みたいな。やたら大きい音が怖いのも、その『音』に打ち負かされて死んでしまうかもしれないという、漠然とした不安によるものなのかなと。

恐怖の根源を辿っていくと、割とシンプルな答えがある気がしています。

『裏バイト:逃亡禁止』の画像

Ⓒ田口翔太郎/小学館

――単刀直入にお聞きします。田口先生が思う、ホラーの魅力はなんだと思いますか。

ホラーでは暴力的な描写がたびたび登場しますが、ジャンルによっては描きにくいような表現を多用できる自由さが魅力だと思います。正体がよく分からないというのも、自由さを感じるので好きです。

あとは、実際に怖い現象が起こるまでのワクワク感こそが、一番の楽しみなのかもしれないですね。

――ほかのホラーコンテンツにはない、『裏バイト』の特長をひと言で表すのなら何が浮かびますか。

ひと言で表すのならなんでしょう…『ホラーの幕の内弁当』ですかね(笑)

職業の種類もさまざまですし、いろんなジャンルの怖さや体験が味わえると思うので。

『裏バイト:逃亡禁止』の画像

Ⓒ田口翔太郎/小学館

――『裏バイト』が、どのような人々に届いてほしいと思っていますか。

特に若い人に読んでもらいたいと思っています。

『裏バイト』は前衛的で実験的なことをやっている作品なので、「こういう作品でも通用するんです」と伝えたいですし、あまり固定観念にとらわれてほしくないという思いもありますね。僕は自由が好きな人間なので、「もっと自由にやっていいんですよ」みたいなことも同時に伝えたいです。

読者さんも含めて、『漫画を描く・描かない』は関係なく、各々の人生を自由に生きていただきたいと思います。

――『裏バイト』の連載を続ける中で、叶えたいことがあれば教えてください。

連載開始当初は「連載を続けられたらいいな」という切実な想いがありましたが、それはすでに叶いました。

今はとにかく面白い話を描き続けて、読者さんが納得できるような終わり方をするのが、とりあえずの目標です。

――最後に、『裏バイト』の連載を楽しみにしている読者に対してメッセージをお願いします。

全力を尽くすので、最後までついてきていただけたらと思います。

(最後に…)お前の脳を食ってやる!!

アルバイトと怪異を組み合わせるというキャッチーさもあり、幅広い読者層から支持を得ている『裏バイト』。

これまでホラー漫画に触れてこなかった人も、一度読み始めれば、きっと『田口翔太郎ワールド』から抜け出せなくなるはずです。

田口翔太郎先生の画像

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田口翔太郎先生の画像

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[文・構成・取材/grape編集部]

 
漫画の画像

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