「俺の人生も君の人生も、ムチャクチャにしないよ」 『しあわせな結婚』第8話
公開: 更新:


【歌がうまい俳優ランキング】高畑充希、大泉洋、福山雅治を抑えて1位は…歌がうまいと思う俳優についてアンケート!3位は上白石萌音さん、2位は福山雅治さん、1位は…?

ドラマにいると作品がしまる陰の主役 40~50代の『名脇役』だと思う俳優6選40~50代の俳優で『名脇役』だと思うのは?100人の回答から6人の俳優を紹介します!
- 協力
- テレビ朝日
grape [グレイプ] entertainment
鈴木家のマンションでボヤがあり、煙が充満する部屋で意識を失ったレオ(板垣李光人)の顔を見たネルラ(松たか子)は、15年前の事件について、また思い出した。
あの日、叔父の考(岡部たかし)が「お前はやっていない」と言い聞かせる声がした。考がそんなことを言う相手はネルラしかいない。
つまり考は、ネルラが布勢夕人(玉置玲央)を殺したのをかばって出頭したに違いない…。
ネルラにそのことを打ち明けられた幸太郎(阿部サダヲ)は、法律家と夫のふたつの気持ちの間で悩んだ末、自分で真相を突き止めることを決意。
考の弁護士や、法医学の教授などに話を聞くうちに、真実にたどり着く。
「万が一、君が犯人だったとしても、それは受け止めるよ。どんな君でも愛すよ」
「幸太郎さんの人生は、ムチャクチャになるわよ」
「俺の人生も君の人生も、ムチャクチャにしないよ。すごいだろ、俺」
これまで女性にも物事にも深く関わらないようにひとりで生きてきた幸太郎が、とうとう自ら事件を調べることを決めた。
どんな結果でもネルラを愛すると告げる幸太郎は、結婚して頼もしく変わったと思う。
そしてそれを聞いて「すご〜い…ムチャクチャ、すご〜い」と、子供のように泣きじゃくるネルラの、愛らしさ。
「ネルラのほうが俺より大きいな」
「うん、私もずっとそう思ってた」
笑い泣きしながら抱き合う2人の「え、今それ言う?」な会話もよかった。
頼もしくも愛らしい彼らなら、これからずっと『しあわせな結婚』を続けていけるに違いない…と思ったのに、この30分後にネルラが「離婚してください」と言い出すとは。なんというジェットコースタードラマなのか。
幸太郎が明らかにした事件の真相。燭台で布勢を殺してしまったのは、やはりレオだった。
二つ目の傷をつけたのはネルラではないかと予想していたけれど、考がレオを守るためにやったことだと判明。あの優しい「考ちゃん」がそこまでするほど、彼はレオを大事に思っていたのだ。
幸太郎がレオと対峙するシーンでは、ふたりの間の緊張感がすさまじかった…。しかし、苦悩するレオの表情の美しいこと。
あまりにきれいなので、「もういいじゃないですか、レオは無罪として見逃しましょう」と幸太郎を説得したくなるほど。
すべてを明かしたレオはほっとした様子で、幸太郎に伴われて警察に出頭。部屋に隠していた燭台も黒川刑事(杉野遥亮)に渡された。
当時子どもだったレオは罪に問われず、考もおそらく重い罪にはならない。
これでネルラの無実が証明されたし、よかった…と、幸太郎だけでなく、視聴者全員が思ったに違いない。
ただひとり、ネルラをのぞいて。
「レオを守り通すことが、うちの家族の真実だったの!」
鈴木家のそれぞれが罪と秘密を抱えたままでいいから家族を守りたいと思っているネルラと、真実を明らかにしないと前に進めないと思っている幸太郎の間にある、大きな壁。
ここまでの人生ですでに考え方が固まってしまった、大人なふたり。お互いの違いを許容し、結婚して家族になっていくのは、40代と50代には難しいのかもしれない。
しかし「頑張ってほしい…」と思ったのに次週予告で「俺たちが離婚して1ヶ月がたった」と幸太郎が言っていてびっくり。あんなに仲良しだったのに決断が早すぎる。
黒川がどうなるのかも、気になる。
強引に事件を再捜査した結果、真相を突き止めたのは黒川ではなく幸太郎。そしてレオは罪には問われない。
あんなに大騒ぎして、「これ?」って、周りの人たちに言われてしまいそう。刑事局長と警備局長の争いもどうなるのか、事件がこんなふうに終わって、彼の立場はどうなるのか。
何よりも、ネルラへの愛はどうなるのか。
「あなたのために真犯人を捕まえます」と誓ったのに、彼女が喜ぶ結果にはならず、彼女を捕まえたいという歪んだ愛も叶わない。ネルラが幸太郎と別れたら独身、くらいしか喜べる要素がない。
ヤケになってまた爆食いしそうな予感。
気になることも謎もまだたくさん残されている。
父、寛(段田安則)の部屋には、『いなくなった人たち』の写真がない。
母と五守は、どんな人たちだったのだろう。
毎週、豪華なゲストにもびっくりさせられたドラマだったけれど、最後にすごい人が『母』として出てくるような気がする。
レオは最初から布勢の本性を見抜いていた。同じく、彼があまりいい印象を抱かなかった幸太郎が、実はいちばんの悪人ということはないだろうか。
予告に出てきた、ネルラの秘密とはなんだろう。
何度も回想に出てきた彼女の美術修復士という仕事が、関係しているのでは。布勢の突然のスランプ、布勢に父が言った『贋作』の言葉、このあたりに何かある予感。
ホームドラマとラブストーリーとサスペンスの間を、すごいスピードで行き来する、先の見えないドラマ。終わってしまうのが残念だけど、最終回にまたたくさんびっくりさせてもらえることが、とても楽しみ。
この記事の画像(全21枚)
『しあわせな結婚』出演の阿部サダヲ・松たか子の取材会も
grapeでは、阿部さんと松さんが出席した取材会の様子も公開しています。
お互いの好きなところを聞かれた松さんは、なんて答えたのでしょうか…。また松さんの回答に対する阿部さんの反応も必見です。
松さんと阿部さんの回答は、こちらの記事からご覧ください。
さらに、脚本家の大石静さんも交えた取材会の記事では、大石さんから見た2人の芝居についても語られています。
ドラマと一緒に、お楽しみください!
[文/渡辺裕子 構成/grape編集部]
渡辺裕子
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。
⇒ 渡辺裕子さんのコラムはこちら